ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-568-DP32-1 PCR でRickettsia japonica を迅速診断し救命し得た重症日本紅斑熱の1 例1)島根大学 医学部 麻酔科学教室、2)島根大学 医学部 皮膚科学教室角田 尚紀1)、二階 哲朗1)、三原 亨1)、串崎 浩行1)、榊原 学1)、藤原 辰也1)、新原 寛之2)、齊藤 洋司1)[はじめに]日本紅斑熱は、重症化、死亡例の報告が散見される感染症の一つである。今回我々はPCRでRickettsia japonica を迅速診断し救命し得た日本紅斑熱の重症例を経験したので報告する。[症例と治療経過]症例は80歳代男性。既往歴は高血圧、糖尿病、心房細動。初診3 日前からの39℃台の発熱と倦怠感のため、2015年6月当院救急外来を受診した。来院時所見は、意識清明、躯幹四肢に淡い紅斑を認め、体温38.5℃、WBC 5430 μ L、CRP 12.66 mg/dL、PCT 8.01ng/ml であった。原因不明の感染症として、緊急入院の上MEPM 3g/ 日点滴加療を開始するも、翌日にはショック、DIC を併発したためICU 入室となった。MEPMにVCM1.5g/ 日を追加し、輸液負荷やカテコラミン、バソプレッシン投与に加え人工呼吸管理、持続的血液濾過透析を行うも全身の循環動態は改善せず、乳酸値は105 mg/dLに達した。血液培養陰性、紅斑、リケッチア侵淫地域の居住から、日本紅斑熱の鑑別にPCRを当院で施行した。同日に全血、紅斑部組織由来のDNAから日本紅斑熱の起因病原体であるRickettsia japonica の遺伝子が検出され、日本紅斑熱と診断した。MINO 200mg/日、CPFX 600mg/ 日点滴、重症感染症としてグロブリン 5g/ 日を開始した。また、血球減少を認め、骨髄生検結果からHPS と診断し、ステロイドパルスを行い、全身状態は徐々に改善した。HPS 鑑別目的で施行した重症血小板減少性紫斑病(SFTS)のPCRは陰性であった。抗体価も日本紅斑熱感染を支持する上昇が確認された。[結語]感染症急性期にPCRで迅速にR. japonica遺伝子を検出し、日本紅斑熱と診断して適切な治療介入を行い、救命し得た症例を経験した。デジタルポスター 32 感染・感染対策② 2月13日(土) 13:30~14:30 デジタルポスターブース2DP32-2 マダニ咬症による重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症し、死亡した一症例飯塚病院 救急部太田黒 崇伸、生塩 典敬、鶴 昌太、山田 哲久、奥山 稔朗、鮎川 勝彦【背景】重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome、以下SFTS)は新種のブニヤウイルス(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)による感染症で主にマダニによって媒介される感染症である。2013 年1月に国内で初めて患者が確認され、2015年8月までに151人のSFTS患者が報告されている。今回、当院で初のSFTS患者を経験したので報告する。【症例】高血圧症で近医通院中の81 歳女性。職業は農業。来院5 日前頃より食思不振、嘔吐・下痢が見られており近医にて輸液加療で経過観察されていた。来院前日に訪問した家族が普段と様子が違う患者を発見し、翌日当院受診。来院時、意識レベルGCS14(E4V4M6)で、39.6℃の高熱を認めた。血液検査で汎血球減少、肝逸脱酵素上昇、凝固能異常が見られた。CT検査や髄液検査を施行するも明らかな熱源は不明であり、精査加療目的に入院となった。入院後、左下腿部にマダニの付着を認めたためSFTSを含めたリケッチア感染症を念頭に置き、抗菌薬治療を開始するも効果は乏しかった。第2病日の骨髄検査で血球貪食症候群の所見を認めた。徐々に意識レベル低下、血圧低下が見られ、乳酸アシドーシスの進行を認めた。第4病日に全身性強直性痙攣が出現し、集学的治療を行うも心停止となり同日死亡確認。後日、血液及び咽頭ぬぐい液の遺伝子検査にてSFTSと確定診断された。【考察・結語】SFTSと類似した臨床症状・検査所見を呈する鑑別疾患は多くあるが、原因不明の発熱、血球減少でダニ媒介感染症が疑われる症例ではSFTS を鑑別に挙げて治療を行うことが重要である。DP32-3 ECMO を要した成人のヒトメタニューモウイルス感染によるARDSの1 例埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター大井 秀則、間藤 卓、中田 一之、山口 充、奈倉 武郎、大瀧 聡史、杉浦 潤、有馬 史人、杉山 聡、堤 晴彦はじめに、ヒトメタニューモウイルスは主に小児の気道感染症の原因ウイルスとして知られ、また施設内でのアウトブレイクの報告や迅速診断キットも発売されたことから最近注目されているウイルスである。今回、我々は成人のヒトメタニューモウイルス感染の重症例を経験したので報告する。症例は既往に糖尿病・高脂血症がある37 歳女性。発熱・咳嗽・倦怠感を主訴に当院受診し帰宅。その後は呼吸困難も出現し翌日に近医受診、肺炎の診断で当院呼吸器内科に紹介入院となった。入院後、酸素化は悪化傾向で第3病日に挿管・人工呼吸管理を行うも増悪を認め第4 病日にICUに転棟となり第5病日にV-V ECMOを導入した。症状・経過からインフルエンザウイルス感染が強く疑われたが陰性であり、気管支洗浄液でのPCR でヒトメタニューモウイルスが検出された。その後は徐々に改善を認め第10 病日にECMOから離脱、第18 病日に抜管となり一般病棟に転棟となった。成人のヒトメタニューモウイルス感染の重症例の報告はまれであるが、免疫能低下患者では重症化する可能性のある疾患である。迅速に診断できることから今後は報告が増えてくる可能性もあり、ここで文献的考察と共に報告する。