ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-664-CP30-1 劇症肝炎に対するHigh Flow HDF 療法施行時の膜の検討1)慶應義塾大学病院 医用工学センター、2)慶應義塾大学病院 麻酔科学教室畠山 龍人1,2)、冨永 浩史1)、平林 則行1)、上田 朝美2)、鈴木 武志2)、森崎 浩2)【はじめに】劇症肝炎や重症肝不全では肝性脳症をはじめ重篤な合併症を発症する可能性がある。これに対し、当院では肝補助療法としてHigh Flow HDF(以下HFHDF)を行い肝性脳症の改善を図っている。今回、HFHDFに使用する透析膜をアンモニア(以下NH3)の除去量、施行時間にて比較検討を行った。【対象】2013年1月から2015 年6 月まで施行した劇症肝炎6人、重症肝不全7人、計13 人、HFHDF 施行回数 69 回を対象とした。【方法】装置はNDF-21 を使用し透析膜はAEF-10 とSHG-1.0 使用した。血流量は120ml/min、補液流量は1000ml/hr、透析液流量は300-500ml/min を用いて治療を行った。NH3 は朝の採血結果をPre、翌日朝の結果をPostとし、膜ごとに10~20hr未満、20hr以上施行した群に分け、施行時間及びNH3除去効率の比較検討を行った。【結果】SHG は5 人に対し施行回数15 回で施行時間は最短3hr、最長19hr、11.14hr ± 1.5(平均± SD)であった。 AEF は12 人に対し施行回数54回で施行時間は最短2hr、最長23hr、14.06hr ±0.785であり、どちらの膜も有意差はなかった(p>0.05)。NH3の除去量は10~20hr 未満のSHG の結果はPre111.1 μ g/dl ± 19.3、Post80.7 μ g/dl ± 28.5 であった。AEF ではPre108.7 μ g/dl ± 45.0、Post90.3 μg/dl ±37.9 であり両群とも有意な効果があった(p <0.05)。SHG の場合20hr 以上施行できた症例はなかった。AEF の場合20hr 以上施行した回数は11 回あったが、データの改善は見られなかった(p> 0.05)。【考察】同一症例ではじめSHG で開始、その後AEFに変更した症例と、その逆の症例で施行時間について比較をしたがAEFの方が有意に施行できた。【結語】今回、HFHDFに使用する透析膜のNH3除去量及び施行時間について検討した。施行時間20hr以内であればSHG及びAEFは有意に効果があった。しかし、20hr以上ではどちらの膜も有意に施行できないため改善が望まれる。ポスターCP 30 腎臓・腎機能・血液浄化① 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP30-2 4%クエン酸Na を抗凝固剤としたCRRT実施経験1)独立行政法人 労働者健康福祉機構 千葉労災病院 臨床工学部、2)同 救急・集中治療部長見 英治1)、久我 洋志1)、小倉 健1)、堀川 俊之介1)、岡崎 徹1)、山口 友生1)、高村 卓志2)、伊良部 真一郎2)、森脇 龍太郎2)【緒言】近年のICUでは急性腎不全への腎臓代替療法(CRRT)だけでなく、敗血症の炎症物質であるインターロイキン6などhumoral mediator の除去目的でも血液浄化療法が実施され、海外で優れた報告があるポリ・アクリロニトリル(PAN)膜のSepXiris が日本でも発売され当院でも使用を開始した。他方、敗血症は外科手術後に発症することもある。そのような場合ヘパリンでは出血を助長させるため、本邦ではナファモスタットメチル酸塩が用いられてきたが、SepXiris はナファモスタットメチル酸塩も吸着し血液回路が凝固し継続ができなくなる可能性は否定できない。また、海外では、出血傾向がある患者へのCRRT に抗凝固剤としてクエン酸Na が用いられている。今回、当院で4%クエン酸Na(チトラミン)によるCRRTを実施したので臨床工学技士の視点から報告する。【方法】装置はJUN505・55X を用いモードはCHDF。チトラミンは補液ポンプにて60~100mL/h で抗凝固ラインへ、塩化カルシウム(1.0mEq/mL)は装置のシリンジポンプにて三方活栓をバスキュラアクセスと返血回路の間に接続し1.0~2.5mL/hで注入。透析液はサブラッドBSG(Ca3.5mE/L)を用いた。以上より装置トラブル発生時にもすべてが連動して停止するためクエン酸やCa の過剰投与が防止可能である。なお実質CHD となるが、接続部を変更すればCHF でも可能である。【結果・考察】フィルターV側ヘッター部およびVチャンバーに残血を認めた事もあったが継続できなくなるような問題にはならなかった。なお患者のpHは7.5 になることもあった。また凝固時間の目安としてACT を指標としたが、クエン酸を用いた場合のモニターとして確立おらず検討課題もある。【結語】出血傾向がある患者に対してのCRRT に抗凝固剤としてクエン酸Naが有用である可能性が示唆された。CP30-3 CRRT における回路交換についての検討北里大学病院 ME部田村 美沙紀、木下 春奈、中村 恭子、佐藤 さやか、藤井 正実、東條 圭一【目的】持続緩徐式血液濾過療法(CRRT)では、様々なアラーム発生要因により治療中止および中断を余儀なくされる。そして、その発生は予測することが困難であるため、休日深夜に回路交換を実施する場合が少なくない。そこで今回我々は、回路交換を実施した血液濾過器の中空糸膜抵抗について検討し、回路交換が必要となる要因について検討したので報告する。【方法】血液濾過器は、当院で使用している旭化成メディカル社製エクセルフロー、東レ株式会社製ヘモフィールCH とし、治療中止および中断理由により動脈圧上昇、膜間圧力差(TMP)上昇、離脱の3群にわけ比較検討を行った。検討では、まず患者に使用したCRRT回路を廃棄前に回収し生理食塩水で置換し、回路内の血栓の状態について目視にて観察を行った。その後、血液濾過器を実験回路に接続し、遠心ポンプを用いて、血液濾過器入口側に一定の圧力で水道水を流入させ、静脈側、濾過側それぞれの流量と圧力を測定し、測定値から中空糸膜抵抗を計算し検討を行った。【結果・考察】動脈圧上昇、TMP 上昇、離脱の3 群間における平均使用期間に有意差は見られなかった。動脈圧上昇群は目視により血液濾過器流入部の血栓の付着が多く確認され、中空糸膜抵抗は離脱群と比較し有意に高値であった。これより、動脈圧上昇は中空糸内部での血栓よりも血液濾過器の上流の脱血回路で発生した浮遊血栓の付着により発生した可能性が高いと考えた。これより、中空糸膜抵抗の上昇は使用期間によらず、患者状態による影響が大きいことが示唆された。【結語】今回、動脈圧上昇やTMP 上昇により、それらの発生を予測するための一つとして、中空糸膜抵抗について検討した。その結果、動脈圧上昇を使用期間により予測することは困難であることがわかった。