ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-602-DP49-1 Behavioral Pain Scaleの導入による鎮痛管理の実態地方独立行政法人 市民病院機構 大阪市立総合医療センター千田 多絵子、宮原 聡子、中島 愛那、清水 朋、植村 桜【背景】A病院ICUでBehavioral Pain Scale(以下BPSと略す)を導入した結果、鎮痛管理の現状がどのように変化したかを検証した。【方法】BPS導入前後6ヶ月間、ICUに入室した成人開心術後患者を対象に基本属性、APACHEIIスコア、鎮痛剤を使用した患者の割合と使用状況、挿管時間、ICU 在室日数を調査した。BPS導入前後の比較はカイ2 乗検定、マンホイットニーU 検定を用いた。本研究の実施について倫理委員会の承認を得た。【結果】BPS導入前群(n=71)、導入後群(n¬=60)においてBPS導入前後の対象者の基本属性、APACHEII スコアに有意差は認めなかった。鎮痛剤を使用した患者の割合は、BPS導入前(以下前と略す)32 名、BPS 導入後(以下後と略す)41 名で有意に増加していた。フェンタニルを使用した患者は、前14 名、後31名、ペンタジンを使用した患者は、前7 名、後20 名で有意に増加していた。鎮痛剤を使用した際のBPS は3~9 であった。BPS6以上で経過観察しても改善のない症例に関しては体位調整、呼吸器設定変更などの介入がされていた。再評価については4名を除き定期評価以外の記録は認めなかった。挿管時間平均は、前1460.2分、後1638.7分、ICU在室日数平均は、前3.2日、後3.3日で有意差は認めなかった。【考察】BPS 導入前後の対象者の基本属性に有意差は認めなかったが、鎮痛剤の使用割合は有意に増加しておりBPS 導入により鎮痛管理への認識が高まったと考える。BPS導入後は継続した定期評価が行えており介入に活かされていた。一部の症例で再評価が記録できておらず、鎮痛剤使用後の適正な再評価について継続した教育が必要である。挿管時間やICU 在室日数は減少していなかった。今後も、質の高い鎮痛管理を継続し、研究対象患者を拡大することで減少する可能性があると考える。デジタルポスター 49 鎮静・鎮痛・せん妄・早期離床④ 2月14日(日) 11:00~12:00 デジタルポスターブース9DP49-2 心臓血管外科術後の気管挿管中の患者に鎮痛評価スケール(BPS)を使用した疼痛管理の効果青森県立中央病院 集中治療看護班成田 英仁、佐々木 美子【目的】気管挿管患者の管理では、浅い鎮静管理や、痛みのアセスメントとしてBPS が推奨されている。A病院ICU では鎮静評価スケールとして、RASSを使用しているが、鎮痛評価スケールは使用していない。そこで開心術後の人工呼吸管理患者に、BPSを導入し鎮痛を図ることでどのような変化があるか明らかにする。【方法】対象は平成27年1月~3月に心臓血管外科の開心術施行患者でBPS使用群、非使用群それぞれ17名を比較。鎮静・鎮痛剤使用量、抜管・離床までの期間、ICU滞在期間、入院期間はスチューデントt 検定(有意差< 0.05)、鎮静深度のデータは、マンホイットニー検定(有意差p < 0.05)を用いて、BPS による疼痛管理効果を明らかにする。【結果】鎮静深度は、BPS使用群では多くの患者で浅い鎮静ができ、p=0.002と有意差がみられた。それ以外の項目では有意差はみられなかった。なお、BPS使用群では覚醒遅延による抜管の遅れは1例もみられなかった。【考察】BPS導入後、鎮痛剤使用量が増量し、鎮静深度(浅い鎮静)では有意差がみられたことから、BPS4以下を目標に疼痛コントロールすることで、痛みや苦痛による興奮が抑えられ、その結果、浅い鎮静管理が可能になったと考える。離床までの期間、ICU滞在期間、入院期間はすべての項目で短縮されていたが有意差がみられず、人工呼吸中の鎮痛・鎮静管理だけでは、それらに大きな影響を与えるとは言えないと考える。抜管までの期間でも有意差はみられなかったものの、BPS非使用群が37時間要したのに対して、BPS使用群は20 時間と17時間短縮した事からBPS 使用により人工呼吸器装着日数を短縮することができると考える。【結論】1.BPS導入により疼痛コントロールができ、浅い鎮静管理ができるようになった。2.鎮静剤・鎮痛剤使用量、離床までの期間、ICU 滞在期間、入院期間において有意差はみられなかった。しかし抜管までの期間は短縮し、覚醒遅延もみられなかった。DP49-3 ICU で人工呼吸器管理を行った患者のせん妄発症と人工呼吸器管理中の疼痛コントロールの関係1)名古屋掖済会病院、2)名古屋掖済会病院 心臓血管外科立松 美和1)、運天 匠1)、中村 有作1)、水谷 由香里1)、平手 裕市2)【はじめに】ICU で挿管・人工呼吸器管理を行った患者のせん妄発症と、人工呼吸器管理中のBehavioral Pain Scale(以下BPS)評価との関係を調査したので報告する。【方法】対象:A病院ICUに入室し、挿管・人工呼吸器管理を行った患者47名。調査期間:2014年9月~2015年6月。調査方法:対象の人工呼吸器装着中のBPSを分析した。また、せん妄発症はCAM-ICUを用いて評価した。人工呼吸器装着中のBPSを6点以上(A群)、6点未満(B群)に分類し、各群のCAM-ICU陽性率を検討した。抽出したデータはFisher正確確率検定を用いて分析した。【結果】BPS得点で分類したA群は15名、B群は32名であった。CAM-ICU陽性率は、A 群73%、B群中9.4%であった。A 群とB 群のCAM―ICU陽性率には有意差を認めた。【結語】人工呼吸器管理中にBPSによる鎮痛評価を行い、適切な鎮痛コントロールを行う事は、せん妄発症に対する予防策のひとつとして有効であることが示唆された。