ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-617-CP6-4 JSEPTIC DIC study報告: JSEPTIC DIC studyオーバービュー1)北海道大学病院 先進急性期医療センター、2)東北大学大学院医学系研究科 救急医学分野、3)東京慈恵医科大学附属病院 集中治療部、4)自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部、5)大阪府立急性期・総合医療センター 救急診療科、6)大阪大学病院 集中治療部、7)産業医科大学 救急医学講座早川 峰司1)、齋藤 慎二郎3)、内野 慈彦3)、山川 一馬5)、工藤 大介2)、飯塚 悠祐4)、讃井 將満4)、滝本 浩平6)、真弓 俊彦7)【目的】敗血症を原因とするDICの診断や病態に関する報告は多い。今回、DIC治療を積極的に施行している施設だけではなく、DIC 治療を実施していない施設も含めた多施設共同後ろ向き観察研究として、Japan Septic DIC study(JSEPTIC DIC study)を実施したので、その概要を報告する。【対象】2011年1 月から2013 年12 月の3 年間にsevere sepsis/septic shock を理由にICU に入室した3195名【参加施設】40施設から42のICUが参加した。院内ICUが57%、救急ICUが43%であった。ICU管理方針はClosedが41%、Openが43%であった。【患者背景】平均年齢70歳、男性が60%を占めていた。平均のAPACHEII は23であった。感染源は腹腔が32%と最多であり、次いで肺26%、尿路16%であった。血液培養は44%で陽性であり、50%は陰性であった。原因微生物はグラム陰性桿菌が37%と最多であった。71%の患者がDICを合併していた。DIC治療薬はAntithrombin製剤が31%、Thrombomodulin 製剤が27%protease inhibitor 製剤が12%の患者で使用されていた(重複あり)。平均ICU 在室日数は11 日、ICU内死亡率は20%であった。ICU 入室から退院までは平均41 日、院内死亡率は33%であった。当日はデータの全体像をお示しする。【今後】様々なテーマで解析が進行中であり論文化の予定である。CP6-5 アンチトロンビン製剤の特定使用成績調査報告-中間報告の解析結果から1)滋賀医科大学 医学部 救急集中治療医学講座、2)神奈川県立こども医療センター集中治療科、3)東京医科大学八王子医療センター特定集中治療江口 豊1)、永渕 弘之2)、池田 寿昭3)アンチトロンビン(AT)製剤の特定使用成績調査が2013年4 月1 日から行われ、今回、成人を対象とし2015 年1 月31日までに収集された調査票を基に中間報告として報告する。対象症例は選択基準を満たさない(AT 投与前の急性期DIC診断基準で4点未満あるいはAT>70%)か除外基準に該当する症例を除外した721例(男性59.3%、女性39.8%)で、平均年齢は71.0±14.8歳であった。基礎疾患は感染症が83.0% で、AT 投与前のDIC、APACHE II、SOFA 各スコアーは各々(平均± SD)で5.4 ± 1.5、23.1 ± 8.7 および 8.7±4.2であった。またAT投与前のAT活性値は47.9±13.3%で、一日平均投与量は1574±453Uで投与日数は3.2±2.1日であった。なお、抗凝固療法の併用は78.4%(遺伝子組換えトロンボモジュリン(TM- α)57.0%、FUT11.5%、FOY10.5%、未分画ヘパリン11.6%)で行われ、新鮮凍結血漿38.5%、濃厚血小板29.4%投与されていた。DICとSOFA各スコアーの推移は前値と比べて3 日後と6 日後に有意に低下(各々p < 0.001)し、AT 値は翌日(75.1%)から5 日目(73.2%)まで有意に上昇した(p < 0.001)。投与開始後6 日目のDIC の離脱率は59.3%で、投与開始28日後の死亡率は20.4% であった。投与前のAT値が50-70% 群は50% 以下群に比べて有意に離脱率が高く(63.6% vs 55.3%、p< 0.05)、死亡率は有意に低かった(14.6% vs 25.5%、p< 0.001)。なお、小児を含めた出血の関する有害事象は4.72%(44例)に認められ、AT製剤との因果関係が否定されなかった副作用は0.54%(5例)であった。今後、2016年4 月までの3 年間に3000例を収集する予定である。CP6-6 敗血症性DIC 治療におけるトロンボモデュリン アルファの治療効果と有害事象に関する検討1)済生会横浜市東部病院 薬剤部、2)済生会横浜市東部病院 集中治療科下村 悠佳1)、今浦 将治1)、大村 和也2)、木幡 雄至1)、星野 哲也2)、高橋 宏行2)、菅野 浩1)【目的】トロンボモデュリンアルファ(rTM)は、日本血栓止血学会が公表している感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスにおいて、最も推奨度の高いDIC 治療薬である。その主たる排泄経路は腎臓であり、腎機能障害患者に対する投与は減量を必要とする。しかし、腎機能に応じたrTMの減量基準は明確にされていないため、減量せずに投与されることが少なくない。その一方で、rTMを減量せずに投与した場合の治療効果と有害事象については十分に検討されていない。そこで、本研究では、腎機能障害患者におけるrTMの投与量と治療効果および有害事象との関係について検討した。【方法】当院において、2010年1月から2011 年12 月の間に敗血症性DIC と診断され、rTM を投与された腎機能障害患者を、通常用量の380U/kg で投与された患者(380U/kg 群)と130U/kg に減量して投与された患者(130U/kg 群)に分け、治療効果として急性期DIC スコア(DIC スコア)の改善度を、有害事象として出血の発現率を後方視的に調査し、比較検討した。【結果】患者数および血清クレアチニン値は、380U/kg群で20名および2.1±1.4mg/dL、130U/kg群で16名および2.5±1.0mg/dLであり、両群間で有意な差は認められなかった。rTM 投与開始7 日目のDIC スコアの改善度は、130U/kg 群の1.5 ± 2.0 点に比べて、380U/kg 群で3.5 ± 2.0 点と有意に高く、治療効果の向上が示された。また、出血の有害事象の発現率は、両群間で有意な差は認められなかった。【考察】380U/kg群のDICスコアの改善度は130U/kg群に比べて有意に高く、有害事象の発現率は両群間で有意な差を認めなかった。以上より、rTMの380U/kg 投与は、腎機能障害患者に対しても有効かつ安全に投与できる可能性が示唆された。