ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
- ページ
- 678/910
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている678ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている678ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-676-CP36-1 ICU入室患者における口腔内評価の意義熊本大学 医学部附属病院 集中治療部内藤 久貴、蒲原 英伸、中川 純泰、山下 淳二、徳永 健太郎、早田 学、鷺島 克之、木下 順弘目的】ICUにおける重症患者は、気管挿管下における人工呼吸管理や胃管チューブ挿入によるドレナージや栄養管理が行われる。その際、歯の脱落・破折、口腔組織の壊死や口腔粘膜の異常を引き起こすことがある。 今回われわれは、当院ICU 入室患者の口腔内の評価を行い、その結果を基に若干の文献的考察を行ったので報告する。【対象】2015 年1 月1 日~6 月30 日の間、熊本大学ICUに入室した194名の患者で口腔内診察を行った102名を対象とした。【方法】入室早期に歯科医による口腔内の診察を行い、1.歯の状態(歯の動揺の有無:動揺度1 以上、歯周ポケットからの排膿)2. 口腔粘膜異常(潰瘍・びらん形成、血腫形成、発赤など)の有無について評価した。また予定入室患者で、術前に当院歯科口腔外科にて口腔内診察を行われていた19名については、入室前後の口腔内状態の変化についても検討した。【結果・考察】102名中で、口腔内に何らかの異常所見を認めたものは67名(65.7%)であった。そのうち入室前歯科診察をした19名において、術前の診察時に認めなかった口腔粘膜異常を10名(52.6%)と歯周ポケットからの排膿を1名(5.3%)に認めた。周術期の挿管チューブ管理や鎮静管理などが影響している可能性が示唆された。【まとめ】ICU入室患者は口腔内の異常を認める患者が多く、口腔内のスクリーニングとケアは重要である。当院ICUは歯科医も一般診療に関わり、看護師への教育・指導も含めた口腔内評価とケアが対応可能な環境である。一般には歯科医不在のICU が多く、必要に応じて歯科医への対診を行う必要があると考えられた。ポスターCP 36 口腔ケア 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP36-2 重症患者の口腔ケアに焦点を当てた「看る」「診る」視点へのチームアプローチ中部ろうさい病院長屋 佳奈子、小川 勝利、友原 千恵、安藤 千恵、坂口 栞、服部 祐子、内山 泉、佐藤 信枝【背景】当院ICU では重症患者に対し、1 日3 回の口腔ケアと口腔ケアシートに現状を記載していたが、口腔内トラブルが発生する現状があった。そこで、去年より口腔ケアチームを設立し、口腔ケア方法の標準化と学習会を行い、技術・知識の統一を図った。また、口腔ケアシートを改善し、口腔内を観察する視点を定めた。しかし、口腔ケアの技術は統一されたが、同じ方法で口腔ケアを行うだけでは、口腔内トラブルは減少しなかった。そのため、より患者の個別性に応じた口腔ケアを提供できるように介入する必要があった。【目的】統一された口腔ケアを基本に、予防的視点と専門的で個別性のある口腔ケアを提供することを目的とした。【方法】患者の個別性を見出すための場として、週1回の口腔ケアカンファレンスを導入した。また、専門的な立場からの視点を取り入れるため、口腔外科医・歯科衛生士の介入を依頼した。【結果】口腔ケアカンファレンスを通し、情報共有をしたことで、患者に行われている口腔ケア方法が明確となり、患者の個別性に応じた口腔ケア方法が選択できるようになった。また、口腔外科医・歯科衛生士により専門性の高い口腔ケアが提供され、一緒に口腔内の観察をし、口腔ケアを見学・指導してもらうことで看護師の口腔ケアに対する意識が高まった。【考察】口腔ケアカンファレンスを行うことで、情報共有、口腔ケア方法が検討され、個別性のある口腔ケアが提供されるようになったと考えられる。そして、不安や疑問を抱え込むのではなく、解決に向けた行動がとれるようになったと考えられる。また、口腔内の専門家の意見を取り入れ、技術を目にする機会が増えたことで、個人個人の知識・技術が向上し意識が高まったものと考えられる。【結論】口腔ケアカンファレンスは情報共有や口腔ケア方法の検討の場となり、個別性のある口腔ケアの提供につながる。CP36-3 口腔ケアの質の改善にむけた取り組み社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院増田 博紀、森田 幸子、渡邊 朝子昨年度、口腔ケアの質の改善に向けた取り組みとして口腔ケアに関するアンケート調査を実施し、その結果を基に、口腔ケアに関する教育と院内改訂版revised oral assessment guide(以下ROAG)による評価を統一するための資料改訂を行った。今回、その後のROAG 使用に関する現状調査を行った結果、今後の口腔ケア教育における課題が抽出されたため報告する。[方法]対象:平成26年7月~平成27年6月のHCU入室患者のうち全介助でケアを実施した症例データ収集と分析方法:評価表から【乾燥】【舌】【出血】【潰瘍】【歯垢】【口臭】【歯・義歯】【動揺歯】の項目を集計し、各項目の相関性を統計ソフトSPSS で相関分析を行った。評価表のコメントは内容を集約しROAGとの関連性を評価した。[結果と考察]ROAGのスコアは単独ではなく、【乾燥】と【舌】、【出血】と【潰瘍】、【歯垢】と【口臭】、【歯・義歯】と【動揺歯】の2項目間で相関性を示した。その中でも乾燥防止は口腔環境を正常に保つ上で重要とされるため、【乾燥】の項目は【乾燥以外の項目】と相関すると考えたが、【乾燥】と相関したのは【舌】のみであった。また、【乾燥】【舌】では、高い平均値を示しており口腔内の異常として認めやすく、【歯垢】【口臭】【歯・義歯】の平均値は低く口腔内の異常として頻度が少ないことがわかった。【乾燥】の平均値は10 月~1 月で高いスコアを示しており、湿度が影響した可能性がある。コメントは、「使用物品やケア方法」「問題の詳細」「専門チームへの依頼」などが記載されており、スコアだけでは共有困難な情報を明確化する役割を担っていた。[結果]ROAGのスコアは複数の項目で相関があり、単独の項目で問題が発生した場合にも口腔内に包括的にケアを実施する重要性が示唆された。スコアだけでは共有困難である詳細な情報を明確にするため、スタッフ教育を行いコメントの記載を充実させることが必要である。