ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-641-CP18-4 当施設における内科的気道緊急(気道確保困難)症例の検討兵庫県立加古川医療センター 救急科豊原 貴之、当麻 美樹、高岡 涼、國重 千佳、佐野 梨佐【背景と目的】救急集中治療領域では、予定手術麻酔時の気道確保困難症例への対応に比べ、初期情報量の欠如、急激な病態悪化、full stomach症例といったより劣悪な条件下での気道確保が必要な場合が多い。今回、当施設で経験した内科的疾患に起因する気道確保困難症例への救急初期診療に関する臨床的検討を行った。【対象と方法】2012 年4 月以降に当施設救急初療室で初期診療を行った内科的気道緊急(気道確保困難)13症例を対象として後方視的検討を行った。【検討項目】1)年齢・性別、2)搬送手段、3)原疾患、4)気道確保手技、5)予後 など。【結果】1)年齢:68.3(52.0-74.4)歳[中央値(IQR)]、男女比:M/F=7/6。2)救急現場からの救急車/ ドクターカーでの直接搬送:3 例、他院よりの転院搬送:6 例、当院耳鼻咽喉科経由の搬入:3 例、独歩受診:1例。3)急性喉頭蓋炎:6例、声門下喉頭炎:1例、頸部壊死性軟部組織感染症:1例、血管浮腫にともなう喉頭浮腫:1例、左反回神経麻痺:1 例、paradoxical vocal cord motion(PVCM):1 例、頚部腫瘍性病変による上気道狭窄/ 閉塞:2 例。4)PVCMの1例を除き全例に器具を用いた気道確保が行われた。喉頭鏡を用いた気管挿管:2 例、気管支鏡下気管挿管:7例、外科的気道確保:2例、BVM下気管切開:1例。5)全例気道緊急による致死的病態を回避し得た。【考察と結論】1)原疾患は、多種多様であった。2)外科的気道確保は、CVCI(cannot ventilat、cannot intubate)をはじめとして気道確保困難例に対して極めて有用とされるが、炎症の波及による前頚部軟部組織の腫脹や腫瘍の直接浸潤により必ずしも容易ではない。3)気管支鏡下の気管挿管では、適切な鎮痛・鎮静を用いることが重要と考えられる。4)手技の完遂は、一人では不可能に近く、気道確保困難症例を目前にして、気管挿管が困難であればあるほど多くの気道確保に習熟した人員が必要となる。CP18-5 気管切開術後の気管腕頭動脈瘻をきたした2 例北海道大学病院 先進急性期医療センター 救急科小舘 旭、定本 圭弘、水柿 明日美、村上 博基、小野 雄一、前川 邦彦、方波見 謙一、宮本 大輔、和田 剛志、丸藤 哲 気管切開は、長期呼吸管理を要する症例においてその手技の簡便性や呼吸管理上の便宜性より、臨床の場で汎用されている。しかしながら、稀に気管腕頭動脈瘻という重篤かつ致死率の高い合併症の発生が報告されている。今回当院に救急搬送、気管腕頭動脈瘻と診断され、緊急手術を行った2 例について報告する。【症例1】11歳女性、既往に大田原症候群のため永久気管孔造設され、自宅で療養中に気切孔から大量出血を認め、救急要請。当院現着時には止血されていたが、腕頭動脈気管瘻が疑われ、ICU 入室。ICU入室より再度出血を認めたため、腕頭動脈離断術を施行。腕頭動脈からの出血はなくなり、末梢側の血流は保たれており、術後7 日目に転院となった。【症例2】82歳女性、小脳・脳幹梗塞にて当院救急科に入院、経皮的気管切開を施行しリハビリ目的に他院転院。転院後に気管孔から大量出血を認めたため、当院転院搬送。当院到着時にはあきらかな活動性出血はなかったが、気切カニューレを抜去時に気切孔から大量の出血を認めた。圧迫止血を行いながらCT撮影し腕頭動脈気管瘻が疑われたため、緊急手術を施行、腕頭動脈からの出血を認めたため、穿孔部を縫合止血。前頸部筋から皮弁を作成した。入院16日目にCT撮影後、腕頭動脈仮性瘤を認めたため腕頭動脈人工血管置換術と大胸筋皮弁術を施行。術後は陰圧閉鎖療法を施行した。入院65 日目に腕頭動脈人工血管からの出血を認めた。これ以上の手術介入を家族は望まず、入院71日目に死亡確認となった。気管腕頭動脈瘻は、その発生頻度は低いものの発症すれば致命的であることも多く、気管切開患者の管理において常に念頭におき早急かつ適切な処置が求められる。今回当院では気管腕頭動脈瘻の症例を2例経験したので、気管腕頭動脈瘻の対応、治療法や予防について若干の文献学的考察を加え、これを報告する。CP18-6 当院ICUにおける頸椎前方固定術術後患者の気道管理プロトコールに関して1)岐阜市民病院 集中治療部、2)岐阜市民病院 麻酔科、3)岐阜大学医学部附属病院 麻酔・疼痛制御学大畠 博人1,2)、菊地 俊介1)、上田 宣夫1)、太田 宗一郎2)、山本 拓巳3)、飯田 宏樹3)【はじめに】頚椎前方固定術術後患者は頚部可動域制限などにより再挿管が困難である。また頚椎前面の咽・喉頭の軟部組織の腫脹が術後12~72 時間まで持続することが報告され、早期抜管症例においては抜管後の気道および呼吸管理に注意を要する。当院では2014年4 月から頚椎前方固定術施行患者に対する周術期気道管理プロトコールを用いた術後管理をICU で行っている。今回この気道管理プロトコールを呈示し、当プロトコールの施行が抜管時期および再挿管施行の判断に有用であった症例を報告する。【気道管理プロトコールの要点】1) 耳鼻科医による術前気道評価(睡眠時無呼吸症候群の有無、気道開存の程度、声帯機能の評価)、2)ICU における喉頭ファイバーによる直視下での気道評価(気道浮腫の経時的変化と声帯機能)、3)ネーザルハイフローを用いた抜管後の呼吸管理(必要に応じて非侵襲的陽圧換気療法の併用)、4)抜管後24時間 はICUで経過観察、5)マルチモダール鎮痛、以上の点をポイントとした。【症例】75歳、女性。152cm、50kg。頚椎椎間板ヘルニアに対しC3-5の2椎間前方固定術が行われた。術前評価で下咽頭から喉頭にかけて気道前後径の狭小化を認めた。術翌日(術後15時間)の喉頭ファイバー所見で咽・喉頭の内腔が視認できず挿管を継続。術後40時間で浮腫の軽減を認め、46時間後に喉頭内腔の視認が可能となったため抜管施行。直後の観察で声帯運動良好、軽度浮腫を認めるが気道開通は良好であった。しかし抜管16 時間後(術後62 時間)に呼吸苦出現し、咽頭後壁の腫脹増悪を確認。非侵襲的陽圧換気療法で経過観察したが再挿管となった。再挿管27 時間後(術後91 時間)に浮腫軽減を確認し再度抜管施行。再抜管後は、ネーザルハイフローと非侵襲的陽圧換気療法を併用し、定期的な気道評価を直視下に行い、軟部組織の腫脹の増悪を認めないことを確認し、再抜管の24 時間後にICU退室となった。