ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-675-CP35-4 先天性心疾患術後ECMO装着患児に対し、覚醒下にRTXR を使用した呼吸理学療法を行った1 例1)国立循環器病研究センター 看護部 ICU病棟、2)国立循環器病研究センター 小児心臓外科金行 梨江1)、小澤 あかね1)、加藤 佑衣1)、兵頭 昇1)、志村 ともみ1)、森内 里枝1)、渡邉 裕美子1)、帆足 孝也2)、鍵崎 康治2)、市川 肇2)【はじめに】心肺補助循環装置(ECMO)は小児心臓外科術後急性期集中治療管理に用いられることがあるが、ECMO装着下での呼吸理学療法のため覚醒下に陰圧人工呼吸器(以下RTXR)を用いた報告はない。【症例】左心低形成症候群に対する両側肺動脈絞扼術後の10か月男児。ノーウッド・両方向性グレン術施行も上大静脈圧高値、心収縮不良にて人工心肺離脱できずECMO装着、開胸状態でICU入室。その後胸腔内血腫貯留と肺出血により有効換気容積は著明に減少。この間冠動脈血流路狭窄による心筋梗塞とグレン経路狭窄を診断され、ステント留置施行。将来のECMO離脱にはグレン循環の成立が不可欠であったため、心房脱血・無名動脈送血ECMOとして閉胸、鎮静剤を中止し咳嗽反射獲得のもとRTXRを使用した呼吸理学療法を実施、肺の状態改善を期待した。【方法】施行に際して考えられる問題は1. 出血(特に頭蓋内)、2. ECMO送脱血管の屈曲・位置変化や事故抜去、および3. 児の努責や啼泣、受け入れ不良による循環動態の悪化。1に対し実施前にACT・APTT値の過延長の有無を確認、実施中は医師が頭部を保持、実施前後は看護師が神経徴候の変化を観察。2に対し予めショットラインの確認と輸液を準備した上で、ECMO流量変化を臨床工学技士が確認、体位変換時には医師、看護師で送脱血管を保持。過度な振動を避けるためRTXRはコントロールモードで実施。3に対し覚醒度・バイタルサインと児の表情を看護師が観察。左右完全側臥位、半腹臥位で2分×2クール/日を実施。【経過】初回実施時はキュイラス装着時点でECMO流量が1.0から0.78(L/min)へ低下、RTXRは実施出来ず。2回目以降は送脱血管への圧迫を避け、かつ背面への効果が得られるよう1サイズ大きなキュイラスを使用する事で、ECMO流量は低下しなくなった。安定したECMO流量と覚醒度のもと27日間問題なく実施。有効換気容積は有意に上昇し人工呼吸器を離脱、グレン循環の改善を得た。CP35-5 当院一般病棟における酸素療法の実態とルール整備に向けた取り組み1)小倉記念病院 看護部、2)小倉記念病院 検査技師部 工学課山田 剛史1)、立野 淳子1)、道越 淳一2)、森田 真2)、有田 孝1)、上田 千晶1)【はじめに】H27年度、当院集中ケアチーム(急性・重症患者看護専門看護師、集中ケア認定看護師)の活動目標の一つに「安全で適切な酸素療法の実施」がある。1 回/週の病棟ラウンド時に酸素療法中の患者を対象に、酸素療法の実態把握、問題点の抽出と改善に取り組んでいる。【目的】当院一般病棟における酸素療法の実態を明らかにし、不適切な酸素投与に関する集中ケアチームの介入の効果を検証すること。【方法】対象:当院一般病棟で酸素療法を受ける患者(術後や検査後の一時使用は除外)、期間:H27年4月~8月、データ収集方法:1回/週の病棟ラウンド時、酸素療法を受ける全ての患者を抽出し、酸素投与方法、流量の確認。集中ケアチームによる介入:1.不適切な酸素療法を確認した場合には、病棟主任やスタッフに問題点や改善案を提案。2.科長会や主任会での現状報告。3.医療安全委員会を通して、酸素投与方法の統一に向けた院内ルールの整備と勉強会を通じての啓蒙活動。分析方法:酸素療法対象者数及び酸素投与方法、不適切な酸素療法の件数を月毎に単純集計した。【倫理的配慮】発表に際し、院内倫理審査委員会の承認を得た。また、データには個人が特定できる情報を含まないよう厳重に注意した。【結果】1.酸素療法のべ対象者数及び投与方法:4月50 件、5月145 件、6月131 件、7月121 件、8月124 件。投与方法は、カニューラ80.7%、酸素マスク7.8%、リザーバーマスク2.3%、人工鼻(気管切開用)5.9%、ネーザルハイフロー0.9%、NPPV0.6%、IPPV1.8%。2. 不適切酸素療法ののべ件数:5 月29 件、6月37件、7 月19 件、8 月21 件。内容は、酸素ボトルの日付記載漏れが最も多く、次いで不適切な酸素投与方法の選択であった。【考察】本取り組みを通して、院内一般病棟における酸素療法の問題が明らかになり、改善に向けたルール作りにつなげることができた。今後も適切で安全な酸素療法の実施に向けた取り組みを続けていきたい。CP35-6 集中治療領域における人工呼吸器離脱にむけた取り組み独立行政法人国立病院機構呉医療センター竹田 明希子【背景】医療が高度化・複雑化し診療体制は細分化が進み,専門的知識が必須となった.救急・集中領域は生命危機に瀕した重症患者が搬送され需要はあるが,その領域を担う医師は減少傾向で当院も同様な状況である.集中領域での人工呼吸器装着患者の早期離脱に向けた当院で取り組みを報告する.【目的】人工呼吸器離脱プロトコルを作成,それに従い診療看護師が介入することで人工呼吸器からの離脱が可能か検討した.【研究方法】期間:平成26 年3月1日~平成27年6月まで対象:救命救急センターに入室した人工呼吸器装着患者のうち,主治医より本プロトコルの実施指示を受けた患者方法:< 1>本プロトコルの治療成績,<2 >本プロトコルの問題点【結果】本プロトコル導入後の介入数は49症例.外科が55%,次いで耳鼻科13%,その他2~10%であった.外科では定時・緊急手術ともに手術件数が増加,状態の悪い緊急手術患者は合併症のリスクも高く基礎疾患が改善しない中でのプロトコル介入となった.耳鼻科では,術前からの依頼が増加し術前後の評価を行い抜管時期や問題点を検討することで挿管日数が短縮した.プロトコルを用いウィニングを進めたが感染コントロール,胸水貯留,リフィーディング時期の評価など水分管理が困難な患者で再挿管症例も認めた.【結語】プロトコル導入は段階を得た離脱の方法が分かり,統一した視点での介入となった.また,チームでの介入は個々の専門性が発揮でき,共通言語で会話をする中で全体のレベルアップに繋がった.しかし長期の経過の中で多くの診療科の併診等で判断に迷う場合,介入を中止すること,あるいは積極的に進める判断も時として必要であり,それらの症例をチームで共有し振り返ることが重要である.