ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-598-DP47-1 敗血症患者におけるBNP(Brain Natriuretic Peptide)推移の検討京都大学 医学部 附属病院 麻酔科松川 志乃、瀬川 一、谷本 圭司、田中 具治、福田 和彦【背景】BNP は敗血症において上昇すると報告されているが臨床的意義は明らかでなく、その経時的変化に関する研究は少ない。当院ICU において敗血症患者におけるBNP の推移を後ろ向きに検討した。【方法】2014 年5 月から2015 年5 月までの期間に当院ICUに緊急入室となった患者90 名を対象とした。ICU入室時のBNP値を敗血症患者45名と非敗血症患者45名で比較した。さらに敗血症患者の内4日以上ICU に滞在し連日BNPが測定されていた20名の患者についてBNP経時変化を検討した。統計解析はMann-Whitney U test により行った。【結果】ICU入室時のBNP 値は敗血症患者で非敗血症患者より有意に高値であった(中央値333.1 vs 105.2 pg/ml p< 0.0001)。敗血症患者のBNP 値の経時変化に関しては、死亡した3 例と心房細動を呈した1 例では増加あるいは高値で推移した。敗血症から離脱した症例では低下あるいは一時的上昇の後低下するものが多かった。CHDFを施行した症例(8例)と施行しなかった症例(12例)で比較したところ、入室時のBNP 値は両者で差が無かったが、CHDFを施行した症例でBNP が減少に転じるのが有意に遅くなった(中央値3.5 vs 2.0日 p = 0.020)。【考察】本研究では、敗血症患者は発症時BNP高値を示し、その後病態の改善に伴い低下傾向となることが示された。CHDFを施行した症例では、BNPが低下へと転じるのがCHDFを施行しなかった症例に比べ有意に遅かった。これは1)BNP値が敗血症の重症度を反映している可能性、2)refillingに対応する水分バランスのマイナス化がCHDF を施行した症例では遅れることを反映している可能性が考えられる。後者の場合、BNP値が敗血症回復期の循環管理の指標となる可能性があるが、BNP 値の臨床的意義についてはさらなる検討が必要と思われた。【結語】敗血症患者では、非敗血症患者と比較してICU入室時のBNPが高値であった。デジタルポスター 47 多臓器不全・敗血症④ 2月14日(日) 11:00~12:00 デジタルポスターブース7DP47-2 敗血症の転機予測には拡張期圧が最も有用である1)東北大学 大学院 医学系研究科 麻酔科学・周術期医学分野、2)東北大学 大学院 医学系研究科 神経外科学分野、3)東北大学 大学院 医学系研究科 救急医学分野、4)東北大学病院 集中治療部、5)東北大学病院 手術部、6)大崎市民病院 麻酔科小林 直也1,6)、中川 敦寛2)、齋藤 浩二4)、江島 豊5)、吾妻 俊弘1)、外山 裕章1)、遠藤 康弘1)、工藤 大介3)、山内 正憲1)【目的】敗血症の初期蘇生戦略では平均血圧(MAP)を65 mmHg 以上とすることが推奨されているが、この目標値達成が転帰改善に繋がるかは明らかになっていない。今回、転帰と関係する治療早期のバイタルサイン値を明らかにするため網羅的解析を行った。【方法】当院ICU に入室した敗血症患者を対象とし、入室90 日後の転帰で2 群に分け、入室後24時間毎に72 時間後まで比較した。【結果】敗血症患者55例を解析対象とした。90日死亡率は41.8 %であった。MAPは、入室後48-72 時間において死亡群78.5± 12.0 mmHg、生存群90.2 ± 10.9 mmHg と死亡群が有意に低く(P=0.001)、拡張期圧(dBP)でも24-48時間で60.3± 10.1 mmHgvs 66.9 ± 8.5 mmHg(P=0.015)、48-72 時間で58.5 ± 10.5 mmHg vs 69.0 ± 8.0 mmHg(P < 0.001)と、死亡群が低かった。MAPとdBPのある値におけるArea under curve(AUC)を網羅的に解析したところ、48-72時間後のdBP 70 mmHgを閾値としたとき、684.8 mmHg・min/h(AUC ROC 0.883, 陽性的中率 88.9 %, P< 0.001、SAPS II scoreで調整)以上の低下がもっとも正確に転帰を反映した。ICU入室24-48時間のMAP 75 mmHg, dBP 60 mmHg、48-72時間のMAP 85 mmHgも転帰予測の有用な指標であった。【結論】敗血症においてはMAPよりもdBPが転帰を正確に予測できる可能性がある。DP47-3 重症敗血症患者における組織酸素代謝モニタリングとしてのRegional Saturation of Oxygen(rSO2)の検討1)横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター、2)横浜市立大学医学部医学科救急医学谷口 隼人1,2)、中村 京太1,2)、古郡 慎太郎1,2)、土井 智喜1,2)、安部 猛1)、森村 尚登1,2)【背景】敗血症診療において、血中乳酸値、中心静脈血酸素飽和度などが組織酸素代謝の指標として利用されているが、侵襲的である。一方、Regional Saturation of Oxygen(以下rSO2)は、非侵襲的かつ簡便迅速に組織酸素代謝を連続モニタリングでき、近年敗血症患者における上腕部rSO2が死亡率と相関すると報告されている。ただし、組織酸素代謝モニタリングとしてのrSO2に関する報告は未だにない。【目的】敗血症患者における組織酸素代謝の指標として、従来測定していた血中乳酸値、中心静脈血酸素飽和度とrSO2との関連を明らかにすること。【対象】当院救命救急センターICUに入院し重症敗血症と診断された10 症例(男9人女1 人 年齢65±14歳)。【方法】前向き観察研究。2015 年5 月から8 月までに、ICU入室時に前額部、上腕部にINVOS 5100C(Covidien 社)を装着し、前額部rSO2、上腕部rSO2 を測定した。同様に血中乳酸値と中心静脈血酸素飽和度を測定し、測定開始時と開始24時間後の変化率をみた。統計解析にはKruskal Wallis検定、Spearmanの順位相関係数を用い、p<0.05をもって有意差ありと判断した。【結果】測定開始時と開始24 時間後のrSO2 変化率と血中乳酸値の変化率に相関は認められなかったが、上腕部rSO2変化率と中心静脈血酸素飽和度変化率に正相関の傾向を認めた(r=0.750,p=0.052)。【考察】統計学的有意差は認められなかったが、中心静脈血酸素飽和度の代替のモニタリング指標になる可能性が示唆された。今後さらなるデータの集積が必要である。