ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-619-CP7-4 内腸骨動脈瘤術後に臀部コンパートメント症候群を発症した症例1)北関東循環器病院 救急総合外科・整形外科、2)北関東循環器病院 救急総合外科、3)北関東循環器病院 心臓血管外科重田 哲哉1)、荻野 隆史2)、与田 真隆3)、中島 邦喜3)【はじめに】比較的稀な臀部コンパートメント症候群(GCS)を内腸骨動脈瘤(IIAA)術後に発症した症例を経験した。【症例と経過】78才男性。検診で腹部動脈瘤を指摘。造影CTにて腹部大動脈瘤、両腸骨動脈瘤、左IIAAが認められた。左IIAAの直径は47mmと手術適応であり、Yグラフト置換術、左IIAA閉鎖術を施行した。術直後に軽度の左臀部痛、下肢脱力感を訴えたが、一時的であり既往の脊柱管狭窄症によるものと判断した。術後3日で左臀部の熱感、腫脹が出現し、CPKは2万まで上昇した。臀筋壊死と診断したが、腎機能障害は認められなかった。造影CT では上殿動脈の血流低下に加え、大臀筋が斑状に浮腫像を呈していた。臀部痛、CPK 値はその後改善したが、術後11 日の起立訓練中に左下垂足があることに気づき、左坐骨神経麻痺と診断した。臀部の圧痛は依然著しく、GCS による麻痺と考えられたが、筋区画内圧は27mmHg と軽度上昇したのみであり、症状のピークを過ぎたことも影響していると考えられた。発症後長時間が経過していたが、除圧による神経周囲の環境改善を期待し、術後12日に減張切開術を施行した。術後臀部痛は改善し、部分的に知覚障害も改善したが、下垂足は不変であった。【考察】一般的に殿筋群の栄養血管である内腸骨動脈を閉鎖した場合でも、臀筋群への血流は既存の側副血行路により確保され、著しい虚血を発症することは稀とされる。本症例で臀筋壊死が発症した理由は、側副血行路の発達が不良であった可能性や、腸骨動脈領域周囲の受動や剥離操作に伴う壁在血栓遊離による広範な微小血栓塞栓による可能性などが原因として推測された。筋区画圧症候群では、発症後8 時間以内に減張切開を行わない場合、神経筋組織に不可逆的な変化が生じると言われており、早期治療の重要性を痛感した。CP7-5 筋肉内注射後に生じた臀部コンパートメント症候群の1 例自治医科大学 さいたま医療センター 救急科海老原 貴之、守谷 俊【はじめに】臀部コンパートメント症候群は稀な疾患であるが、坐骨神経麻痺や急性腎障害を起こすことがあり、早期の診断と治療が重要である。【症例】61歳男性、主訴は右下肢麻痺。既往歴に、うつ病、高血圧、腰部脊柱管狭窄症があり、抗うつ薬、睡眠薬、降圧剤、抗血小板薬を内服していた。近医で右臀部にトリガーポイント注射(ネオビタカインTM +ノイロトロピンTM)を受けた翌日、注射部の腫脹を自覚し、右下肢痛と痺れが増悪したが、軽快すると思い放置した。1週間後、体動困難となり救急外来に搬送された。初診時、右下肢筋力(MMT)は、大腿四頭筋2、大腿屈筋群2、前脛骨筋以下0に低下し、知覚低下、右臀部から大腿に著明な腫脹、下腿浮腫を認めたが、足背動脈は触知可能だった。血液検査はCK 59066 IU、Cr 6.03 mg/dl に上昇していた。下肢CTは、右中臀筋内から大腿屈筋群に著明な低吸収域を認め、gas像はなかった。コンパートメント症候群を疑い、needlemanometer 法で内圧測定したところ、臀部82、大腿前方46、後方40 mmHg に上昇しており、臀部注射後に生じた血腫による臀部コンパートメント症候群および挫滅症候群、急性腎障害と診断した。直ちに減張切開、洗浄ドレナージを施行し、中臀筋内に700gの血腫を認めた。CKはwash outにより改善したが、腎機能はすぐに改善せず、4回の血液透析を要した。2年後の最終観察時、右下肢筋力(MMT)は、大腿四頭筋と大腿屈筋群は4 まで回復したが、その他は0 で、短下肢装具歩行、下腿以下に痺れが残存した。【考察・結語】臀部には5 つのコンパートメントがあると考えられている。本症例では、抗血小板薬が中臀筋コンパートメント症候群を生じる一因となった可能性があると推測された。治療により慢性腎臓病への進展は防げたが、坐骨神経麻痺が生じてから数日経過しており、麻痺は完全に回復しなかった。後遺症を残さず治癒させるには、より早期の診断と治療が必要と考えられた。CP7-6 当院におけるカテコラミン皮下漏出症例の治療経過と対策福井赤十字病院 麻酔科森 友紀子、田中 弓子、山岸 一也、白塚 秀之、福岡 直、小柳 覚、田邉 毅【はじめに】カテコラミンの血管外漏出は重篤な皮膚症状を呈する。カテコラミンは少量の漏出でも皮膚の虚血壊死が起きる可能性があるため適切な対応が必要である。【対象】2015年3月以降に集中治療室に入室した症例で、カテコラミンの皮下漏出を認めた3 症例を後ろ向きに検討した。【結果】発見時には壊死が進行しデブリードマンを要した症例が1 例、フェントラミン皮下投与を行い皮膚症状の改善を認めた症例が1 例、フェントラミン皮下投与を行ったが皮膚症状改善前に死亡した症例が1 例であった。【考察】カテコラミン投与に関してはフェントラミン皮下投与が有効との報告がある。カテコラミン漏出を認めた3症例について治療方法、実際の治療経過を報告する。また、当院での血管外漏出時の対処法は一般薬と抗悪性腫瘍薬に分けて記載されている。抗悪性腫瘍薬については詳細に対処法が記載されていたがカテコラミン漏出時の対応については、漏出時に冷却しない薬剤に分類されているのみであった。今回カテコラミン漏出症例を経験し院内マニュアルの改定を行ったので合わせて報告する。