ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-590-DP43-1 大葉性肺炎による著明な酸素化不良に対し一酸化窒素吸入療法を行い救命に至った1 例広島市立広島市民病院麻酔集中治療科宇仁田 亮、山口 直城、上野原 惇、後藤 隆司、鷹取 誠【現病歴】70歳男性。呼吸苦を主訴に当院救急外来を受診。著明な酸素化不良を認め、大葉性肺炎と診断され全身管理目的にICU入室となった。【経過】各種検査を提出し、抗生剤加療を開始。酸素化不良に対して挿管人工呼吸管理を行った。挿管後より著明な血圧低下を認めノルアドレナリン・バソプレッシンを投与するも反応不良でありハイドロコルチゾン持続投与を要した。腎機能障害に対してOnline-CHDFを導入。その後血行動態は安定したが酸素化不良が増悪し、第4病日にはP/F ratio=50まで低下した。VV-ECMO 導入も検討したが一酸化窒素(NO)吸入療法を開始したところ酸素化の改善を認めた。その後酸素化は改善傾向となり第8病日にはNO中止しECMOを導入することなく管理しえた。第14病日に抜管するも、呼吸筋疲労および喀痰排泄困難のため第23病日に再挿管し第25病日に気管切開を施行。その後呼吸器をweaning し、第35病日に一般病棟へ退室となった。【考察】NO 吸入療法は肺血管拡張作用により換気血流不均等を是正し酸素化を改善しうる。しかしARDS に対するNO 吸入療法は生命予後を改善しないと報告されており、合併症のリスクも報告されている。一方でオーストラリアのECMO導入ガイドラインにはNO吸入療法が記載されている。本症例は典型的ARDSではなく片側を中心とした大葉性肺炎であり、同様の片側性肺炎に対する有効性を報告した論文も認める。重症呼吸器不全に対する早期ECMO導入の是非はまだ結論が得られていない。本症例では人工呼吸器の圧条件が低値であったこと、当院でのVV-ECMO の経験がなかったことから、まずNO 吸入療法を行い結果的にECMO 導入を回避しえた。今後VV-ECMO 症例を増やし、その導入適応およびタイミングについては検討していく必要がある。【結語】NO 吸入療法は片側を中心とした大葉性肺炎による酸素化不良に対しては救命手段のひとつの選択肢となりうる。デジタルポスター 43 気道・呼吸・呼吸管理⑥ 2月14日(日) 11:00~12:00 デジタルポスターブース3DP43-2 心肺蘇生後の気道出血に対し、気管支動脈塞栓術が有効であった1 症例姫路赤十字病院 麻酔科古島 夏奈、増田 恵里香、出口 美希、依田 智美、中村 芳美、稲井 舞夕子、山岡 正和、仙田 正博、八井田 豊、倉迫 敏明心肺停止蘇生時には胸骨圧迫により肋骨骨折やそれに伴う肺挫傷をきたしうる。今回我々は心肺蘇生後の肺挫傷による気道出血のコントロールに難渋し、肺動脈塞栓術によって止血をしえた症例を経験したので報告する。症例は68 歳男性。第1 病日に気分不良および胸痛の訴えののち意識消失したため、救急要請された。救急隊到着時の初期波形は心室細動であり、電気的除細動と胸骨圧迫を施行され、当院に救急搬送された。搬送後、緊急冠動脈カテーテル検査が施行され、# 6に99%狭窄を認めたため、PCIを施行された。血圧は安定していたが、心収縮力は著明に低下しており、大動脈バルーンパンピング(以下、IABP)を挿入されICU入室となった。入室時より血痰を認め、心肺蘇生時の肋骨骨折及び肺挫傷が原因と考えられたが、抗凝固薬・抗血小板薬を使用せざるを得なかったため、high PEEPで管理し、出血の制御を目指した。その後も出血が持続するため、第7 病日にIABPを抜去した後、気道出血の止血を優先し抗凝固薬および抗血小板薬を中止した。同日CT を撮像したが、明らかな出血源は不明であった。抗凝固薬・抗血小板薬の中止後、出血は著明に減少したため、呼吸器の離脱を試みたが、PEEP を下げると血性痰が再び出現するようになった。保存的な止血は困難であり、第17病日にCTを再度撮像し、気管支動脈からの出血が疑われたため、第18病日に気管支動脈塞栓術を施行した。その後、気道出血は改善傾向を示し、酸素化も改善したため、第24病日に抜管した。今回我々は、蘇生後の気道出血のコントロールに難渋し、気管支動脈塞栓術により著明に改善した症例を経験した。心肺停止蘇生後の気道出血は通常肺挫傷によるため、動脈性の出血ではないことが多く塞栓術の適応とならない症例が多いが、保存的治療で止血困難な場合は、気管支動脈塞栓術を考慮する必要があると考えられた。DP43-3 ウイルス培養にて診断されたインフルエンザ肺炎の2 症例公立陶生病院呼吸器アレルギー疾患内科速井 俊策、谷口 博之、近藤 康博、木村 智樹、片岡 健介、松田 俊明、横山 俊樹【背景】原因不明のARDSの一部にはウィルス性肺炎があると言われるが,診断方法は確立されていない.今回我々は,急性呼吸不全にありながら積極的に気管支鏡・気管支肺胞洗浄を行い診断し得たインフルエンザ肺炎によるARDSを経験したため報告する.【症例1】64歳男性. 咳嗽全身倦怠感を主訴に受診し, 胸部CTにて両側びまん性すりガラス陰影を認めインフルエンザ迅速抗原検査陰性であった.P/F ratio 135,NPPV による呼吸管理, ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1000mg/day3 日間), 免疫抑制剤併用療法を行いインフルエンザ流行期でありペラミビル投与も行った. 入院時BAL 液ウイルス培養検査にてインフルエンザA ウイルスが分離培養されインフルエンザ肺炎と診断,免疫抑制剤中止,ステロイド早期漸減を行い入院第56病日に独歩退院となった【. 症例2】45歳男性, 咳嗽を主訴に当院紹介受診し胸部CT にて上肺有意にすりガラス陰影を認めた.インフルエンザ迅速抗原検査陰性,気管支肺胞洗浄検査にて肉眼的肺胞出血であった. 来院時P/F ratio 221,NPPVによる呼吸管理, ステロイド療法(メチルプレドニゾロン1mg/kg)を行ったがその後入院時気管支肺胞洗浄液ウイルス培養検査にてインフルエンザAウイルスが分離培養され,, インフルエンザ肺炎と診断,入院第40病日に独歩退院となった.【考察】今回の2症例は急性経過の呼吸不全を呈しており,流行期であるためペラミビルを併用した.2 例とも入院時にはインフルエンザ迅速抗原検査陰性であり,原因不明のARDS と考えざるを得なかった.このためステロイド治療を開始する前にNPPVを併用しつつ気管支鏡検査を行いその結果診断が可能となった.全身症状を呈する急性呼吸不全症例についてはインフルエンザ流行時期においては迅速抗体検査が陰性であっても鑑別に残すべきと思われると同時に急性呼吸不全においても気管支鏡などの積極的な診断的介入が重要であると考えられた.