ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-642-CP19-1 心臓大血管術後に気管軟化症が判明し、人工呼吸器離脱に難渋した一例独立行政法人労働者健康福祉機構 横浜労災病院 中央集中治療部赤川 玄樹、小野 富士恵、柏 健一郎、木村 康宏、七尾 大観、藤本 潤一、西澤 英雄症例は74 歳、女性。2003 年にstanford A 型解離性大動脈瘤に対して、上行大動脈の人工血管置換術を施行した。経過観察中に吻合部の経年的な拡大傾向を認め、2015年7月に弓部仮性大動脈瘤に対して人工血管置換術を施行した。術直後の気管支鏡検査で、気管支壁の扁平化及び狭窄を認め、気管軟化症が疑われた。第2病日に抜管を試みたが、陽圧呼吸の解除により頻呼吸と酸素化能の低下をきたしたため抜管できず、第3病日に抜管後の非侵襲的人工呼吸器管理も視野に入れて抜管したものの、非侵襲的人工呼吸器管理の違和感が強く維持できず、同日夜間に呼吸状態が再増悪し、再挿管となった。第4 病日施行したCT にて気管下部から左右主気管支の扁平化を認め、気管支鏡所見と合わせて気管軟化症と診断した。以後PEEP を漸減すると、気管支鏡検査で気管支の扁平化が容易に出現し、酸素化障害をきたすため人工呼吸器からの離脱に難渋し、第21 病日にようやく人工呼吸器から離脱することができた。気管支周囲に侵襲を及ぼすような術後症例において、人工呼吸器の離脱に難渋する場合には、気管軟化症の存在を念頭に置く必要があると思われた。ポスターCP 19 気道・呼吸・呼吸管理④ 2月12日(金) 15:00~16:00 CPポスター会場CP19-2 開心術後の抜管遅延症例に関する検討埼玉医科大学国際医療センター 集中治療科古田島 太、佐伯 有香、磨田 裕、北村 晶【目的】当施設の心臓血管外科は、12床稼働の専用ICU を有し、集中治療医が関与しているものの、基本的にオープンシステムである。酸素化不良、血行動態不安定、著しい体重増加、大量出血、意識障害などを除き、原則的に術後第1日(1POD)までに抜管しているが、術者の要望に左右されることも少なくない。抜管遅延に影響を与える要因と予後について検討し、早期抜管の有用性の根拠を明らかにすることを目的とした。【方法】2015年1月1日から3月31日の間に当院心臓血管外科ICUに入室した176例のうち、開胸術(胸部大動脈疾患を含む)後の122 例を対象とした。1POD までに抜管した早期群(E)と2POD 以降の遅延群(L)に分けて比較検討した。【成績】手術症例の内訳は、冠動脈28 例、弁膜症63 例、胸部大動脈26 例、先天性3 例、その他開心術2 例だった。E 群は91 例、L群は31 例だった。背景は、年齢(E:69.9、L:66.1 才、NS)、男性(E:54.9、L:48.4%、NS)、緊急手術(E:5.5、L:51.6%、p < 0.05)、透析(E:14.2、L:29.0%、NS)、抜管直前のP/F(E:317.6、L:294.9、NS)、術前からの体重増加(E:3.4、L:3.7kg、NS)だった。抜管後の経過は、NPPV/NHF を要した症例(E:11.0、L:29.0%、p < 0.05)、再挿管(E:2.2、L:12.9%、p < 0.05)、ICU 入室期間中間値(E:5、L:8 日、p< 0.05)入院期間中間値(E:15、L:20 日、p <0.05)、28 日死亡率を(E:0.0、L:3.2%、NS)だった。【結論】心臓手術後の抜管遅延の原因として、緊急手術以外に有意差があるものはなかった。抜管遅延の症例は、その後のICU入室期間、入院期間、NPPV/NHFの使用、再挿管が有意に増加していた。抜管の一般的な基準を満たしているものの根拠なく挿管期間が延長した症例は、その後の経過が悪化することが示唆された。一方、もともと長期化しそうな重症例が結果的に挿管期間が長くなっている可能性もあるので、臨床経過に影響しそうな他の要因も詳細に検討する必要がある。CP19-3 開心術後の昇圧剤の使用が抜管に影響するかどうかについての後方視的検討天陽会 中央病院 麻酔科覚本 雅也、長野 真之【背景】2015 年に人工呼吸器離脱に関する3 学会合同プロトコールが作成された。その中で自発呼吸トライアルの開始安全基準として「昇圧剤の使用については少量は容認する」とされているが,抜管と昇圧剤の用量に関しての研究は過去にもあまりなされていない。【目的】今回,開心術後の患者において基準値以上のカテコラミンを使用されている状態での抜管がその後の予後に影響を与えるかどうかについて後方視的に検討した。【方法】2013年1月から2014 年12 月までに当院で実施された開心術で術後抜管された症例を診療録より収集し,抜管時に安全基準値以上のカテコラミンを投与された高用量群(H群:n=39)と投与されていない低用量群(L群:n=69)に分け比較検討した。結果は平均±標準偏差で示した。【結果】抜管の成功に影響を与えうる抜管前のHb はH 群で11.7 ± 1.8mg/dl,L 群で11.7 ± 1.6mg/dl(p=0.90)であり,PaO〈SUB〉2〈/SUB〉/FiO〈SUB〉2〈/SUB〉比はH群で255.0 ± 116.0,L 群で248.4± 102.2(p=0.76)と有意差は認めなかった。その他の術前の呼吸機能,左室駆出率や腎機能などについても両群で有意差は無かった。また,抜管失敗はH群では無く(0%),L群では2例(2%)であり,入院死亡もH群で2例(5%),L 群で4 例(5%)と違いはなかった。H 群の抜管後のカテコラミンの高用量持続時間は1368 ± 1161 分であった。【考察】基準値以上のカテコラミンが投与されている状態であっても,呼吸状態や循環動態が安定し,今後悪化の可能性が低ければ抜管は予後を悪化させない可能性がある。挿管時間の長期化を回避するためにも早期抜管は重要であり,少なくとも開心術後においてはカテコラミンの投与が抜管を遅らせる要因とはならないと思われる。前向き研究そして他の疾患に関しても検討が望まれる。