ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-678-CP37-1 大学病院PICU に搬送された15 歳未満・小児症例の現状北里大学 医学部 小児科安藤 寿、峰尾 恵梨、金子 忠弘、石井 正浩【背景】重篤小児の予後改善のため行政・学会を中心に小児救急体制の整備や中核病院への集約化・重点化の取り組みがなされている。一方、重篤小児の搬送内容について具体的に言及した報告は少ない。【目的】一・二次医療機関でどのような症例、どういった理由でより高次医療機関への搬送を行っているかを明らかにする。【施設概要】神奈川県相模原市を中心とした4市の医療圏(ほか医療圏外の一部を含む)における15歳未満小児人口 約20万人を対象とする大学病院・三次医療施設。独立看護単位で組織されるPICU、総ベッド数 12 床(2014 年4 月までは8 床)【方法・対象】2013 年11 月から2015 年6 月の20ヶ月間に、当院PICU へ医師同乗のもと救急搬送された15歳未満の小児症例について、紹介状・診療録をもとに後方視的に検討した。除外基準は特に設けなかった。【結果】(a)搬送受け入れ患者 165名(同期間の総入室者数874名)(b)男女比 90:75(c)月齢 0-179m(中央値 17m)(d)平均在室日数 5.8 日(e)人工呼吸管理者数 44%(73名)(f)PIM2 スコア 0-86.4(平均値 3.52)(g)搬送理由「けいれん・意識障害の遷延」39%(65名),「人工呼吸管理の必要性」30%(50名),「治療困難」19%(31名)(h)管理内容:中枢神経管理 40%(66名),呼吸管理 30%(50名),循環管理 19%(32名),外傷 6%(10名),その他7名(i)退室時診断カテゴリー「呼吸器感染症」37名,「てんかん・熱性けいれんなどの良性痙攣」35名,「脳炎・髄膜炎などの中枢神経感染症」19 名,「心筋炎・心筋症・血管炎」15名,「重症敗血症・敗血症性ショック」12名(j)退室病棟 当院一般病棟 55%(91名), 転院搬送 36%(59名), 直接退院 7.9%(13名),死亡 1.2%(2名)(k)休日時間外での搬送 49%(81名)【結語】一次・二次医療機関における高次医療機関への搬送理由の多くは中枢神経の問題、呼吸不全であった。今後も多施設でのデータ集積を行い、より効率的な重篤小児の集約化・重点化を行う必要がある。ポスターCP 37 小児・新生児① 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP37-2 当院PICU に入室した新生児症例のまとめ熊本赤十字病院 小児科小原 隆史、平井 克樹、三浦 義文、市坂 有基、大平 智子、武藤 雄一郎【はじめに】元来,新生児は臨床的な所見を取りにくく,急変・重症化するリスクが高いと言われ,sepsis work upや広域スペクトラムな抗菌薬使用が行われている.今回,産院退院後,当院PICU に入室した新生児例についての振り返りを行った.【方法・対象】2012 年5 月~2015 年8 月(40ヶ月間)に,当院PICU に入室した新生児(~日齢28)を対象に,当院の診療録を用いて後方視的に検討した.なお,早期新生児入室例や検査・手術に備えた予定入室例は除外した.【結果】入室した新生児例は38例で,入室時平均日齢は16.2日であった.入室経路は,一般外来2例,救急外来21例(未紹介 13例),救急車6 例,搬送8 例(ドクターカー 4 例,防災ヘリ2 例,三角搬送2 例)であった.主訴(重複を含む)は,発熱・呼吸症状が各15 例と最も多く,哺乳・活気不良などのnot doing wellも9 例で見られた.内訳は,呼吸器 16 例,感染症(熱源不明)6 例,神経4 例,消化器 4 例,循環器 3 例,表皮・深部感染 2 例,外傷 2 例,その他 1 例で,9例で呼吸器管理を行った.また,社会面では,虐待を疑い院内カンファレンスを行った事例が3 例あり,うち2例を児童相談所へ通告した.平均入室日数は5.37日,死亡例は1例(2.6%),4 例で外来フォローを継続している.【考察】毎年10例前後の新生児入室があり,疾患要因は多岐に渡る.平均のPediatric Index of Mortality 2(PIM2)は5.9(全入室例平均 4.1)と,NICU未入室の新生児でも重症化のリスクは高く,中でも重症例(心筋炎・脳炎など)はウイルス感染が中心であった.速やかな搬送・適切な治療介入が救命の鍵となり,発熱やnot doing wellを契機に集中治療を要した例が散見された.CP37-3 当院PICU における小児重症管理の現状と課題東京慈恵会医科大学附属病院 小児科山岡 正慶、森 琢磨、伊藤 怜司、飯島 正紀、平野 大志、井田 博幸【緒言】近年の目覚しい医療の発展に伴い、専門性の高い小児高次医療を実現するためのPICU の重要性が注目されている。東京慈恵会医科大学附属病院は1075 床の大学病院で、2001年に総合母子健康医療センターが設立され、2002年よりPICUが2 床から運用開始となり、2006 年より4床に増床し現在に至っている。【目的】当院PICUに入室となった患者背景を明らかにし、現在の問題点や今後の課題を検討する。【方法】2009年1月1日から2015年8月31日までに当院PICUに入室した症例を対象に、診療録と患者台帳から後方視的に検討した。【結果】計703 例の入室があり、年間平均は105.8(± 11.1)例であった。疾患別の内訳では、循環器系が495 例(70.1%)と最多で、外科系が78 例(11.0%)、脳外科系が40 例(5.7%)、その他が93 例(13.2%)であった。緊急入室は257 例(36.6%)で、そのうち院外からの搬送は71 例(10.1%)、予定入室は446 例(63.6%)でそのうち術後管理症例は381例(54.2%)であった。搬送となった症例の多くは慈恵医大の関連病院からで、都内だけでなく、埼玉県や千葉県など県外からの搬送例が多かった。東京西部や神奈川県の関連病院からの紹介例は少なく、これは近隣に小児病院があるためと考えられた。【考察】当院のPICU は4 床という限られた病床数とマンパワーの中、年間約100 例の小児の重症管理を行っていた。対象は関連病院からの先天性心疾患や外科疾患と院内急変例が大多数を占め、外因系疾患を含めた救急外来からの3次症例の入室はほとんど見られなかった。今後、PICUの増床や専従医の設置に伴って、さらに地域の小児救急体制に根ざした受け入れ態勢の整備を進める必要がある。また、紹介元施設での初期対応や搬送において、若手レジデントや看護師に対する教育の充実が急務であり、重症小児の生命予後や長期QOL の改善のため、初療から搬送、患者集約システムの質の向上の必要性が示唆された。