ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
560/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている560ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-558-DP27-1 持続緩徐式血液濾過器の膜特性の比較検討1)香川大学 医学部 附属病院 ME機器管理センター、2)香川大学 医学部 附属病院 集中治療部、3)香川大学 医学部 附属病院 救命救急センター久保 諭1)、岡部 悠吾2)、別宮 小由理2)、浅賀 健彦2)、白神 豪太郎2)、濱谷 英幸3)、篠原 奈都代3)、阿部 祐子3)、河北 賢哉3)、黒田 泰弘3)はじめに近年、集中治療領域において持続的血液濾過透析(以下CHDF)は必要不可欠な治療法となっており、各社から様々な膜素材の血液濾過器が製品化されている。今回、今後の膜選択に役立てるために、血液濾過器3種4製品PS(AEF-10)、PS(SHG-1.0)、PES(FS-11DP)、PMMA(CH-1.0SX)の膜特性の比較検討を行った。<対象・方法> 2012 年2 月~2015 年3 月までの当院、集中治療部・救命救急センターICU でCHDF を施行した20 症例(男性13 例、女性7例、年齢(歳)73 ±11、平均±標準偏差)、施行数52 本を対象とした。検討項目は、膜機能劣化の基準値をCHDF開始時より入口圧が+100mmHg、静脈圧が+ 100mmHg、濾過圧が-100mmHg、TMP が± 150 mmHg、AV 差圧が+ 40mmHg となった到達点、life-time を24 時間到達点に設定し、その到達率を比較した。また、24 時間以内に回路交換を要した膜のlife-time と、CHDF 開始時の凝固線溶系マーカー(PT、Fib、D-dimer、FDP)の血中濃度との相関関係を検討した。統計学的解析はt検定、log-rank検定を用いた。p<0.05を統計学的有意差ありとした。<結果>入口圧、静脈圧、AV 差圧による到達率は全群間で有意差はなかった。PMMA 群の濾過圧およびTMPの到達率は他群に比して有意に高かった(濾過圧:100%(13/13)、TMP:85%(11/13))。24 時間の到達率は全群間に有意差はなかった。24 時間以内に回路交換を要した膜のlife-timeと、CHDF開始時の凝固線溶系の血中濃度との相関関係はみられなかった。<考察>PMMAは開始時よりTMPが上昇傾向にあり、これは細孔内へのはまり込みによる細孔閉塞によるものと考えられ、life-timeが短いことと関係があると思われた。SHG は他の膜に比べて様々な圧力の評価における到達率が低く、圧力変動が少ない傾向があり、24時間の到達率が高くなっていると考えられた。<まとめ> PMMAは吸着特性による特異的な圧力上昇傾向がみられた。SHGは圧力変動が少なく、life-timeに優れた膜である。デジタルポスター 27 腎臓・腎機能・血液浄化③ 2月13日(土) 11:00~12:00 デジタルポスターブース7DP27-2 新しい持続的血液浄化濾過膜sepXiris150のlifetimeについての検討1)東京女子医科大学 東医療センター 臨床工学部、2)東京女子医科大学 東医療センター 血液浄化部、3)東京女子医科大学 東医療センター 心臓血管外科、4)東京女子医科大学 東医療センター 救急医療科今泉 力也1)、芝田 正道1)、小林 利道1)、川名 由浩1)、鮫島 麻子1)、中澤 速和2)、小川 哲也2)、樋口 千恵子2)、中野 清治1,3)、磯谷 栄二4)【背景・目的】CHDF においてhemofilter のlifetime が治療効率やスタッフの労力に与える影響は大きい。今回新しい持続緩徐式血液濾過膜sepXiris150(Baxter社)のlifetimeについて検討した。【対象・方法】対象は2014.7~2015.3に当院ERにてナファモスタットメシル酸塩を使用しCHDF を実施した51 症例140 回とした。比較対象は2013.1~2015.6 に他のhemofilter(AEF-10(旭MED社),SHG-1.0,CH-1.0SX,CH-1.8W(東レ社),UT-1100S(ニプロ社))でCHDFを実施した64症例165回とした。また、sepXiris対象患者のうち9 例に対し延べ24 回脱血側、送血側でACT を測定し検討した。統計学的検討にはWilcoxon signed-rank test, Kruskal-Wallis test を用いた。【施行条件】CHDF はQB:80~100ml/min,QD/QF300~570/100ml/hr, ナファモスタットメシル酸塩15~40mg/hr, 血液浄化装置にACH- Σ(旭化成MED 社)を使用した。【結果】sepXiris150 の平均lifetime は29.8 ± 17.6hr、ナファモスタットメシル酸塩の平均使用量は29.3 ± 5.0mg/hr であった。ACT は脱血側で142.6 ± 172, 返血側で155.4 ± 25.7sec で変化率は9.1±13.2%と延長の程度は軽度であった。他の膜との比較ではCH-1.8W, UT-1100Sに比べsepXirisは有意に短い結果となった。【結語】SepXiris150のlifetimeについて検討した。ナファモスタットメシル酸塩を使用した場合、返血側でのACT延長が軽度であったことから膜よりも静脈側チャンバの凝固による影響が大きいことが示唆された。DP27-3 AN69ST(sepxiris)はnafamostat mesilateの抗凝固作用に影響を与えるか1)福岡大学病院 臨床工学センター、2)福岡大学病院救命救急センター鳩本 広樹1)、仲村 佳彦2)、山崎 慎太郎1)、大藏 裕子2)、鈴木 祥子2)、長島 亮太郎2)、西田 武司2)、石倉 宏恭2)はじめに:本邦においてアクリロニトリル/メタリルスルホン酸ナトリウム共重合体であるAN69ST(sepXiris)が臨床使用可能となった。過去に、AN69 が抗凝固薬のnafamostat mesilate(NM)を吸着することが報告されており、AN69ST も回路内activated clotting time(ACT)に影響を与える可能性がある。今回、我々はAN69ST 使用下CHDF 症例において、AN69ST がNMの抗凝固作用に与える影響について検討を加えたので報告する。対象と方法:今回の検討は2014年12月から2015年1月までの間に当センターでCHDF を施行された7 症例(37 本)を対象に実施した。使用したカラムにより、sepxiris; 施行群(sep 群,n=23)とそれ以外のカラム(PSおよびPMMA 膜)で施行した群(non-sep群, n=14)に分類し、NMの単位時間あたりの投与量、回路内ACT、カラムの24時間ライフタイムを2群間で比較した。結果:sep群はnon-sep群に比較して、ACTが有意に低値[median(IQR), 164(159-174)sec vs 200(193-203)sec, p < 0.0001]で、時間当たりのNM 投与量は有意に高値[median(IQR), 28(24-32)mg/hr vs 12(10-14)mg/hr, p<0.0001]であった。24時間ライフタイムは2群間で有意差を認めなかった[median(IQR),23(20-24)hr vs 24(23-24)hr, p=0.05]。結語: AN69STは既存のPS 膜およびPMMA膜と比較して、回路内のACTを延長させるために、高容量のNMが必要であった。この理由としてはAN69STがAN69同様にNMを吸着している可能性が示唆された。AN69ST使用下CHDF の際NM を抗凝固剤として使用する場合は、回路内ACT を延長させるための工夫が必要となる可能性が示唆された。