ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-654-CP25-1 理学療法士による超音波診断装置(USG)を用いたICU患者の下肢筋厚測定の有用性潤和会記念病院 リハビリテーション療法部馬場 義行ICU入室患者の理学療法の客観的効果判定は適切な指標は少ない.理学療法士による超音波診断装置(USG)を用いた下肢計測が客観的効果判定の指標となりうると考えた.【対象】ICU入室中の脳血管障害患者4人【方法】USG(東芝nemio-XG)を用いて,大腿四頭筋厚と前脛骨筋厚を計測した.測定位置はCroftsらの方法に従い,大腿四頭筋厚(QMT)は膝蓋骨上縁より近位10cmの位置,前脛骨筋厚(TAMT)は膝関節裂隙と外果を結んだ線の近位20%の位置とした.計測は3回行い平均した.発症日の筋厚を100%とした.また下肢をギプス固定した患者の計測値と比較した.【症例1】40 歳代男性.右被殻出血と脳幹梗塞により血腫除去術と開頭減圧術が施行された.左右Brunnstrom stage(Brs):II-II-II.発症61 日目のQMT は右が45%,左が61%,TAMTは右が71%,左が72%であった.USGで徐々に筋が高輝度になっていくのが観察された.【症例2】90歳代女性.左被殻出血.右Brs:I-I-I.発症7 日目のQMT は右が74%,左が93%,TAMT は右が69%,左が76% であった.【症例3】60 歳代男性.左MCA 領域の心原性脳塞栓症.右Brs:I-I-I.発症7 日目のQMT は右が83%,左が98%,TAMT は右が98%,左が78% であった.【症例4】80歳代女性.左被殻出血.右Brs:I-I-I.発症14日目のQMTは右が84%,左が97%,TAMTは右が75%,左が79%であった.【考察】ICUにおける重症患者の下肢形態を,発症翌日より理学療法士が計測した報告はない.ICU患者の下肢筋厚は,ギプス固定した患者と比較し筋厚減少の度合いは大きかった.また,麻痺側下肢の方が非麻痺側より筋厚が小さくなる患者が多かった.筋厚が減少するに伴い,USG画像上では輝度が上昇していた.この輝度の上昇は筋内脂肪の増加を反映するとされている.USGは簡便で非侵襲的である.理学療法士によるUSGを用いたICU患者の下肢筋厚測定は,理学療法の客観的効果判定の指標として有用である可能性がある.ポスターCP 25 早期離床・リハビリテーション① 2月12日(金) 15:00~16:00 CPポスター会場CP25-2 ICU リハビリテーションにおける疾患別座位達成度の比較1)京都市立病院 リハビリテーション科、2)京都市立病院 循環器内科、3)京都市立病院 集中治療科、4)京都市立病院 麻酔科岡村 正嗣1)、藤田 康孝1)、志水 泰夫1)、内田 真樹1)、中村 陵子2)、松永 晋作2)、島 正巳2,3)、岡田 隆2)、安本 寛章3,4)、荒井 俊之3,4)【目的】近年,ICUにおける早期リハビリテーションの効果などが報告されているが,疾患別の検討報告は少ない.そこでARDS・重症肺炎患者と心不全患者について,重症度・座位達成の可否・転帰・ADLなどを調査した.【対象・方法】2014年4月から2015年3月までにARDS・重症肺炎,心不全の診断でICUに入室し,理学療法を実施した計37例(ARDS・重症肺炎群21例,心不全群16例)を対象とした.診療録より後方視的に,年齢,性別,APACHE2スコア,入室時SOFAスコア,入室時P/F比,ICU退室までの座位達成の可否,ICU在室日数,死亡率,退院時ADL,在院日数を調査した.各調査項目をARDS,心不全の2 群に大別し,二項解析を行った.全ての統計解析にはEZR を使用した.有意水準は5%とした.【結果】年齢・性別・APACHE2スコア・入室時SOFAスコアは有意差を認めなかった.入室時P/F比はARDS 群が相対的に低値であった(p=0.014).ICU 在室日数は心不全群6 日に対してARDS 群11.5 日と長期化し(p < 0.01),死亡率は心不全群0% に対してARDS群33.3%と高値を示した(p=0.032).ICU退室までに座位を達成した割合は,心不全群が93.8%に対してARDS群は57.1%であったが(P=0.035),退院時ADLは2群間で有意差を認めなかった.在院日数は2群間に明らかな差を認めなかった(p=0.081).【考察】酸素化能や疾患特性・治療介入への反応性の違いが座位達成の可否に影響したと考えられた.ICU における疾患の重症度に対応したリハビリテーションが重要である.CP25-3 持続的腎代替療法施行中のリハビリテーション実施状況および安全性についての検討1)北里大学病院 リハビリテーション部、2)北里大学 医学部 麻酔科学見井田 和正1)、黒岩 政之2)、宮崎 道輝1)、新井 正康1)【背景】近年、集中治療(ICU)における早期リハビリテーション(リハビリ)は実現可能であり安全であると言われている。一方、ICUにおける持続的腎代替療法(CRRT)とリハビリとの関連性やその安全性についての報告はほとんどない。【目的】CRRT 施行中のリハビリテーション実施状況およびその安全性について明らかにすること。【方法】2014 年8月から2015年7 月までに、当院ICUでCRRT 中にリハビリを実施した16例を対象とした。検討項目は、まず総セッション数を調査した。その中で、人工呼吸器ありの回数、バスキュラーアクセス(VA)の部位とその部位での回数を調査した。また、In-bed Exercises(In-bed)とOut-ofbedExercises(Out-of-bed)それぞれの回数と内容および特徴を抽出した。さらに機器の転倒、VAの抜去等、医療安全面に関して検討した。【結果】総セッション数は51回であった。そのうち、人工呼吸器ありは33回であった。VA部位は内頸と大腿静脈であり、それぞれ24回と27回であった。In-bedは49回であり、内容は神経筋電気刺激、ベッド上起坐位(起坐位)等であった。VAが大腿静脈であるとほとんどがIn-bedであり、起坐位も実施していなかった。起坐位を実施したのは8回であり、人工呼吸器ありと内頸静脈の組み合わせで多かった。一方、ベッドアップや患者の首振り等により動脈圧低下等のアラームが鳴り、起坐位を実施できなかったのが8回見受けられた。Out-of-bedは2回のみであり、端座位と斜面台立位が1回ずつであった。今回の調査において、医療安全面での問題は1件も認めなかった。【考察】CRRT中のリハビリはIn-bedが多く、起坐位さえも実施できていないことが明らかとなった。今後のリハビリ内容は再考が必要と考えられる。一方、今回の検討では医療安全は問題なかったが、対象回数が少なかったことも要因と考えられるため、今後も調査を継続していく必要がある。