ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-553-DP24-4 演題取り下げDP24-5 小児溺水に対する脳低温療法の有効性1)獨協医科大学病院 救命救急センター、2)獨協医科大学医学部小児科学大西 俊彦1)、今高 城治2)、星山 栄成1)、鍛 良之1)、菊池 仁1)、神津 成紀1)、和気 晃司1)、松島 久雄1)、小野 一之1)【背景】小児における死亡原因の第1位は不慮の事故である。原因としては交通事故、溺水、窒息がある。日本は他国と比較し溺水事故による死亡の割合が高いとされている。また溺水は死亡を免れた場合、神経学的後遺症が多い事故である。当院ICUでは重篤な小児溺水に対し脳保護目的に脳低温療法の導入に取り組んでいる。【目的】小児溺水に対する脳低温療法の有効性を検討する。【対象】2000年から2015年の16 年間に経験した脳低温療法を施行した小児溺水6 例。【方法】各々の症例について当院の診療録を後方視的に各症例の1.年齢・性別2.溺水事故の発生場所3.溺水事故発見までの時間4.事故発見時の状況5.来院時の神経評価6.血液ガスおよび血液生化学検査値の結果7. 治療(低温時間、維持体温)8. 予後(PCPC スケール)について調べた。【結果】症例は6例で年齢は10ヶ月から5 歳5ヶ月で男児2 例、女児4 例であった。発生場所は浴槽5 例、プール1 例、発見時に呼吸停止が5 例、心肺停止例が1 例であった。来院時の神経評価はConn のスケールで分類B;2 例C2;3 例、C3 が1 例。血液ガスでは全例pH7.2 以下のアシデミアを認め、血糖値も180mg/dl以上を認めていた。治療としては全例に脳低温療法を施行。死亡してしまった1例を除き、5 例に35 度以下で48 時間の維持を行った。予後に関しては死亡例1例。その他5例はPCPCスケールで1or2であり良好であった。【考察】溺水の脳保護目的の治療に関しては、国際的に標準とされた指標がない。当院ICUではConn の溺水神経評価や溺水時間、血液ガス分析データ、採血データなどから神経学的予後が悪いと予想される症例に対し脳低温療法を施行した。6 例中5 例に関しては良好な予後を認め脳低温療法が有効である可能性を認めた。【結語】来院時の重症度評価,予後予測としては,Connの分類が有用である。小児溺水に対する脳低温療法は、神経学的予後を改善する可能性があると考えられた。DP24-6 新生児仮死の2 例と低体温療法の適応に関する考察1)済生会横浜市東部病院、2)横浜市立大学 医学部 小児科学教室吉田 英里佳1,2)、立石 格1)、中村 久理子1)、峯川 奈緒美1)、武田 義隆1)【緒言】日本における新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する低体温療法は、ILCOR 2010 CoSTRに基づく適応基準を元に行われている。その基準を満たさず低体温療法を行わなかったが重度の後遺症を残した症例、出生体重が1800g未満である以外適応基準を満たしたため低体温療法を行い良好な予後を得られたと考えられる症例の2 例を経験したので報告する。【症例】症例1:39週0 日、2990g、Apgar Score(APS)4/4/6 点(1/5/10分)で出生、新生児仮死で当院へ搬送。新生児低体温療法のA基準は充足したがB基準は該当項目なくaEEGも活動性低下を認めなかった。筋緊張と過敏性ともに亢進していたが低体温療法の適応なしと判断。生後8時間で痙攣と思われる無呼吸発作が頻発し、対症療法を行った。退院時の頭部MRIでHIEの所見あり、現在2歳で症候性てんかん、痙性四肢麻痺と精神発達遅滞を認める。症例2:胎児発育不全で母体管理入院中、胎児心音異常あり緊急帝王切開術にて38 週2 日、1662g、APS1/2/4 点(1/5/10 分)で出生。筋緊張・過敏性ともに亢進。aEEG はuppermargin>10μV、lower marginは5μV前後でsleep/wake cyclingはほぼ見られず。出生体重は1800g未満で除外基準に相当したが在胎38 週でありA 基準・B 基準を満たしたため低体温療法施行。施行中、低血圧がみられたが容量負荷と昇圧剤の投与で対応可能であった。日齢2 に痙攣を認め抗痙攣薬を日齢5まで使用したが以後痙攣発作なし。退院時の頭部MRIで明らかな異常を認めず生後7 カ月時点で運動発達正常。【考察/ 結論】HIEで痙攣がみられる症例のうち50-60%程度は生後6-12 時間に起こるとされ、低体温療法を開始すべきとされる生後6時間を超えてから発症することも多い。今回経験した2症例より、 痙攣を含むB基準を満たさなくても筋緊張亢進や過敏性の亢進を認める場合や、 出生体重1800g未満でも満期で低体温療法の適応基準を満たす場合は低体温療法を考慮しても良いと思われる。