ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-681-CP38-4 冠動脈形成術を要した造影剤によるKounis症候群2 型の1例神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター須賀 将文、井上 彰、松岡 由典、水 大介、有吉 孝一【背景】Kounis症候群は肥満細胞の活性化によるアレルギー反応と急性冠症候群が同時に発生すると定義されており、近年認知されつつある。今回我々は造影剤によるKounis症候群の1 症例を経験したので文献的考察を交えて報告する。【症例】症例は66歳男性。既往歴は右椎骨脳底動脈解離、くも膜下出血、高血圧など。心筋梗塞に対しステント留置、その後ステント内再狭窄あり再度ステント留置施行している。椎骨動脈解離治療後のフォローアップ目的の頭部血管CT 施行後に意識レベル低下・血圧低下・全身の膨疹が出現しアナフィラキシーショックと判断され救急外来に搬送となる。アドレナリン0.3mg筋注にてアナフィラキシー症状は改善したが、診療中に胸痛が出現、12誘導心電図にて前胸部誘導のST上昇を認めたためSTEMIと診断した。冠動脈造影の適応と判断し、ステロイド投与下に冠動脈造影を施行したところ#6 のステント内血栓を認めた。アナフィラキシー症状の再燃なく冠動脈形成術を施行し、術後経過は良好であり第13病日に退院とした。【考察】今回は冠動脈造影でステント内に血栓形成を認めたことからKounis症候群2型といえる。治療についてはアナフィラキシーと急性冠症候群に対する治療を並行して行う必要があるが、造影剤によるKounis 症候群では治療に原因物質の造影剤を使用せざるを得ない状況となる。これまでの造影剤によるKounis症候群の報告では1型がほとんどであるが、2型であり冠動脈形成術を要した報告も少数だが存在する。本症例でも冠動脈形成術を要したため、造影剤によるKounis症候群であっても冠動脈造影は施行すべきと考えられる。【結語】アナフィラキシーショックを診療する際にはKounis症候群を念頭におく必要がある。また、造影剤によるKounis症候群でもアナフィラキシー対策をしたうえで冠動脈造影を行うべきである。CP38-5 外科的治療に先行する心嚢穿刺の適応判断に苦慮した心タンポナーデの3 例1)日本医科大学 心臓血管集中治療科、2)日本医科大学 心臓血管外科鈴木 啓士1)、山本 剛1)、圷 宏一1)、林 洋史1)、古瀬 領人1)、黄 俊憲1)、三軒 豪仁1)、細川 雄亮1)、宮城 泰雄2)、石井 庸介2)A型大動脈解離や心筋梗塞後左室自由壁破裂による心タンポナーデでは、経皮的心嚢穿刺により出血が増悪する可能性があり、外科的治療が考慮される。しかし、血行動態によって経皮的心嚢穿刺を先行させるか迷うことも少なくない。CCUで経験した心タンポナーデ3例の初期対応について検討し報告する。症例1)77歳/男性、亜急性側壁梗塞後心破裂:胸部不快感を主訴に救急要請し、来院時、血圧低下、心エコーにて心嚢液貯留を認め、心嚢穿刺も検討したが、輸液、昇圧薬にて血行動態が維持できたため、心嚢穿刺を行わず冠動脈造影を施行したところ、右冠動脈の閉塞および左回旋枝の狭窄を認めた。経過から心筋梗塞後心破裂と診断し、IABP挿入後に緊急手術を施行し、良好な転帰を得た。2)59歳/男性、亜急性前壁梗塞:5日前より胸痛を自覚し、来院時の心電図にて前胸部誘導のST上昇を認め、緊急冠動脈造影を施行したところ、左前下行枝に狭窄を認め、亜急性心筋梗塞と診断しPCI を施行した。しかしPCIから5 時間後に血圧が低下し、心エコーでは入院時には認めなかった心嚢液の貯留を認めたため冠動脈造影を再度施行し、血管穿孔がないことを確認し、心破裂と診断した。血圧の低下が輸液負荷で改善しないため、心嚢穿刺を施行したところ血行動態は安定、その後に緊急手術を施行し良好な転帰を得た。3)84 歳/ 女性、心嚢液を伴う血栓閉塞A型急性大動脈解離。意識障害で救急搬送され、造影CTにて大動脈解離の診断。高齢のため保存的治療となっていたが、心嚢液の増加とともに進行性に血圧が低下したため、心嚢穿刺を施行し、緩徐に排液をしたところ血行動態が安定し、その後は保存加療の継続のみで良好な転帰を得た。外科的治療前に行う心嚢穿刺の是非は手術までの時間、穿刺・排液に伴う出血の悪化を勘案し適応を決めることが重要と考えられた。CP38-6 心不全を繰り返すと機能は徐々に低下する1)日本医科大学武蔵小杉病院、2)日本医科大学付属病院循環器内科石原 嗣郎1)、高木 宏治1)、曽根 教子1)、徳山 榮男1)、菊池 有史1)、石川 昌弘1)、佐藤 直樹1)、清水 渉2)始めに急性心不全は悪性新生物と同様、予後の悪い疾患である。特に、急性増悪を繰り返す心不全は経過とともに心機能は低下すると考えられており、最終的には死に至る予後の悪い病態である。しかし、急性増悪を繰り返す心不全が実際に予後規定因子と言われるパラメータの悪化を認めるかどうかは不明である。方法我々は当院に平成13年度から14年に急性心不全の診断で入院した患者200 名を抽出した。うち、2 度入院した37人、3 度入院した15 人を対象に解析を行った。結果平均年齢○歳、男性54%。初回入院時・2度目の入院時・3度目の入院時のそれぞれの収縮期血圧は153mmHg、133mmHg、129mmHgと有意に低下した(p=0.03)。また、脈拍に関しては低下傾向を認めた(93/ 分、86/分、77/ 分、p=0.07)。また、採血データのBUNおよびクレアチニンは徐々に上昇(1.24mg/dl、1.38mg/dl、1.62mg/dl および27.4mg/dl、30.7mg/dl、40.9mg/dl。それぞれp=0.18、p=0.006)。NT-proBNPに関しては有意な変化は認められなかった。内服薬に関しては、レニン・アンジオテンシン系阻害剤(43.2%、75.7%、81.3%)、β遮断薬(35.1%, 56.8%, 62.5%)、利尿薬(56.8%, 81.1%, 100%)、アルドステロン阻害薬(16.2%, 43.2%, 81.3%)、それぞれ有意に処方率は上昇した。まとめガイドラインで推奨されている加療が行われているにも関わらず、強力な予後規定因子である入院時の収縮期血圧は徐々に低下。腎機能は徐々に悪化していった。内服薬の強化とそれぞれのパラメータの変化に対する詳細な因果関係は不明である。しかし、繰り返す心不全は心機能のみならず多臓器も含めた機能障害を呈することが示唆された。