ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-625-CP10-4 PCPS 離脱後肺塞栓症を起こした劇症型心筋炎の1 例1)徳島大学病院 臨床工学技術部門、2)徳島大学大学院 病態情報医学講座 救急集中治療医学、3)大阪府立母子保健総合医療センター 集中治療部、4)徳島大学病院 ER・災害医療診療部林 昌晃1)、近田 優介1)、森西 啓介1)、堀川 卓志1)、奥田 菜緒3)、井澤 眞代2)、小野寺 睦雄2)、今中 秀光4)、西村 匡司2)【はじめ】経皮的心肺補助法(PCPS)は重症心不全の治療に用いられる。今回管理中に血栓が発生し離脱後、肺血栓塞栓症を起こした劇症型心筋症例を経験したので報告する。【症例】  12歳の女児。身長147cm、体重36kg。発熱、咳嗽があるため近医を受診したが、軽快せず、呼吸苦が出現したため当院紹介となった。血液検査と心臓超音波の結果より、好酸球増多性心筋炎と診断した。ICU入室後、不穏による体動が激しいため鎮静目的で人工呼吸器管理となった。突如心室細動が出現し心肺蘇生法を施行した。心拍は再開したが、再度心室細動が出現したためPCPS 導入に至った。装置はCPIOX SP-101、回路はカスタムパックLX 熱交換付き(テルモ社製)を使用し、カニューレ挿入部位は大腿動静脈にて行った。PCPSの補助流量は80 ml/min/kgで開始した。直後の血液ガスデータで乳酸値が18.0 mmol/Lと高値であった。酸素供給量の不足を考慮し、補助流量を100 ml/min/kgに増加させたが、乳酸値は高値のまま持続した。その後心臓超音波で大動脈弁が開放する流量80ml/min/kgで管理を行った。2日目乳酸値2.8mmol/L と低下し、4 日目心機能改善したためPCPS の離脱を行った。ACT は181 秒であった。離脱直後、低酸素血症、頻脈の症状を呈し心臓超音波の結果、肺血栓塞栓症が疑われた。ヘパリン療法の再開と低体温療法で翌日、症状は改善した。【考察・結語】本症例では乳酸値 高値が持続したため数時間、高流量で管理をした。そのため血栓を形成するリスクが発生した。PCPS回路に血栓の付着は見られなかったため、回路による合併症は否定的で、肺動脈の血流の低下もしくは血流停滞が考えられた。ELSOのガイドラインでは小児 補助流量を80ml/kg/minと推奨しているが、各病状において流量調節を行い管理する必要である。CP10-5 ローラーポンプを用いたECMO管理で血流測定の必要性1)徳島大学病院 臨床工学技術部門、2)徳島大学大学院 病態情報医学講座 救急集中治療医学、3)大阪府立母子保健総合医療センター 集中治療科、4)徳島大学病院 ER・災害医療診療部森西 啓介1)、近田 優介1)、林 昌晃1)、堀川 卓志1)、小野寺 睦雄2)、奥田 菜緒3)、井澤 眞代2)、今中 秀光4)、西村 匡司2)【背景】ローラーポンプでは血液流量はポンプの回転数により算出されるため、一般的に血流計は必要としない。そのため、ローラーポンプのオクリュージョン調整は正確に行わなければならない。今回、ローラーポンプ使用中にオクリュージョン不足が発生し、血流計により血液流量低下を発見できた事例を経験したので報告する。【症例】0歳の女児。身長50cm、体重2.6kg。出生6日目に総肺静脈還流異常修復術、BT-shunt 術、右肺静脈形成術を施術した。ICU 帰室1 時間後に急激な血圧、SpO2 の低下がみられた。一酸化窒素療法を開始したが効果が得られないため、開胸下にて大動脈、右心房にそれぞれ8Fr、14Frの送脱血管を留置し、血流量0.2 L/分で静脈-動脈体外式膜型人工肺(V-A ECMO)を開始した。ECMO開始1時間後、脈圧が低下したため静脈側の血液ガスを採取したところ、乳酸値の上昇(16.27mmol/L)、酸素飽和度の著しい低下(20%)をみとめた。送血量不足を考慮し、血流計で測定したところ血流量が1/4に低下していた。ローラーポンプのオクリュージョン不良が原因と考え修正した。修正後は血圧の上昇、乳酸値、酸素飽和度も改善された。オクリュージョン不良の原因が究明できなかったため遠心ポンプに変更した。【考察】ローラーポンプはポンプ回転数から算出された血流量が表示されるが、オクリュージョン不足の場合、表示された血流量と実際の血流量との間で流量誤差が生じる。新生児患者の流量誤差は重篤な送血量不足を引き起こすため、ECMO 管理中のトラブル防止のためにローラーポンプ使用下の場合でも定期的な血流測定が必要であると考えられる。【結語】ローラーポンプを用いたECMO管理で超音波血流計で測定することにより血流量低下を発見できた。CP10-6 術後CRRT を必要とする人工心肺中の因子の検討1)大分大学医学部附属病院 医療技術部 臨床工学・歯科部門、2)大分大学医学部附属病院 集中治療部溝口 貴之1)、中嶋 辰徳1)、大地 嘉史2)、安部 隆国2)、安田 則久2)、日高 正剛2)、後藤 孝治2)、北野 敬明2)【はじめに】近年、心臓手術を受ける患者の高齢化などに伴い、CSA-AKIが増加傾向にある。当院では術後早期にCRRTを導入し、CSA-AKIの予後改善に努めている。CSA-AKIの最大危険因子は術前の腎機能低下という報告があるが、Perfusionistとしても術中の腎保護に努めなければならない。今回、術後CRRTを必要とする人工心肺中の因子について検討を行ったので報告する。【方法】2014 年の人工心肺症例のうち体循環停止症例と透析患者を除いた109 例を対象とし、術後CRRT を必要とした15 例(C 群)、必要としなかった94例(N群)の人工心肺中のデータを比較検討した。項目は人工心肺時間、灌流量、平均血圧、尿量、心肺バランス、DUF(dilutional ultrafiltration)量とした。【結果】人工心肺時間はC 群が268.80 ± 92.9、N 群は194.94 ± 73.8min で有意差を認めた。平均血圧はC 群が55.7 ± 7.5、N 群は60.2 ± 7.2mmHg で有意差を認めた。DUF 量はC 群が1671 ± 1023、N 群は2255±1508ml/hrで有意差を認めた。また、灌流量、尿量、心肺バランスは有意差を認めなかった。【考察】今回は、術前の腎機能などは検討せず、人工心肺中の項目のみであった。その中で、人工心肺時間、平均血圧、DUF 量は有意差を認めたため、術後CRRTを必要とする人工心肺中の因子であることが示唆される。このうち、平均血圧はPerfusionistの操作に影響を受ける。灌流量に有意差は出なかったがC群の方が多く、灌流量を増加させ血圧の上昇を試みた様子が見える。また、昇圧薬も使用し血圧の上昇も試みている。しかし、C 群では有意に平均血圧が低い。文献などではDUF により血管作動性物質の除去ができるという報告もあるが、DUF 量はC 群で有意に少なかったことから、今後の検討課題としたい。【結語】人工心肺を用いた開心術後の13.8%がCRRT を必要としていた。また、人工心肺時間と人工心肺中の平均血圧、DUF 量が術後CRRT を必要とする人工心肺中の因子であることが示唆された。