ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-663-CP29-4 ICU 内で発生した後頭部に限局した褥瘡の4 症例福山市民病院高端 真梨、馬屋原 涼子、重政 兼悟、中村 道明、宮庄 浩司【はじめに】2014 年度当院救命救急センターICU において4症例に後頭部に限局する褥瘡を経験した。ICUの褥瘡発生件数の15%と多く発生したため、発生要因について検討したので報告する。【方法】褥瘡発生の要因となるデータを集計、比較検討した。【対象】A:86 歳、男性、外傷性脊髄損傷、両側多発肋骨骨折。頚椎カラー使用、入院後7 日間の完全仰臥位。入院時JCSII-20。人工呼吸器管理。枕はタオル使用。発生確認7日目。Alb3.0g/dl、BMI17.5 B:84歳、女性、、頭部外傷、急性硬膜下血腫、入院時JCSIII-100。人工呼吸器管理。13 時間の仰臥位。後頭部骨突出あり。枕は体圧分散用具使用。発生確認5日目。Alb3.5g/dl、BMI18.0 C:47 歳、男性、外傷性くも膜下出血、頭蓋底骨折、多発性III 度熱傷。搬入時III-300。植皮術後、人工呼吸器管理。6日間は完全仰臥位。枕は体圧分散用具使用。発生確認7 日目 。Alb3.5g/dl、BMI22.6 D:57歳、男性、アルコール性ケトアシドーシス。入院時JCSI-1。人工呼吸器管理。循環不全のためノルアドレナリン1.8γ/H使用。枕はタオル使用。発生確認3 日目。Alb4.1g/dl、BMI17.4【結果】各症例はAlb3.0~4.1g/dl、BMI17.4~22.6 であり、Alb 値は低栄養~ 標準値、BMI はやや痩せ型~ 標準体型であった。72時間以上の絶対安静が必要であり局所の圧迫が続いていた。D症例は循環不全が持続しており発生しやすい状況にあった。頭部除圧は、体圧分散用具やタオルを使用していたが選択基準はなかった。【考察及び結語】治療上必要な鎮静薬や循環を維持するための各種薬剤の影響、治療上余儀なくされた体位制限が発生の要因と思われる。また除圧方法や枕の選択が標準化されていない事も要因の1つであった。要因を理解し、除圧方法や除圧デバイスの選定、タイミングなどの標準化、絶対安静時の頻回な観察や72 時間以上続く安静時に医師と体位調整可能であるか相談する必要性があることが示唆された。CP29-5 便失禁管理システムに関する不具合の原因と不具合に応じた管理方法の検討金沢大学附属病院津田 恭子、栗原 早苗、越野 みつ子【概要】便失禁管理システムは、水様便を閉鎖的に回収・管理するシステムであり、肛門周囲の皮膚障害や感染を予防する目的で熱傷や褥瘡患者に使用している。当院集中治療室では皮膚障害や感染予防に限定せず、強度の下痢を引き起こす患者に使用していたが、「臭い」「便漏れ」という管理上の不具合があり、看護師に困難感があることが分かった。しかし、その不具合の発生頻度や困難感について具体的には不明であり、便失禁管理システム使用中の不具合と管理方法について明らかにすることを目的とした。【方法】強度下痢のため便失禁管理システムを使用した患者15名より、対象者の概要と、便失禁管理システム使用中の不具合に関する項目について、調査用紙を用いてデータを収集し、記述統計を行った。倫理的配慮は、研究の参加は自由であり、途中で辞退しても不利益は生じないこと、個人が特定されないよう収集・分析を行うこと、学会において公表することを文書と口頭で説明し、同意書の署名をもって同意とした。利益相反なし。【結果】対象者の使用期間は、7.7±5.2日で(最小3日最大21日)あった。不具合は、回収パックからの臭いと挿入部からの便漏れ以外はなかった。回収パックからの臭いありは8名(53.3%)で、そのうち5 名は、循環補助装置を使用し、ほぼ毎日臭いを感じていた。挿入部からの便漏れは、7 名(46.7%)で、そのうち4 名は臭いなしであった。【考察】循環補助装置を使用していた5 名は、腹部臓器の虚血に伴い腸内環境の悪化が臭いの原因であると考えた。対策は、毎日のチューブ洗浄とパック内消臭剤の散布をすること、回収パック交換回数を増やすこと、光触媒機能付きカーテンの使用の検討があげられた。便漏れしていても半数は臭いなしと判断されており、臭いと便漏れの関連はなく、チューブ内径より排液量が多くなることが便漏れの原因であると考え、便の排液が滞らないような対策が必要であった。