ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-582-DP39-1 緊急開腹手術における術後超音波ガイド下体幹部神経ブロックは早期回復に寄与する1)鹿児島市立病院 麻酔科 集中治療部、2)鹿児島市医師会病院萩原 信太郎1)、上野 剛1)、濱崎 順一郎1)、山口 俊一郎1)、内野 えりか1)、川崎 孝一1)、有村 俊明2)【目的】周術期の至適鎮痛は術後QOL 向上や合併症発生軽減、早期回復に繋がると期待されている。しかし、緊急開腹手術では不安定な循環動態や血液凝固異常等により硬膜外カテーテルを留置できず、術後疼痛管理に難渋し合併症を併発しやすい。今回、硬膜外カテーテル非留置緊急開腹手術症例に対し術後1~3日目に体幹部神経ブロックを施行し早期回復への影響を検討した。【方法】術後ICUに入室した緊急開腹手術41例(非ブロック群21例、ブロック群20例)を対象とした。非ブロック群はフェンタニルとデクスメデトミジンを持続静注し、ブロック群は持続静注に加え体性痛出現時に神経ブロック(0.2% レボブピバカイン50ml/ 回)を施行した。鎮痛薬投与量、術後ADL、周術期合併症について比較し、神経ブロックの鎮痛効果を評価した。【結果】全項目に有意差を認め、神経ブロックによる体性痛軽減がみられた(表)。手技的合併症や局麻中毒等の偶発症はなかった。【結論】ICUでの術後超音波ガイド下体幹部神経ブロックは安全かつ簡便に施行でき、早期回復に寄与する可能性がある。デジタルポスター 39 鎮静・鎮痛・せん妄・早期離床③ 2月13日(土) 13:30~14:30 デジタルポスターブース9DP39-2 ICU の鎮静管理におけるSedLineの使用経験1)山形大学医学部附属病院 高度集中治療センター、2)山形大学医学部附属病院 麻酔科、3)山形大学医学部附属病院 救急科鈴木 博人1,2)、高橋 菜々子2)、黒田 美聡2)、鈴木 麻奈美2)、小野寺 悠2,3)、秋元 亮2)、小林 忠宏1,2)、中根 正樹1,3)、川前 金幸2,3)SedLineは本年初めに発売された新しい脳波による鎮静モニターである。Patient State Index(PSI)による鎮静深度の評価の他に、多チャンネルでの測定、左右別の評価、Density Spectral Array(DSA)・Spectral Edge Frequency(SEF)のモニタリングが可能等の特徴を持つ。麻酔管理はもとより、集中治療管理においての有用性に関しても今後のエビデンスが期待されている。今回我々は、ICU での鎮静管理におけるSedline の使用経験について、簡易な統計学的検討も含めて報告する。[方法]当院ICU に入室し、SedLine を用いて鎮静管理を行った3 名(1 名についてはBispectral Index(BIS)を併用)について後方視的に検討した。BISとPSIの関連性、PSIとSEF の関連性、またSEF の左右差について検討した。DSAに関しては記録が残らない仕様であり、今回は検討しなかった。[結果]3 名とも心臓血管外科手術の術後であり、1 名はプロポフォール+フェンタニル、他2 名はさらにデクスメデトミジンを併用して鎮静された。BISとPSIには有意な相関が見られた(r=0.415、信頼区間0.356-0.471、p<0.0001)。また、患者覚醒時にはPSIのほうがBISよりも反応が早い傾向であった。3症例ともPSI とSEF には有意な相関がみられたが、DEX 使用の2 症例は2 峰性の分布が見られた。また、2 例のSEF について左側がより高い傾向であった。[考察]PSI はBIS と同等の評価ができる可能性が示された。また、PSIに伴ったSEF の増加は覚醒による速波の増加を反映していると考えられるが、鎮静薬等により異なる推移を示す可能性がある。[結論]SedLine により、鎮静深度の評価だけでなく、DSA・SEF により鎮静の質も評価できる可能性がある。DP39-3 トラマドールとデクスメデトミジン併用によるEndovascular aortic repair(EVAR)術後患者への有用性1)浜松医科大学 医学部附属病院 集中治療部、2)浜松医科大学 麻酔・蘇生学講座御室 総一郎1)、小林 賢輔2)、鈴木 祐二1)、大橋 雅彦1)、加藤 弘美1)、大杉 浩一1)、八木原 正浩1)、小幡 由佳子1)、土井 松幸1)、中島 芳樹2)【目的】EVAR術は皮膚切開の範囲は小さいが、高齢者の割合が多く、呼吸器合併症を有する頻度も多い。麻薬は呼吸抑制の合併症があり、書類上煩雑さのため使用をためらわれることがある。トラマドールは複数の作用機序を持った鎮痛薬であり、呼吸抑制の副作用がすくない。当院では鎮痛鎮静の基本薬としてデクスメデトミジン(Dex)を使用し、Dex単独、Dexとフェンタニル(Fen)またはDexとトラマドール(Tra)を各担当医師の判断で投与している。そこで後方視的に3群の投与方法を比較検討した。【方法】2014年4月から2014年10月までの腹部大動脈瘤に対してEVARを施行した患者で、術後ICU入室後からDex、Dex+FenまたはDex+Traを投与した症例を抽出した。入室時の状態、入室12時間後の鎮静鎮痛の状態をRASS,NRSおよびPrince Henry Score(PHS)、嘔吐の回数、無呼吸の頻度を抽出し評価した。【成績】評価可能な症例はDex群が6名、Dex+Fen群は8名、Dex+ Tra群は8名であった。患者の年齢、手術時間、手術中の麻薬の使用量に差はなかった。開始時の投与速度はDex 群が0.3 ±0.2 μ g/kg/hr、Dex+Fen群はDex 0.3±0.1 μg/kg/hr+ Fen 0.5±0.1μg/kg/hr、Dex+Tra群は Dex 0.3±0.1 μg/kg/hr+ Tra 0.3±0.1mg/kg/hr であった。経過中RASSはどの群も0 から-1であった。また不穏譫妄と診断される患者はいなかった。Dex 群、Dex+Fen 群、Dex+Tra群の順に12 時間後のNRS 値は中央値(25、75パーセンタイル値)で2(0,3)、0(0,5)、1(0,2)であった。12 時間後のPHS は順に1(1,2)、0(0,2)、0(0,1)であった。12 時間までの嘔吐の回数は順に1、2、2 回であった。12 時間までの無呼吸の頻度は0、1、0 で、この患者は声掛けで改善した。【結論】トラマドールをデクスメデトミジンと経静脈持続投与することで、呼吸抑制、悪心嘔吐などの合併症を増やすことなく良好な鎮痛鎮静管理ができる可能性が示唆された。