ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-581-DP38-4 低用量steroidが投与された敗血症患者におけるCRP,IL-6,PCTの動態東千葉メディカルセンター 救急科小倉 皓一郎、島田 忠長、仲村 将高、橋田 知明、児玉 善之、平澤 博之【背景】敗血症治療においてC-reactive protein(CRP),interleukin-6(IL-6),procalcitonin(PCT)等がbiomarker として用いられている.しかし,敗血症治療における低用量ステロイド治療が,これらのbiomarker動態にどう影響するかは不明である.今回,当施設で経験した敗血症患者を対象に PCT値,CRP値,IL-6値の動態を低用量ステロイド投与群とステロイド非投与群に分けて比較検討した.【対象・方法】2014 年4 月~2015 年7 月に当ICU に入室した敗血症症例のうち,低用量hydrocortisone の投与を受けた群(投与群,n=17)と,ステロイド治療を受けなかった群(非投与群,n=27)に分け,それぞれCRP値,IL-6値,PCT値の推移を測定し,両群間でこれらのbiomarkerを比較した.観察期間は最大7日間とした.【結果】投与群におけるhydrocortisone投与は大部分の症例で200mg/day から開始され,その後は漸減されていた.平均投与期間は4.4日であった.治療開始時の各biomarker測定値(投与群:非投与群)は、CRP値(12.5±9.6:12.2±9.0),IL-6値(46181±101472:6710±13185),PCT値(18.3±14.7:19.9± 34.5)と有意な差は認めなかったが,治療開始後,投与群では非投与群に比較しCRP値が有意に低く推移した.一方で,IL-6値とPCT 値の推移においては両群間に明らかな差を認めなかった.【考察】今回の検討結果から, 低用量hydrocortisone 投与下ではCRP 値は低下してしまい敗血症病態の評価は困難であると考えられた.一方,IL-6 値やPCT 値は低用量hydrocortisoneにより大きな影響を受けないため,より正確に敗血症の病態を反映すると考えられた.今回はsteroidを低用量hydrocortisoneに絞って検討したが,今後steroidの種類や容量を変更した上で,これらのbiomarkerがどう変動するか検討していきたい.【結語】PCT,IL-6は低用量hydrocortisone投与下でも影響を受けにくく,敗血症治療に有用なbiomarkerであると考えられた.DP38-5 Detection of suppressive activity on innate immune DAMPs response in sepsis1)広島大学 救急医学、2)広島大学 免疫学Ho Minh Van1)、廣橋 伸之1)、山賀 聡之1)、鈴木 慶1)、板井 純治1)、太田 浩平1)、志馬 伸朗1)、Weng Sheng Kong2)、菅野 雅元2)We collected serum samples from 5 healthy donors and 49 septic patients admitted to the ICU at the time of admission. ForDAMP activity assays, THP-1 derived macrophages were treated with the serum or mixture of serum and DAMP molecules(ATP,MSU), and cell-culture medium was collected for detection of IL-1β . We found a group of septic serum(n=42, 85.7%)resulted in significantly lesser IL-1 β production than those of healthy donors. Moreover, the suppression of IL-1 β secretionwas observed in almost all of septic patients in the presence of ATP, but not in MSU. The serum from 20 septic patients wasfurther examined at three points: the 1st day, the 3rd day, and the 7th day from admission. In the addition of ATP, theimmunosuppressive activities were evident from the 1st week and the IL-1 β secretion was inhibited the strongest at the 3rdday. Interestingly, we observed clear difference between survival and non-survival group on suppressive profile of IL-1 βsecretion in the presence of ATP at the 7th day. The recovery of IL-1 β production of stimulation from the 7th day serum wassignificantly larger than those of stimulation from the 3rd day serum in survival group. Conversely, in the non-survival group,the recovery activities were not presented and in contrast, IL-1 β production of stimulation from the 7th day serum was lowerthan those of stimulation from the 3rd day serum. This study indicates that the measurement of DAMPs activities in septicpatient serum might be a good biomarker for predicting mortality rate. Further clinical studies will be required.DP38-6 顆粒球コロニー刺激因子Knock Outマウスでは敗血症に伴う血管内皮障害が抑制される岐阜大学大学院医学系研究科 救急・災害医学分野鈴木 浩大、岡田 英志、小田 和正、田中 卓、中野 志保、吉田 隆浩、吉田 省造、牛越 博昭、豊田 泉、小倉 真治【背景】敗血症に伴う多臓器不全は主要臓器に集積した好中球から産生される好中球エラスターゼ(NE)により血管内皮細胞が障害されることが一因と考えられている。本研究では、1, 好中球の存在しない顆粒球コロニー刺激因子Knockout(G-CSFKO)マウスを用いた敗血症モデルを作製し、血管内皮障害に対する好中球の影響についての解析、2, NE阻害薬を用いた血管内皮障害抑制効果の解析を行った。【方法】9-12週齢オスのG-CSFKOマウス(n=18)にリポ多糖(LPS)を20mg/kg腹腔内注射し敗血症を作製。コントロールとして9-12週齢オスのC57BL6 マウス(n=12)を用いて同様に敗血症を作製した。また、治療群はNE阻害薬(Sivelestat)を用いて同様の効果が得られるか検証するために9-12週齢オスのC57BL6マウスを用いた敗血症モデルマウス(n=14)にNE 阻害薬をLPS 注射後3,6,9,12 時間で0.2mg/kg 腹腔内投与を行った。各群をLPS注射48 時間後に屠殺し、肺、肝臓、腎臓について走査型電子顕微鏡を用いた超微形態学的解析を行った。【結果】LPS投与後48時間の生存率は、G-CSFKOマウス(77.8%)でコントロールマウス(8.3%)に比べ有意に改善を認めた。超微形態の観察では血管内皮障害はG-CSFKO で抑制されていた。治療群でも生存率はコントロールマウスと比較し有意に改善し(85.7%)、血管内皮障害はG-CSFKO同様、抑制されていた。【考察】これら結果は、顆粒球が敗血症により生じる血管内皮障害に強い影響を与え、それらはNE阻害薬の投与により抑制されることを示唆するものである。