ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-649-CP22-4 ショック離脱困難な出血性十二指腸潰瘍に対して, 大動脈閉塞バルーン(IABO)挿入法併用が有用であった1 例1)福岡徳洲会病院 消化器内科、2)福岡徳州会病院 集中治療センター谷川 祐二1)、本里 健一郎1)、岡林 慎二1)、増谷 勇太1)、二ノ坂 建史1)、福田 容久1)、樋口 裕介1)、阿部 太郎1)、仲道 孝次1)、江田 陽一2)【背景と目的】IABOは外傷や腹部大動脈瘤破裂による出血性ショックの初療や術中の一時的止血手段の一つである. 今回, ショック離脱困難な急性出血性十二指腸潰瘍に対して, IABO 挿入法併用により視野確保に成功し内視鏡的止血術を完遂し得た一例を経験した. その一例を報告すると共に, 消化管出血に対する内視鏡的止血術とIABO挿入法併用について文献的考察を含めて報告する.【症例】80歳, 女性. 心窩部痛と黒色嘔吐を主訴に老人保健施設より車椅子にて当院外来受診となった. 来院時は意識レベルJCSI-3, 血圧72/44mmHg, 脈拍75 回/ 分, SpO2:99%(大気下), 体温36.4℃であったが, 待合中に新鮮血吐血を認め, まもなく下顎呼吸, 両側橈骨動脈触知不可となった. 上部消化管出血と判断し, すぐに末梢静脈輸液開始し, 同時に中心静脈ルート確保と挿管による人工呼吸器管理を開始とした. 輸血を行いながら1回目の上部内視鏡検査施行し, 十二指腸球部後壁の潰瘍性病変は確認できたものの, 出血により露出血管の有無は確認できず, 視野確保も困難な状態であった. 血圧低下により一旦中止. 輸血をポンピング投与に変更し収縮期血圧80mmHg台までの上昇を確認してから2 回目の上部内視鏡検査を施行したところ, 出血量増加によりさらに視野確保困難であり, まもなく心肺停止となった. 心肺蘇生を行い14分間で蘇生. 血圧確保目的にIABO挿入を施行することとした. 7Fr, ○○バルーンを使用し, 非透視下で左大腿動脈からIABO カテーテルを挿入. バルーンのinflate(注入量15ml : 血管内径25mm)を行ったところまもなく上半身の動脈血圧はショック状態から回復したため, 3回目の上部内視鏡検査を開始. 大動脈部分遮断を行うと噴出性出血認め出血点が確認できたが, 周囲の正常粘膜からも滲出性出血の持続を認めた. フォローの血液検査でDIC の状態であったことから, 新鮮凍結血漿製剤投与を行いながら, HSE と凝固止血を繰り返した.CP22-5 重症急性膵炎に合併した多発消化管穿孔に対し、ドレナージにて非手術的に治療しえた2 例大阪市立大学医学部附属病院 救命救急センター森岡 貴勢、山本 朋納、寺田 貴史、晋山 直樹、西村 哲郎、山本 啓雅、溝端 康光【緒言】重症急性膵炎における腸管穿孔は、比較的稀な合併症であり、治療として腸管切除および人工肛門造設が選択されることが多い。今回我々は、多発消化管穿孔を合併した重症急性膵炎に対し、ドレナージ療法のみにて治療しえた2例を経験したので報告する。【症例1】67歳、男性。前医にてEST後に急性膵炎を発症し、当センターに搬送された。入院時の重症度スコアは5点(CTgrade2)であった。敗血症性ショック、急性呼吸不全、急性腎不全、急性肝不全、DIC を合併し、さらに第11病日に感染性膵壊死と後腹膜膿瘍を認めた。抗菌薬投与と後腹膜腔への経皮的ドレナージを実施したが改善せず、胃周囲から肛門周囲まで広範囲に膿瘍が拡大したため、第29 病日に開腹ドレナージ術を施行した。その後、経過中に行ったドレーン造影で十二指腸・結腸に穿孔を認めた。穿孔部周囲にドレーンを挿入し、洗浄を継続したところ、第143 病日には経口摂取可能となり、第179 病日に転院した。【症例2】79 歳、男性。