ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-614-CP5-1 上気道狭窄モデルにおける輪状甲状間膜カニューレからのHigh constant flowの効果岸和田徳洲会病院 救命救急センター鈴木 慧太郎、篠崎 正博、鍜冶 有登、薬師寺 泰匡、山田 元大、白坂 渉【背景・目的】長期人工呼吸からの離脱後、再挿管となった際に予後が悪化することはいくつかの報告で知られている。当院では以前より、特に抜管後の上気道狭窄がみられる症例において、輪状甲状間膜カニューレから高流量酸素療法を行うことで再挿管を減らしている。今回、上気道狭窄モデルにおいて輪状甲状間膜カニューレからのConstant high flow使用下での効果を検討した。【方法】人工肺を用いて輪状甲状間膜カニューレからConstant high flowを行う状況を想定したモデルを作成した。上気道(声門)狭窄の程度を4 段階(狭窄なし、低度、中等度、高度)に分けた。Constant flow については0L/min、30L/min、40L/min、50L/min で設定し、それぞれの場合でカニューレの流量および気道内圧を測定した。一回換気量は500ml で設定した。Constant flow についてはFisher and Paykel社のOptiflowTMを使用した。【結果】気道狭窄なしではいずれの流量でもカニューレからの流量はゼロであった。気道狭窄の程度が強くなるにつれてカニューレからの流量は上昇し、気道内圧も同様に狭窄の程度と比例して上昇した。Constant flowが増加することによりカニューレからの流量も増加した。【考察・結論】上気道狭窄がみられる場合において、輪状甲状間膜カニューレを挿入することにより気道内圧を低減することが可能であり、またConstant high flowを流すことにより換気量増大に寄与することができる。ポスターCP 5 気道・呼吸・呼吸管理② 2月12日(金) 9:30~10:30 CPポスター会場CP5-2 閉鎖式気管吸引時に、気管チューブの内径と吸引カテーテルのサイズが換気量に及ぼす影響東邦大学 医療センター大森病院 麻酔科渡辺 雅之、佐藤 暢一、出光 亘、寺田 亨志、落合 亮一【目的】重症呼吸不全患者では、気管吸引に伴う肺胞虚脱で低酸素血症を生じることが問題で、気管吸引カテーテル径は挿管チューブ内径の1/2以下を使用するように推奨されてきた。しかし、人工呼吸器の性能向上に伴う至適サイズの検討は不十分であり、モデル肺を使用して、閉鎖式気管吸引時の換気量変化を検討した。【方法】人工呼吸器(Puritan Bennett 980)に呼吸回路、閉鎖式吸引回路、気管チューブ、TTL モデル肺を接続した。換気モードは assist/control とし、従圧式換気(PCV)( 吸気圧:10cmH2O、PEEP:5cmH2O、換気回数:12 回/min、吸気時間:1.5s)、および従量式換気(VCV)(1 回換気量:400ml、PEEP:5cmH2O、換気回数:12回/min、I:E比:1:2)で換気した。それぞれの換気モードにおいて、気管チューブ内径を6.5mm から8.5mmまで変えて非吸引時及び吸引時の1回換気量を測定し、両者の差から減少率(%)を求めた。なお閉鎖式吸引回路の吸引カテーテル径は12Fr(外径4mm)を使用し,吸引圧は-20kPa とした。【結果】PCV時の挿管チューブ内径に対する換気量の減少率は、6.5mm:-76%,7mm:-64%,7.5mm:-34%,8mm:-32%,8.5mm:-24% であった。VCV 時には、6.5mm:-94%,7mm:-88%,7.5mm:-83%,8mm:-81%,8.5mm:-81% であった。【考察】PCV では、気管チューブが太くなるほど、吸引時の換気量の低下が減少し、換気量の維持が可能となった。VCVではチューブ径を太くしても、換気量の減少率は大きく、どの気管チューブサイズにおいてもほとんど換気量が得られなかった。PCVでは、気管チューブ内径の1/2以下の吸引カテーテルを使用することで、気管吸引中にも換気量を十分に維持できると考えられる。VCVでは、吸引カテーテルのサイズに関係なく吸引中には換気量が得られないことが確認された。安全な閉鎖式気管吸引については、PCV で行うことと、太い吸引カテーテルを使用して短時間で吸引することが望ましいと考えた。CP5-3 気管チューブカフの素材とカフ圧がマイクロアスピレーションに与える影響についての実験的検討1)産業医科大学病院 集中治療部、2)産業医科大学 麻酔科原山 信也1)、長田 圭司1)、清水 智子1)、金澤 綾子1)、内田 貴之2)、尾辻 健1)、荒井 秀明1)、二瓶 俊一1)、相原 啓二1)、蒲地 正幸1)【背景】人工呼吸関連肺炎(VAP)発症において、気管チューブカフからのマイクロアスピレーションが一因であるとされている。そこで、気管チューブカフの素材とカフ圧がマイクロアスピレーションに与える影響についての実験的検討を行った。【方法】塩化ビニル製カフのTaperGuard EvacTM、ポリウレタン製カフのSealGuard EvacTMの内径7.5 mmの気管チューブを使用し、人工気管として内径22 mm の円形アクリル管を用いた。管内に気管チューブを挿入しカフを拡張、カフ上に着色した液体を入れカフ下にリークする液体量を測定した。自動カフ圧コントローラーを用い、カフ圧によるカフリーク量の変化を比較検討した。【結果】カフ圧が20 cmH2O 以上の際は、TaperGuard EvacTM とSealGuard EvacTM でのカフリーク量に差はなかったが、カフ圧が低下した際には、TaperGuard EvacTM よりもSealGuard EvacTM の方がカフリーク量は有意に少なかった。【結論】VAP発症予防に適切なカフ圧コントロールは重要であるが、カフ圧が高すぎれば気管粘膜の血流障害等の危険が生じる。柔らかく生体適合性に優れたポリウレタン製カフの方が、塩化ビニル製カフと比べて低いカフ圧でもマイクロアスピレーションを防ぎうると思われ、VAP 発症予防にポリウレタン製カフが有用であると考えられた。