ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-634-CP15-1 当院ICU・CCUに再入室した症例の検討1)松江赤十字病院 ICU・CCU、2)松江赤十字病院 集中治療科部小林 由美1)、福田 由紀1)、坂下 真依2)、濱田 孝光2)、橋本 圭司2)【背景】ICUに再入室する患者の予後は悪く、また在院日数を増加させるという報告がある。当院ICU・CCUでも再入室を繰り返し、死亡の転帰をとった幾つかの症例を経験している。今回、再入室症例について看護の視点から検討した。【方法】2014 年5 月~2015年3月に当院ICU・CCUに入室し、一旦退室したあと同一入院期間中に緊急で再入室となった症例について調査した。【結果】調査期間内に、入室患者数723 例(予定249 例、緊急474例)中、27名の患者が31回(4.3%)再入室した。再入室患者の平均年齢70.4(全体70.0)歳、初回入室が予定入室だった患者8名、緊急入室19名であった。手術後症例20名、心疾患2名、その他5名であった。APACHE 2 score 平均23.0(全体20.6)だった。再入室となった延べ31 症例の原因は、術後合併症22 例(呼吸器合併症9 例、循環器合併症2 例、その他の合併症11 例)、原疾患の再燃・悪化4 例、初回入室時とは別の疾患の発症5 例であった。再入室患者の平均在院日数70.6(全体32.1)日、平均ICU在室日数10.0(全体5.2)日、死亡率33.3(全体12.8)%だった。初回入室時、認知症・せん妄発症など認知機能が低下している患者は16 名(59.3%)だった。【考察】再入室の原因として術後合併症が最も多かった。術後呼吸器合併症のうち5例が誤嚥性肺炎による呼吸不全であり、何れも消化器外科手術後で、初回入室時にせん妄を発症していた。高齢で身体機能や認知機能が低下している患者、特に消化器外科手術後は誤嚥しやすい傾向にあった。ICU・CCU看護師は、一般病棟看護師とこれらを共通認識して、患者情報の共有と予防的介入を行う必要がある。ポスターCP 15 Rapid Response Team・院内急変② 2月12日(金) 15:00~16:00 CPポスター会場CP15-2 左室流出路心筋切除術後に急変し43 日目に退院した1 症例からの看護の学び三重ハートセンター 看護部鈴木 順子、中村 可奈左室流出路狭窄に対しては、外科領域では左室流出路心筋切除術(モロー手術)が行われ、術後合併症には左脚ブロック、房室ブロックなどの不整脈が出現すると言われている。今回、大動脈置換術+ モロー手術後に不整脈出現にて急変し、救命され、術後43日目に退院となった症例を経験したため報告する。患者は術後経過が順調であったため退院前の術後10 日目朝に心電図モニターを外し、ナースステーションより離れた部屋へ移動となった。しかし術後10 日目夜に失神し、再度心電図モニターを装着し11.8秒のpauseを確認、一時的ペースメーカー挿入となり、翌日(11日目)に永久的ペースメーカー挿入した。失神した際、モニター管理が中止されていた事、病室がナースステーションより遠い事、患者が体重74.2kg(BMI34.34)と大きくて重たかった事で処置に時間を要した。そして、さらに術後12日目朝、QT延長後に心室細動が出現し、胸骨圧迫、DCC施行後にPCPS挿入となった。症例をカルテ記録とデータから分析した結果、術前後の電解質に大きな変化はなく、また術後の心電図においても術後10 日目の急変を予測させる変化は認められなかった。看護記録を振り返った結果、術後10 日目にモニター管理が中止となったため、心電図変化に気づく事ができず、患者が失神に至ったと考えられる。さらに術後11日目に永久的ペースメーカー挿入した事で安心し、モニターを注意深く見る事を怠った可能性が考えられた。また手術手技による合併症と内服薬の副作用の複合的な要素から不整脈出現する事は予測できたが、それに対する理解が不足していたとも考えられる。今回の症例からモロー手術後の術後管理において、離床を進める上でのモニター管理と不整脈を予測した早期対応が重要である事を学んだ。CP15-3 RRT ラウンドの振り返りと今後の課題~病棟看護師への急変に対するアンケート調査からの検討~1)大阪市立総合医療センター、2)奈良県立医科大学病院川口 なぎさ1)、木村 千穂1)、安宅 一晃2)、堀江 沙矢香1)、松村 京子1)、宮原 聡子1)、松下 千紘1)、上田 小百合1)、千田 多絵子1)、有元 秀樹1)当院では2013 年より院内全体に対しRRS を導入したが、それに先駆けて、2012 年6 月より、RRT(Rapid Response Team)の存在の周知と教育目的で、病棟ラウンドを開始した。2012 年6 月2 病棟から開始し、随時増加させ2014 年4 月は5 病棟に対して実施してきた。2015 年5 月に5 病棟中の4 病棟のラウンドを終了し、他の4病棟をラウンド対象にした。今回、病棟ラウンド終了後の意識調査から、RRTラウンドの振り返りと今後の課題を検討した。【研究方法】2014年12月と病棟ラウンド終了後1ヶ月に実施した意識調査の結果から、病棟ラウンドが終了した4 病棟の看護師123名に対して1)RRS 起動基準の認識、2)RRS の起動、3)急変の観察の自己評価、4)RRT の必要性の4 つについて検討した。【結果】1)RRS起動基準の認識では「よくわかる」「だいたいわかる」が91%から81%、2)RRS の起動では「起動しようと思う」「だいたい起動しようと思う」が95%から90%、3)急変の観察の自己評価では「できている」「だいたいできている」が85%から88%、4)RRT の必要性では「必要」「どちらかというと必要」が95%から91%という結果であった。【考察】今回の検討結果からは、ラウンド終了後でも大きな意識の変化はみられず、RRSの周知や理解は概ね根付いていると考えられた。しかし、ラウンド終了1ヶ月にも関わらず、RRS起動基準の認識、RRSの起動、RRTの必要性の3個の質問でそれぞれの病棟看護師の認識は低下傾向であった。これは、ラウンドへの依存、RRTスタッフからの教育が十分でなかった、ラウンド終了後の対応の問題などの可能性が考えられた。一方で、急変の観察の自己評価は高く、急変に対する意識付けはラウンドの有無に関わらず維持できていた。しかし実際には、ラウンド終了病棟からのコール件数は増加しておらず、起動面での課題が残る。今後は、起動の教育を目的とした効果的なラウンドを検討していきたい。