ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-643-CP19-4 左心補助人工心臓(LVAD)装着術術後における人工呼吸離脱困難症例の検討1)大阪大学 医学部附属病院 集中治療部、2)大阪大学医学部 心臓血管外科本庄 郁子1)、内山 昭則1)、榎谷 祐亮1)、岩崎 光生1)、柏 庸三1)、平松 大典1)、戸田 宏一2)、澤 芳樹2)、藤野 裕士1)LVAD装着術は重症心不全に対する治療法として普及してきているが、術後に長期の人工呼吸管理を必要とすることも多い。LVAD装着術術後において、人工呼吸からの離脱の遅延に関係する因子を後方視的に検討した。(倫理委員会No.12335)【方法】2012年4月から2015年6月までにLVAD装着術術後に当院ICUに入室した18歳以上の68例を対象とした。術後144時間以内に人工呼吸を離脱できた37 例(E群)とできなかった31 例(D群)に分け比較した。比較項目は術前因子(カテコラミン・人工呼吸・機械的循環補助・人工肺・血液浄化法の使用および血小板数・総ビリルビン・クレアチニン値)、手術因子(LVAD機種、出血量、手術時間、再手術の有無)、術後因子(RVAD・人工肺・血液浄化法の使用、術直後のCVP・PaO2/FiO2 比・SvO2 値、術後2日と6 日の血小板数・総ビリルビン・クレアチニン値、一酸化窒素(NO)投与日数)、および予後(人工呼吸時間、気管切開率、ICU 在室日数、院内死亡)とした。【結果】人工呼吸時間(hr)51 ± 33 vs. 553 ± 334(以降E 群 vs. D群)、気管切開率(%)2.7vs 61.3、院内死亡率(%)2.7 vs 32.3 であり、D群では気管切開、院内死亡とも高率であった。D群では術前の人工呼吸率(13.5vs 45.2 %)と人工肺の装着率(2.7 vs 19.3 %)が高かった。D 群では術中出血量(ml)2144 ± 1710 vs. 3473 ± 234 が多く、手術時間(hr)359 ± 121 vs. 461 ± 141が長く、再手術が多かった。D 群では術後の血小板数は低く、総ビリルビン値は高く、RVADを必要とした症例が多く、NO投与期間も1.9 ± 1.5 vs 5.6 ± 4.5 日と長かった。【結語】LVAD術後の人工呼吸の長期化に関連する因子として術前から肺機能が低下や手術侵襲度が考えられた。また、術後に長期のNO吸入やRVAD装着を必要とするような右心不全も術後の人工呼吸の長期化への関連が示唆された。人工呼吸からの離脱が遅延した症例のほうが予後は悪かった。CP19-5 抜管後の酸素化低下についての検討大阪市立総合医療センター 集中治療部宮内 清司、菅 敏晃、和田 翔、奥村 将年、岩田 博文、山本 泰史、大塚 康義、宇城 敦司、嶋岡 英輝【背景】抜管、呼吸器離脱の影響は気道や肺のみならず循環にも及び複雑である。そのため集中治療においては自発呼吸テスト(SBT)等を行い十分な評価を行ってから抜管を行うが、その前後では予期せぬ変化をすることも多い。【目的】当院ICU で抜管を行った症例で抜管後に酸素化が不良であった症例について検討する。【対象】2015年1月から同年8月までの期間で当院ICUに入室し、抜管を行った15 歳以上の症例について検討した。ただし、計画外抜管や抜管後すぐにNPPVを使用した症例、気管切開を行った症例はのぞいた。【方法】抜管後P/F ratio≦ 200 を抜管後酸素化不良群とし、P/F ratio> 200 を保てた症例(対象群)と比較検討した。年齢、性別、BMI、挿管期間、胸部レントゲンのCTR、カテコラミンインデックス、水分バランス、抜管後24 時間でのNPPV導入、抜管後24時間の再挿管の有無を検討項目とした。【結果】68例の抜管症例のうち19例が酸素化不良群となった。対象群との比較では抜管前の酸素化(P/F ratio 319 vs 415 ,p < 0.05)で有意差がみられたがそれ以外の項目では有意差はみられなかった。また、抜管後にNPPVを使用した患者は全て酸素化不良群であった。【検討】抜管後の酸素化不良を予測する因子は抜管前の酸素化だけであった。酸素化不良群はNPPVの使用する可能性もあり抜管後に慎重なフォローアップが必要になると考えられる。CP19-6 早期離床のための人工呼吸器離脱過程に関する検討1)日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター、2)日本医科大学付属病院 高度救命救急センター齋藤 伸行1)、八木 貴典1)、岡田 一宏1)、阪本 大吾1)、本村 友一1)、原 義昭1)、松本 尚1)、横田 裕行2)背景:ICUで早期離床を推進するには、人工呼吸器からの離脱が不可欠である。2015 年6 月には人工呼吸器離脱プロトコルが提示され、その活用が望まれている。一方で、人工呼吸器からの離脱過程のどの要因が悪影響を及ぼしているかは不明確である。目的:人工呼吸器離脱過程に影響を与える要因を明らかにすること。方法:2013年4月から2015年3月までにICUで2日間以上の人工呼吸を実施した18歳以上の287人(除外;DNAR:52人、離脱企図せず:55人)を対象とした。人工呼吸離脱過程は3段階に分け(Bolesら,ERJ2007;Simple:S 群、Difficult:D 群、Prolonged:P 群)、P 群と関連する因子について多変量解析を行った。結果:対象患者の年齢61(42-73)歳、男性69.7%、APACHE2スコア22(18-27)であった[中央値(四分位)]。離脱過程はS群139人(48.4%)、D 群88 人(30.7%)、P群60 人(20.9%)であった。P群の方がS + D 群よりも有意に年齢が高く(69 vs. 57, P < 0.01)、より多く原疾患悪化を認めていた。原疾患はP群とは肺炎と胸郭外傷、ARDSが関連していた。P群では院内死亡率は10 人(16.7%)と顕著に高く、筋力低下を45/52(86.5%、不明8人)で認めた。多変量解析結果、P群との独立した関連因子として年齢75歳以上(オッズ比:2.37[95% 信頼区間1.04-5.39],P=0.04)、胸郭損傷(4.34[1.8-10.4],P=0.01)、原疾患悪化(3.51[1.39-8.89], P=0.008)、筋力低下(23.2[9.0-59.6], P<0.001)が挙げられた。考察:人工呼吸器からの離脱の妨げとなる要因は、高齢者、胸郭外傷、原疾患悪化、筋力低下であった。筋力低下は原因か結果かは不明だが、リハビリによる予防が期待される。結語:早期離床のため人工呼吸器からの離脱をするには、原疾患の改善が肝要であり、また同時に筋力低下を回避するよう努めることが望まれる。