ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-603-DP49-4 Critical-Care Pain Observation Tool導入による変化~看護介入と薬剤投与量について~1)山形大学 医学部附属病院 高度集中治療センター ICU、2)山形大学 医学部 麻酔科学講座深瀬 明日香1)、佐藤 萌1)、須賀 恭子1)、金子 千佳子1)、工藤 とし子1)、中根 正樹1,2)、川前 金幸1)【はじめに】PAD ガイドラインにおいて鎮痛管理を行う上でアセスメントツールを用いることが推奨されている。今回鎮痛評価のためCritical-Care Pain Observation Tool(CPOT)を試行的に導入したので、その効果を後ろ向きに検討した。【方法】2014年10月から11月までにICUに入室しCPOTを用いて疼痛評価を行った13例を対象に鎮痛・鎮静状況を調査した。また、13 例のうち24時間以上挿管人工呼吸を受けた5例(使用群)と同時期にICUに入室しCPOTを用いなかった5例(非使用群)について鎮静薬・鎮痛薬の量について比較した。CPOT 導入にあたっては、学習会を実施し知識の統一を図った。【結果】CPOTを使用した13 例の内訳は男性6 名、女性7 名。平均年齢73 ±11 歳であった。総評価回数は120 回であり、CPOT > 2(n=63)で何らかの介入を行ったのは17 回(鎮痛薬使用9回)、介入しなかったのは46 回であった。CPOT≦ 2(n=57)で介入したのは8 回(鎮痛薬使用2回)、介入しなかったのは49回であった。CPOT使用群・非使用群の比較において、年齢・性別・BMI・重症度評価に有意差は認められなかった。フェンタニルの使用量は、使用群では入室から12 時間で0.5μ g/kg/h、12 時間から24時間で0.5 μ g/kg/h、非使用群ではそれぞれ0.6 μg/kg/h、0.8μ g/kg/hであった。プロポフォール使用量は、使用群では入室から12時間で0.6mg/kg/h、 12時間から24 時間で0.4mg/kg/h、非使用群ではそれぞれ0.4mg/kg/h、0.2mg/kg/h であった。鎮静薬の使用量は使用群・非使用群ともに減少傾向であったが、鎮痛薬使用量は使用群で変化なく、非使用群で増加傾向にあった。【考察】CPOT の学習会を実施し試行的に導入したが、今回の後ろ向きの研究で介入には結びついていないことがわかった。アセスメントツールの導入だけでは鎮痛管理を適切に行えないことが示唆された。【結語】適切な鎮痛管理を行うためにはCPOT を活用した鎮痛プロトコールの作成が必要と思われた。DP49-5 ICU スタッフによる人工呼吸患者への鎮痛プロトコル導入の影響社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院那須 愛美、有馬 勝洋、高山 洋平、坂本 美賀子、西上 和宏【目的】人工呼吸中の鎮静のためのガイドラインでは、プロトコル化された痛みの評価は人工呼吸期間の短縮と有意に関係していたと言われており、鎮痛管理において多職種で共通認識を持つことが推奨されている。そこで人工呼吸患者におけるBehavioralPain Scale(BPS)を指標とした鎮痛プロトコルを導入し、その前後での鎮痛管理の変化を検証する。【方法】集中治療室(ICU)の人工呼吸患者でプロトコル導入前を対照群、プロトコル導入後を導入群とし、人工呼吸期間、鎮痛指示の有無と内容、使用薬剤について比較した。プロトコルは4 時間毎及び体動増加や疼痛訴え時にBPSで評価し、変化がある場合は看護師2 名で二次評価、BPS≧6点で鎮痛薬の使用を検討、鎮痛薬使用後は再評価を30分後に行う内容とした。【結果】人工呼吸期間は対照群73.8±171時間、導入群73.4±128時間であり有意差は認めなかった。鎮痛指示は対照群12%に医師からの指示があり、内容は「痛い時」など指標は不明確であった。導入群では78%に指示があり、内容はプロトコルに沿って対応となっていた。鎮痛薬の使用割合は対照群20%、導入群51%と有意差を認め、導入群においてフェンタニルが増加傾向にあった。また鎮痛薬使用例における鎮静薬の有無では、鎮静薬ありは対照群76%、導入群86% で有意差は認めなかった。BPS6 点未満での二次評価率は10% であったのに対し、BPS6 点以上では46% であった。【考察】プロトコル導入により鎮痛薬の使用基準が明確になり、鎮痛指示や鎮痛薬及びフェンタニルの使用頻度が増え、人工呼吸患者へ適した鎮痛管理ができたと考える。しかし鎮痛薬使用における鎮静薬の減少は認めず、人工呼吸期間の比較では有意差を認めなかった。今後鎮静評価と鎮静薬使用量を含めたプロトコルの改訂、BPSの評価方法を検討する必要がある。【結語】プロトコル導入により多職種での共通認識ができ、人工呼吸患者へ適した鎮痛薬が使用できた。DP49-6 救命救急センターにおけるRASS・BPS導入による効果~医師・看護師の共通認識を目指して~独立病院機構国立病院機構仙台医療センター 救命救急センター藁谷 夏音、門脇 正子、坂本 愛、清水 るみ子【目的】RASS・BPSの導入により医師・看護師が共通認識のもとで鎮静・鎮痛を行うことができるかどうかを明らかにし、課題を検討する。【方法】RASS・BPS の評価方法と鎮静・鎮痛薬剤に関する学習会を開催し、電子カルテ上で項目化して医師に鎮静・鎮痛目標の指示入力を依頼した。研究メンバーと受け持ち看護師が評価し、結果に誤差が生じた際は適宜教育を行った。医師と看護師を対象としてRASS・BPS 導入前後の意識調査を行った。研究期間は平成26 年7 月~11 月とした。【結果と考察】評価対象患者は29 人であった。対象となった看護師は44 名、救急センター経験年数平均5.75年であった。評価回数は総数1511回で、患者1人あたりの評価回数は52.1回だった。意識調査にて、適正な鎮静が行われていると思う看護師は、前41%、後74%であった。患者の状態をアセスメントできていると思う看護師は、前62%、後95%であった。医師と共通認識のもとで鎮静できていると思う看護師は、前32%、後55%であった。適正な鎮痛が行われていると思う看護師は前39%、後77%であった。鎮痛スケールを利用している看護師は前23%、後57%であった。医師と共通認識のもとで鎮痛できているとした看護師が後にわずかに増えたが大きな変化はなかった。医師からは十分な回答数を得ることができなかった。導入後看護師から医師に指示を確認する場面が多く見受けられた。これは、鎮静・鎮痛における共通認識の重要性を看護師が認識したためと考える。鎮静スケールを用いた鎮静管理により不要な鎮静薬投与予防、自己抜管の減少ができたという報告があることからも、RASS・BPS の使用により医師・看護師が共通認識のもとで鎮静・鎮痛ができる体制を整備していく必要がある。【結論】RASS・BPSの導入により患者の状態をアセスメントすることができ、適正な鎮静・鎮痛が行われたとした看護師が増加した。医師への浸透を図り、協力を得ることが課題である。