ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
- ページ
- 599/910
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている599ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている599ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-597-DP46-4 血液浄化によるEV1000各測定値への影響-注入部位による比較検討-1)藤田保健衛生大学 医学部 麻酔・侵襲制御医学講座、2)藤田保健衛生大学 医学部 臨床免疫制御医学講座酒井 俊和1)、加藤 由布1)、原 嘉孝1)、中村 智之1)、下村 泰代1)、山下 千鶴1)、森山 和広2)、西田 修1)従来、経肺熱希釈法は血液浄化による影響はないと考えられていたが、近年測定データに影響を及ぼすことが知られてきた。血液浄化の有無による影響は調べられているものの、冷水注入部位毎に血液浄化の影響を調べた報告はない。本研究では同一個体のブタで冷水注入部位を頸静脈と大腿静脈の2か所で比較し、それぞれの血液浄化の影響を調べた。[方法]供試動物は6頭の雌ブタ(体重35~40kg)、経肺熱希釈法にはEV1000を用いた。麻酔下のブタに、左頸静脈に血液浄化用のダブルルーメンカテーテル、左大腿動脈にEV1000ボリュームビューカテーテル、右頸静脈と右大腿静脈に冷水注入用のCVカテーテルをそれぞれ留置した。血液浄化に見立てた、カラムがない回路で送血、脱血のみ行い(QB150ml/h)、on とoff の条件下でEV1000 を測定した。EV1000 では心拍出量(CO)、拡張末期心臓血液総容量(GEDV)、血管外肺水分量(EVLW)を測定した。得られたデータはmean±SDで示し、統計処理はWilcoxon signed-rank test を用い、P < 0.05 で有意差ありとした。[結果]頸静脈でon、off でそれぞれCO2.70 ± 0.81vs 2.93± 0.79 L/min(P=0.04)、GEDV416.5± 47.2 vs 453.7± 61.5 ml(P=0.04)、EVLW322.7± 39.6 vs 323.0± 40.2 ml(P=0.92)、大腿静脈2.80 ± 0.66 vs 2.90 ± 0.73 L/min(P=0.18)、GEDV503.3 ± 52.0 vs 514.5 ± 58.8 ml(P=0.09)EVLW348.5 ± 29.1 vs 354.2±25.0 ml(P=0.44)であった。[考察]血液浄化の影響として、offに対してonの測定値を比較すると、頸静脈ではCO、GEDVは有意に低く測定された。一方、大腿静脈ではでいずれも有意な差は認められなかった。血液浄化が経肺熱希釈法に及ぼす影響は、頸静脈で血液浄化を行っている場合、冷水注入部位が頸静脈よりも大腿静脈で少ない可能性が示された。本研究の限界は血液浄化を頸静脈でしか行っていない点であり、大腿静脈で行った際に同様の結果になるかは不明である。DP46-5 肺動脈カテーテルが循環管理に有用であった重症心不全の1 例1)砂川市立病院 麻酔科、2)札幌厚生病院副島 崇旨1)、丸山 崇1)、久保 智紀2)、糸洲 佑介1)、雨森 英彦1)【はじめに】1970年の発明以来、肺動脈カテーテルは血行動態管理の中心として利用されてきた。しかし、1996年にConnor 氏がその有用性に疑問を呈して以降、肺動脈カテーテルの利用は減少傾向にある。この度、我々は肺動脈カテーテルの有用性を再認識する症例を経験したので、若干の文献的考察を交えて報告する。【症例】拡張型心筋症で当院通院中の53歳男性。呼吸困難および乏尿で当院受診し、慢性心不全急性増悪と診断された。第3~第5 病日に低心拍出に伴う急性腎前性腎不全に対して持続的血液透析を施行した。その後持続的な心房細動を認め、第21 病日に同期下カルディオバージョンを施行し、洞調律復帰したが、同日午後に急激な酸素化悪化を認め集中治療室入室となった。挿管・人工呼吸器管理の上で肺動脈カテーテルを留置した。入室時の心係数1.7 L/min/m2、中心静脈酸素飽和度50%後半であり、ドパミン、ドブタミン、ミルリノンで循環補助を開始した。第22病日には心係数2.0~3.0 L/min/m2、中心静脈酸素飽和度 60%後半に改善し、ドパミンおよびドブタミンを中止した。第23 病日に心房細動再発による酸素化悪化を認めた。中心静脈圧20mmHg、肺動脈圧77/39mmHg と肺鬱血が示唆されたため、ミルリノン、カルペリチドを増量した。第27病日に再度同期下カルディオバージョンを施行し、洞調律復帰した。また同日よりラシックス持続点滴静注を開始し利尿は良好であった。第29 病日に中心静脈圧6mmHg、肺動脈圧34/22mmHg に改善した。同日抜管成功。第33 病日肺動脈カテーテル抜去し、一般病棟へ退室となった。【考察】肺動脈カテーテルへの疑問は、超音波検査の進歩で低侵襲な血行動態管理が可能になったことが背景にあるが、超音波検査は術者の技量に左右される。また、複数の医師・看護師が勤務する当院のような集中治療室では、連続的で定量的な循環動態管理は有用であると考える。DP46-6 当院における重症心不全患者に対するチーム医療の役割~ ソノグラファーの視点から~1)心臓病センター榊原病院 生理検査科、2)心臓病センター榊原病院 臨床工学科、3)心臓病センター榊原病院 循環器内科、4)心臓病センター榊原病院 心臓血管外科小山 卓也1)、土岐 美沙子1)、有高 進悟1)、本部 弘美1)、中島 久美子1)、中島 康佑2)、林田 晃寛3)、坂口 太一4)当院では、2014年11月にチーム医療の一環で重症心不全チームを発足させ、体外循環管理となる症例に対してチームで介入する取り組みを始めた。チームの構成は、医師(心臓血管外科医、循環器内科医、麻酔科医、消化器外科医、糖尿病内科医)看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、保健師、栄養士、そしてソノグラファーとなっている。毎朝チームメンバーでカンファレンスを行い方針決定しているが、ソノグラファーは患者に一対一の担当制を敷いており心エコー図検査にて評価している。これまで20例程度の介入を経験したが、多職種との連携の重要性、ソノグラファーとしてチームに携わる有用性について症例を交えて述べることとする。症例は50歳男性、冠動脈バイパス術および大動脈弁置換術後にECMO管理となったため重症心不全チーム介入となった。第4病日、臨床工学技士から中心静脈圧が高くECMO設定の調整でも全く変動を示さないとの連絡を受け、ソノグラファーにより原因検索のため心エコー図検査を施行したが診断には至らず、ただちに循環器内科医に経食道心エコー図を依頼した。結果、新規の右室梗塞が最も疑われ、一連の迅速な連携により早期診断に至った。こういった重症症例では経過をフォローする中でソノグラファーと臨床工学技士と医師とのコミュニケーションとして、例えばECMO flow の設定変更時の心拍出量の変化や圧の変化のモニタリング、そして離脱のタイミングの決定のため密に連携を図っている。また、経過を追って同じソノグラファーが検査を施行することで同じアプローチそして同じ目で評価できるメリットも欠かせないものと考えている。ソノグラファーはエコーという専門分野を武器にチームに介入しているが、多職種からなるチームでは各領域のスペシャリストからの情報を共有することで治療方針の決定そして救命につながると考える。