ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-635-CP15-4 ICU 看護師による敗血症の早期発見への取り組みと今後の課題1)千葉大学医学部附属病院 看護部 ICU/CCU病棟、2)千葉大学医学部附属病院 感染制御部、3)千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学木下 淑恵1)、大戸 智江1)、藤原 満里子2)、石井 由美1)、東田 かずえ1)、大網 毅彦3)、竹内 純子1)、織田 成人3)【はじめに】2012年日本版敗血症診療ガイドラインが発表され,早期発見と速やかな治療介入による救命率の改善が強調されている。現在までは医師主導で診断や治療が行われてきたが、早期発見には常に患者の近くで観察をしている看護師の敗血症アセスメントが重要となるため、当ICUでは敗血症早期発見を目的に医師・看護師による敗血症評価を全患者で開始した。【方法】千葉大学医学部附属病院ICU に入室した全患者を対象とした敗血症重症度評価を実施するチェックシートを作成し、連日ICU医師・看護師で運用を開始した。2014年の医師・看護師による敗血症重症度評価一致率と2015年6月1日~6月30日までを比較した。さらに、敗血症重症度チェックシートから、看護師の敗血症アセスメントの傾向を分析しICU看護師を対象にしたアンケート実施により看護師が敗血症と判断した根拠となる観察項目を調査した。【結果】医師・看護師による敗血症重症度一致率は2014年の68%から2015年82.9%へ改善した。医師と看護師との評価が合致しない敗血症重症度評価のうち、過小評価している割合は67.6%だった。アンケートの結果より、敗血症判定に関して困難と感じている割合は全看護師の中で50.8%であり、敗血症アセスメント時に観察している項目として「バイタルサイン」項目は86.6%であったが、「炎症所見」項目が61.6%、「臓器障害」項目は22%という結果だった。【考察】敗血症重症度評価を連日実施することで、看護師の敗血症に対する意識や知識は向上していると考えられるが、アンケートの結果より敗血症評価を困難と感じている割合が高く、またアセスメントをする上で情報収集に偏りがあることが判明した。今後看護師が苦手意識を感じている項目に重点を置いた敗血症アセスメントシートの作成や勉強会を実施することで、さらに敗血症に対する意識を高め、敗血症早期発見から治療成績の向上につなげることが目標である。CP15-5 A 病院における急変前徴候の有無と記録に関する実態調査社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院西村 佳奈子、前田 亜沙子、小黒 洋子【背景・目的】昨年度の研究で看護師の急変予防に関する意識調査を行い、急変前徴候に気付いていながら医誌への報告に躊躇があるということがわかった。実際急変した患者の急変前徴候にいかに早く気づけているのか、どのような観察や記録の記載がなされているのか調査した。【方法】独自に作成した情報収集用紙を用い、当院における過去3 年の急変患者の急変前徴候の有無について情報を収集。データをカテゴリー別に単純集計し内容を分析した。【結果】A 病院での調査結果で6~8時間前に急変前徴候が現れていたのは20.1%、それ以外の時間では9時間以上前が44.2%と最も多かった。徴候別観察記録では「スタッフによる何らかの懸念」が最も多く、「呼吸回数の変化」が最も少なかった。【考察】出現している徴候に対して意図的に患者の観察やアセスメントをし、必要な報告・対処をすることで、急変予防ができるということを周知する必要がある。CP15-6 当院の院内トリアージにおけるアンダートリアージの現状1)国立病院機構 東京医療センター クリティカルケア支援室、2)国立病院機構 東京医療センター 救命救急センター、3)国立病院機構 東京医療センター 救急科濱 厚志1)、千葉 詩乃2)、大林 由貴2)、蓑輪 ハンナ2)、石橋 咲子2)、山田 留維2)、福田 敦子2)、斉藤 意子2)、太田 慧3)、菊野 隆明3)【はじめに】救急外来を受診する患者は、年齢や症状など背景が多様であり、緊急度を判定し迅速に治療を開始する必要がある。当院では、独自の2段階トリアージプロトコールを策定し、平日の夜勤帯及び休日の内科walk-in 患者を対象に看護師が院内トリアージを行っている。しかし、院内トリアージの実施内容についての詳細な検討はなくトリアージの精度や課題について不明であった。【目的】今回我々は全トリアージ症例をJTAS認定アドバイザー医師とともに後方視的検証を行うことにより、当院院内トリアージにおけるアンダートリアージの頻度とその要因を検討したので報告する。【方法】2014年10月から2015年3月の期間中、看護師がトリアージを実施した1712 症例を対象にトリアージナースが記入した院内トリアージ用紙の集計を行い、JTAS認定アドバイザー医師とともにアンダートリアージの検証を行った。【結果】アンダートリアージの発生数は47件(2.7%)であった。看護師の経験年数におけるアンダートリアージの発生率は4-7年目の看護師で2.79%、8年目以上で2.53%であった。疾患別では「呼吸不全」が最も多く、次いで「感染症」、「脳血管障害」、「低血糖」、「消化管出血」、「上気道狭窄」、「イレウス」順であった。【考察】アンダートリアージは47 件であったが診療の遅れにより重篤な転帰をたどる症例はなかった。4-7 年目看護師と8 年目以上の看護師でアンダートリアージに有意差を認めなかった要因は、トリアージシートを利用することで判断が均一化されていたことが考えられた。「呼吸不全」や「感染症」多かった理由として、呼吸の確認が不十分であることや感染症に関連した知識が不足していることが考えられた。【結語】院内トリアージの事後検証を行った結果、アンダートリアージ率は2.7%であった。呼吸数の確認や重症度に関わる感染症の知識の周知がアンダートリアージの改善に寄与する可能性が示唆された。