ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-665-CP30-4 AN69ST膜sepXirisを使用した前希釈CHDF における小児2 症例の回路内凝固の考察1)藤田保健衛生大学病院 血液浄化センター、2)藤田保健衛生大学 医学部 腎内科、3)藤田保健衛生大学 医学部 麻酔・侵襲制御医学講座山田 幸恵1)、新 典雄1)、加藤 政雄1)、長谷川 みどり2)、湯澤 由紀夫2)、西田 修3)【背景】2014年夏、敗血症治療のデバイスとしてAN69ST膜sepXiris(以下AN膜)が登場した。今回、小児にAN膜0.6m2使用したので報告する。【症例と経過】2014年6月~7月に、急性血液浄化療法を要する2症例に、PMMA膜0.6m2を用いて前希釈CHDFを開始した。しかし、両症例とも回路内凝固が発生し、抗凝固薬の増量や投与部位の変更など行うも改善せず、PS膜0.8m2に変更した。その後、炎症マーカーの再上昇を認め、新規採用となったAN 膜0.6m2 に変更した。AN 膜0.6m2に変更後の経過を示す。症例1)3歳10 か月の男児、BW12.9kg。肺炎、横紋筋融解症疑い。1本目は、脱血不良を認め、抗凝固薬が脱血側から投与されたフサンのみであり、膜寿命が165分だった。2本目は、カテーテル挿入部位を変更し、さらに脱血側からフラグミンを追加して投与したことで、膜寿命が1265分に延長した。その後、22日目に離脱した。症例2)4歳11か月の女児、BW17.2kg。HUS。抗凝固薬は、脱血側からフラグミンを投与し静脈チャンバーからフサンを投与したが、膜寿命が3~4 時間だった。そこで、濾過率を下げるために置換液速度を下げたが、膜寿命は4~6 時間だった。このため、置換液速度を再び増加し、膜寿命は7~13 時間となった。その後、17 日目に離脱した。【考察】症例1では、脱血不良の改善と、脱血側からフサン加えてフラグミンを投与したことで、膜寿命の延長を認めた。このことから、不安定な血液流量と血液濾過器での抗凝固薬の吸着が、膜寿命を短くしたと考えられた。症例2では、置換液速度の低下により膜寿命が短縮したことから、濾過率を考慮したうえで、置換液速度を増加させて血液回路内流速を確保することが必要と考えられた。【まとめ】AN 膜を用いた小児に対する前希釈CHDFでは、抗凝固薬の投与方法や血液回路内流速の増加が膜寿命の延長につながると考えられた。CP30-5 炎症性疾患におけるsepXiris使用経験1)静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 臨床工学室、2)静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 腎臓内科占部 泰寛1)、平澤 幸太郎1)、小竹 亮輔1)、山田 健太1)、関本 崇1)、神園 武1)、森 典子2)【はじめに】当院では2014 年10 月からBaxter 社製持続緩徐式血液濾過器sepXirisR を炎症性疾患の患者を対象に使用し始めた。今回、sepXirisRの臨床評価を炎症性疾患症例ごとに比較検討した。【目的】炎症性疾患患者に対して施行したRRT において、sepXirisRを使用した症例をA群、PMMA-CHDFを施行した症例を非sepXirisR症例のB群とし、両群間の臨床効果を血液検査をもとに比較検討する。【対象】2014 年4 月からRRT が施行されたA 群25 件、B 群19 件のうち、炎症の原因として多かったものは肺炎(A:B = 11:3)、消化管穿孔(A:B = 2:5)、術後感染(A:B = 4:4)であった。今回、各症例でのA 群、B 群での臨床効果について比較する。尚、両群ともPMX-DHP併用症例を含む。【方法】感染性疾患ごとにRRT 施行前と離脱時のWBC、CRP、Lac、APACHE2score、血液浄化施行期間、ICU 施行期間、28 日生存率について、sepXirisR 施行症例を東レ社製持続緩徐式血液濾過器ヘモフィールR(PMMA)の施行症例と比較した。【結果】RRT 施行前と離脱時の血液検査で有意な改善が認められたのは、肺炎がある症例に対して施行されたsepXirisR症例におけるCRPの低下のみであった。A群B群の2群間では、どの炎症性疾患においてもB群よりA群の方がICU滞在期間は短かい結果となったが有意性は確認されなかった。【結語】今回の検討ではsepXirisR施行による有意性は確認できなかった。CP30-6 敗血症性ショックに対するAN69ST-CHFとPMX+CHFの臨床効果の比較検討1)札幌医科大学附属病院 臨床工学部、2)札幌医科大学 医学部 集中治療医学千原 伸也1)、小川 輝之1)、島田 朋和1)、山口 真依1)、中村 勇輝1)、室橋 高男1)、数馬 聡2)、巽 博臣2)、升田 好樹2)、山蔭 道明2)【背景】敗血症性ショックに対するAN69ST 膜を用いたCHF(AN-CHF)とPMX-DHP とPS 膜を用いたCHF の併用(PMX-CHF)の臨床効果について比較検討した.【対象と方法】敗血症性ショックに対し血液浄化療法を施行した18症例を対象とした. AN69ST-CHF施行群(AN-CHF群:9例)とPMX-DHP 施行にPS 膜を用いたCHF を併用した(PMX-CHF 群:9 例)に分類し,年齢,性別,APACHE II score,SOFAscore,28 日予後,治療開始時・24 時間後のカテコラミン投与量(CAI),治療開始時・6 時間後・24 時間後のIL-6の血中濃度を比較検討した.【結果】両群の年齢,性別,APACHE II score,SOFA score,28 日予後に差はなかった.CAI はAN-CHF 群では治療開始時18.4± 10.8,24 時間後では16.7 ± 15.6 と有意差はなかったが, PMX-CHF 群では治療開始時の19.8 ± 10.8 から,24 時間後には4.7 ± 4.0と有意に低下した(p=0.0156). IL-6 の血中濃度はAN-CHF 群で治療開始時に1,398 ± 735pg/mL で,6 時間後380 ± 242pg/mL,24 時間後218 ± 184pg/mL と有意に低下した(p=0.0355,p=0.0340).一方,PMX-CHF 群では治療開始時に1,466 ± 1,095pg/mL,6 時間後では1,279± 826pg/mL で,24時間後には448±132pg/mL と有意に低下した(p=0.0340).【まとめ】敗血症性ショックの早期離脱にはPMX+CHF 療法が有用である一方,サイトカイン制御を期待するのであればAN69STを用いたCHF が選択肢の一つになりえる.