ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-645-CP20-4 鈍的外傷急性期における下肢静脈血栓症の検討兵庫県立加古川医療センター高岡 諒、当麻 美樹、豊原 貴之、佐野 梨沙【背景と目的】鈍的外傷急性期に合併する下肢静脈血栓症のうち、近位部が広範囲に閉塞する重症病態(近位重症型血栓)が散見される。このような症例の特徴を明らかにする。【対象と方法】過去5年間、鈍的外傷急性期に、臨床上問題となる下肢静脈血栓症を発症した45例について、診療録を後方視的に検討し、臨床的なプロフィール、静脈血栓症のrisk assessment profile forthromboembolism scale(RAPT scale, Greenfield LJ, 1997)、凝固系データ等を比較検討した。【結果】近位重症型血栓は10 例に認めた。診断は、大多数の症例で、Dダイマーの再上昇が契機になり画像で確定診断された。診断までの平均期間は2週間程度で、他の静脈血栓例と差はなかった。RAPT scale および血清D ダイマー値は、近位重症型血栓の症例に、より高い傾向がみられた。易血栓性に関する特殊な凝固検査は、大部分の症例に行われていなかった。【結論】近位重症型血栓の早期診断にはD ダイマーの経時的変化を観察し、再上昇例には早期に画像で検索することが肝要である。CP20-5 Spontaneous Extraperitoneal Hemorrhageの臨床的検討北里大学 医学部 救命救急医学丸橋 孝昭、山谷 立大、竹内 一郎、片岡 祐一、浅利 靖【背景】Spontaneous Extraperitoneal Hemorrhage(以下SEH)は、明らかな誘因なしに腹直筋や腸腰筋、後腹膜腔のような腹膜外の出血をまとめた概念で、致命的となることも少なくない。抗血栓療法や凝固障害に伴う合併症として、稀ではあるが高齢化に伴い増加傾向である。【目的】SEH自験例をまとめ、その疫学、特徴、治療、予後に関して検討する。【方法と対象】1995年4 月から2015年4 月までの20年間、当院救命救急センターへ搬送された、あるいは入院中の患者で、SEH と診断された症例を診療録から後方視的に抽出し調査・検討した。データベースより後腹膜血腫(出血)、腸腰筋血腫、腹直筋血腫をキーワードに検索、そのうち外傷、血管奇形や動脈瘤など解剖学的異常、医原性エピソードなど明らかな誘因がある症例を除外した。【結果】対象期間内SEHは全15例あった。平均年齢58.5 ±18.2歳、男女比3:2、基礎疾患として脳卒中5例、維持透析3例、心房細動3 例などが多く認められた。抗血栓薬は10 例(66.7%)に投与されていたが新規抗凝固薬使用例はなかった。ショックを呈した症例は6 例(40%)、同定された出血源は腰動脈、腎動脈分枝、下腹壁動脈に多く、15例中11 例は血管内治療が施行され、手技的成功率は100%であった。1 例は開胸・開腹止血術を行ったが出血性ショックのため死亡した。全体の死亡率は26.7%(4/15 例)であった。【考察】特に後腹膜血腫は腹部CT以外に診断は困難であるが、集中治療領域においては循環動態不安定例や高PEEP管理を要する呼吸不全例も多く、検査自体のリスクから発見が遅れることも多い。侵襲度から外科的止血術に比べて血管内治療の有用性も報告されており、早期診断と血管内治療により良好な転帰が得られる可能性がある。【結語】SEH は集中治療領域で今後さらに増加することが予想される。重症患者に発症した場合、致命的合併症の一つとなるため、念頭におくべき疾患である。CP20-6 ECMO 回路におけるメシル酸ナファモスタットの安全性の検討1)東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部、2)東京都立小児総合医療センター 臨床工学技士室居石 崇志1)、齊藤 修1)、本村 誠1)、中山 祐子1)、新津 健裕1)、井上 信明1)、清水 直樹1)、吉田 拓司2)【目的】 ECMO(Extracorporeal Membrane Oxygenation)中の抗凝固療法は、ヘパリン(以下H)を用いられることが多く、ELSOガイドラインでも標準的治療とされる。一方、当院でルーチンに用いられているメシル酸ナファモスタット(以下NM)の海外報告例は少なく、当院におけるその安全性について検討する。【方法】 2010 年 4 月から 2015 年 8 月の期間で NMを抗凝固療法として用いられた18 歳以下の全 ECMO 症例について、頭蓋内出血の有無、 ECMO回路寿命について診療録をもとに後方視的に検討した。【結果】 ECMO症例は、 70 例(新生児 14、小児 56)、月齢 6ヶ月(0- 192)、適応は呼吸 26、循環 21、 ECPR 23 例。また 離脱率68%、生存退院率 53%、ECMO 稼働日数 中央値 10 日(1- 59)、 ECMO 回路寿命 中央値 7 日(1- 13)であった。抗凝固療法は、NM 単独 12 例、H 併用 55 例であり薬剤投与量はNM 単独例で 2.5 mg/kg/hr、H 併用例( NM 3.2 mg/kg/hr、H11 U/kg/hr)であった。これらのうち頭蓋内出血 8例(11.4%)、そのうち進行性の頭蓋内出血による致死的な合併症は 2例、残りの出血症例 6 例中 3 例が ECMO離脱、 1例のみ生存退院となった。【考察】文献によるH投与量は中央値 32.6-42.7 U/kg/hr、小児 ECPR症例では脳死 11%、新生児 ECMOでは頭蓋内出血 14-16% と報告されており、少量の H 投与で頭蓋内出血の割合も同等であった。小児 ECMO 回路寿命 4.9 日間、成人 ECMO 回路寿命7 - 9.5 日間という報告から、 ECMO回路寿命もより成人に近い値となった。【結語】 ECMO 管理において NM と Hの併用はH 単独と同等であり、回路寿命を延長させることができる可能性がある。