総胆管結石による急性膵炎で転送された。入院時の急性膵炎重症度スコアは6 点(CT grade2)であった。第50 病日に感染性膵壊死・後腹膜膿瘍を認めたため、抗菌薬投与とともにCTガイド下に網嚢内と膵頭部周囲にドレーンを挿入した。その後、第66病日のドレーン造影で胃・十二指腸・横行結腸および小腸に穿孔を認めた。ドレナージと洗浄を繰り返すことで、第119病日には経口摂取可能となった。【結語】今回の2 症例は、重症急性膵炎に感染性膵壊死と後腹膜膿瘍、さらに多発する消化管穿孔を合併したもので、2 例ともドレナージ療法により穿孔部の閉鎖を得た。本疾患での消化管穿孔は、炎症による高度な癒着により必ずしも汎発性腹膜炎とはならないため、開腹での結腸切除や人工肛門造設に伴う新たな損傷のリスクを避け、低侵襲な経皮的ドレナージを試みることも考慮すべきである。CP22-6 重症急性膵炎に対する持続的血液濾過透析の治療効果についての検討山梨大学 医学部 救急集中治療医学講座柳沢 政彦、松田 兼一、森口 武史、針井 則一、後藤 順子、原田 大希、菅原 久徳、高三野 淳一、吉野 匠当ICU で2005 年10 月1 日から2015 年4 月1 日までに重症急性膵炎(severe acute pancreatitis ; SAP)に対して体液管理およびcytokine 除去を目的にcytokine-adsorbing hemofilterの1 つであるpolymethyl methacrylate(PMMA)膜を用いた持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration ; CHDF)を施行した13 例を対象に同治療法の有効性を検討した.年齢は59.6 ± 15.8 歳,男性12例女性1例,成因としては特発性5例,アルコール5例,高脂血症,ERCP,胃癌術後がそれぞれ1例であった.急性膵炎重症度判定基準予後因子は4.7 ± 1.6 点,CT grade は2.3 ± 0.5 であった.APACHE II score は15.6 ± 11.2,SOFA score は6.7 ± 5.9,ICU入室時のIL-6 は6776 ± 8166pg/mL と高値であり,13 例中9 例がCHDF 施行前に十分な輸液負荷を行っても尿量低下(0.5mL/kg/hr 未満) をきたしていた.CHDF の施行条件は血液流量100mL/min, 透析液流量500~1000mL/hr, 濾過流量300mL/hr,hemofilter はPMMA 膜を選択した.CHDF 施行期間は7.6 ± 6.3 日であった.転帰は1 例が死亡,12 例が生存退院であった.CHDF施行によりIL-6 の値はICU day5 には97 ± 38pg/mL まで低下していた.ICU day1,day2 およびday3 の水収支はそれぞれ1667 ±1951mL,544 ± 1401mL,-472 ± 1198mL とICU day3 にはマイナス管理可能であったが,CVP はそれぞれ7.1 ± 4.0mmHg,8.1 ±4.2mmHg,8.8 ± 3.4mmHg で維持され,尿量はそれぞれ1442 ± 1244mL,1489 ± 1527mL,1971 ± 1662mL と増加傾向であった.SAP の初期治療においては大量輸液が重要な要素となるが,一方で過剰輸液による臓器不全進行のリスクも知られている.cytokine-adsorbing hemofilter を用いたCHDF の導入によって厳密な体液管理とcytokine コントロールが可能となり,その結果,過剰輸液を回避しながら利尿を得ることができた.cytokine-adsorbing hemofilter を用いたCHDF はhypercytokinemia をその病態の本体とするSAP の治療に有用であると考えられる.