ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-583-DP39-4 鎮痛・鎮静プロトコールによるせん妄発生率の減少大阪市立総合医療センター 集中治療部奥村 将年、宇城 敦司、大塚 康義、山本 泰史、和田 翔、岩田 博文、菅 敏晃、宮内 清司、嶋岡 英輝【背景】近年,人工呼吸管理中の鎮静は鎮痛を中心としたanalgesia based sedationに変化している.当院は57診療科(小児17診療科),1065 床の総合病院で,10床のICUで新生児から成人にわたる術後・院内急変に対応している.対象年齢の多様性から当院ICUでは人工呼吸管理中の鎮静・鎮痛に関して管理指標がなく,2014年のせん妄発生率は55%と高い状況にあった.そこで,人工呼吸管理中のせん妄率の減少および挿管期間の短縮を目標として鎮痛・鎮静プロトコールを2014年8 月から導入した.【方法】期間:2013 年4月~2014年3 月(プロトコール導入前),2014 年8月~2015年7 月(導入後).対象患者:内科疾患でICU に緊急入室した18歳以上の患者.検討項目:プロトコール導入前後の鎮静剤・鎮痛剤の種類,入室24時間後と48時間後のRASS およびせん妄率,人工呼吸期間,ICU滞在期間.プロトコールはBPS 5以下とRASS-2~0を管理目標としてフェンタニルとデクスメデトミジンを中心に用いるものとした.また持続ミダゾラムの使用を原則禁止とした.【結果】導入前群25人,導入後群28人であった.各群ともに敗血症と呼吸不全で80%以上を占めていた.プロトコール導入後,薬剤の使用率はデクスメデトミジン96%(導入前68%),ミダゾラム17%(導入前36%),フェンタニル65%(導入前20%)であった.入室24時間後のRASS は-2(導入前-2),48時間後のRASSは- 1(導入前0)で有意差はなかった.24 時間後せん妄率は30%(導入前47%)で有意差はなかったが,48 時間後せん妄率は25%(導入前55%)で有意差をもって減少していた(p =0.04).人工呼吸管理期間(72 時間と68時間)とICU 滞在期間(121時間と119時間)はともに短縮しなかった.【結論】プロトコール導入前後でRASS は変化しなかったが48 時間後せん妄率が減少した.適切な鎮静深度が保たれている場合にはデクスメデトミジンとフェンタニルによる管理がせん妄の発生を予防すると考える.DP39-5 作業療法士のICU 専従化でせん妄は減らせるか?1)神戸市立医療センター中央市民病院 救急部、2)神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科、3)神戸市立医療センター中央市民病院 リハビリテーション技術部高場 章宏1)、瀬尾 龍太郎1)、蛯名 正智1)、朱 祐珍2)、淺井 康紀3)、有吉 孝一1)【背景・目的】人工呼吸患者に早期から理学療法(PT)、作業療法(OT)を行うことで、せん妄期間などのアウトカムを改善することが報告されているが、OT単独の予後改善効果は示されていない。当院ICUでは、入院翌日からほぼ全例にPTを施行していたが、OTも早期から行う患者は少数であった。2014年4月より作業療法士1名がICU専従となっており、OT専従化前後でのせん妄期間などに及ぼす影響を比較した。【方法】2014 年1月から3月を前期、2015年1月から3月を後期とした。対象はICU入室した救急科管理患者(脳神経外科や循環器内科での入院は含まれない)で、CPA蘇生後は除外した。せん妄の有無は、DST(DeliriumScreening Test)で評価した。【結果】前期41名、後期52名であった。OT施行率は前期14.6%から後期40.3%と有意に増加した(p< 0.01)。ICU滞在期間、入院日数、せん妄発生率は2 群間で有意差を認めなかった。せん妄期間および入院日数に対するせん妄期間の割合は、平均で前期:5.3 日、18.2%、後期:2.8 日、11.5% であり、これらに関しても有意差を認めなかった。【結論】作業療法士専従化に伴いICUでのOT施行率は増加した。アウトカムの有意な改善は認めなかったが、せん妄期間は短縮傾向であった。今後はOT の内容について見直しをするとともに、OT単独の予後改善効果を評価するため前向き比較試験を検討している。DP39-6 ガイドラインを使用したPAD評価の取り組み1)石川県立中央病院 麻酔科、2)石川県立中央病院 集中治療部高橋 麗子1)、沖野 優子2)、西 幸恵2)、太田 淳子2)、松原 隆夫2)、石塚 修一1)、新田 俊一1)【目的】当院集中治療室(ICU)では、鎮静薬や鎮痛薬の選択は各科医師の裁量により決定しており、過鎮静での管理となる印象があった。今回、鎮痛・鎮静・せん妄(PAD)の臨床ガイドラインで推奨されたツールを使用して、当院でのPAD評価を試み、せん妄の出現因子について検討した。【方法】多職種からなるPADワーキンググループを中心に2 か月間の勉強会施行後、当院ICUに入室した患者に対して、7 か月間PAD評価を行った。評価は担当看護師が行い、判定スケールとして、鎮痛はCPOT(2時間ごと)、鎮静はRASS(2 時間ごと)、せん妄はCAM-ICU(8時間ごと)およびICDSC (24 時間ごと)を使用した。【結果】評価を行った220 名の年齢は66 ± 14 歳、内訳は、予定手術後患者が115 名、緊急入院患者が83 名(うち循環器疾患患者が80%)、院内急変患者ほかが22 名だった。入室期間は4 ± 3 日で、人工呼吸管理患者は58 名であった。人工呼吸中の鎮静には、90%以上でプロポフォールが単独で使用されていた。220名中、鎮痛不良(CPOT≧3)の患者が7%、過鎮静(RASS≦-3)の患者が9%、せん妄(CAM-ICUで陽性、ないしはICDSC ≧4)患者が18%にみられた。予定手術後患者は、非手術後患者に比べて鎮痛と鎮静が良好で、せん妄の出現が少なかった。せん妄が出現した患者には、鎮痛と鎮静が不適切な患者が多かった。その他、せん妄出現の危険因子は、高齢と長期の入院期間であった。【結論】ワーキンググループを中心にして、ガイドラインのツールを用いてPADの評価を行うことができた。せん妄出現の予防には、十分な鎮痛と良好な鎮静の重要性が示唆された。