ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-552-DP24-1 救命救急センター併設型PICU における小児重症頭部外傷診療の治療成績熊本赤十字病院 こども医療センター武藤 雄一郎、大平 智子、平井 克樹【目的】当院PICU開設からの小児重症頭部外傷の治療実績ならびに長期予後について明らかにする。【対象と方法】2012年5月(PICU開設後)から2015年7月当院PICUに搬入された小児重症頭部外傷を診療録を用いて後方視的に検討を行った。【結果】上記3年3ヶ月間のPICU入室患者1100例のうち頭部外傷は106例(9.6%)で、受傷機転は交通外傷49例(46%)、墜落・転落42例(40%)、虐待(疑い含む)11 例(10%)、受診経路は直接搬入/救急受診 71 例(67%)、転院 35 例(33%)であった。うち、GlasgowComa Scale≦8の重症頭部外傷は25 例(23.5%)で年齢中央値2 歳1か月(1か月~14 歳)・平均ISS 23.6、血腫除去等の観血的治療(6 例)や重症頭部外傷ガイドラインを参考にした厳密な呼吸循環管理/積極的体温管理/高浸透圧療法等が行われた。退院時転帰(Glasgow outcome scale:GOS)GR 18 例(72%)、SD 4 例、VS+D 3 例(SD+VS+D 28 %)であり頭部外傷データバンク2009 の小児重症頭部外傷患者転帰(GCS≦ 8 症例 GR+MD 47%,SD+VS+D 53 %)と比較し予後良好の傾向にあった。また初診時GCS低値、受傷機転が虐待であることは予後不良因子であった。【考察】 迅速な初療~搬送~PICUへの集約化ならびに全身管理を行うことで小児重症頭部外傷の予後の改善に寄与していた。デジタルポスター 24 小児・新生児① 2月13日(土) 11:00~12:00 デジタルポスターブース4DP24-2 当院ICUに入室し血漿交換を施行した小児ギランバレー症候群の5 症例大阪市立総合医療センター 集中治療部菅 敏晃、嶋岡 英輝、宇城 敦司、大塚 康義、山本 泰史、奥村 将年、和田 翔、岩田 博文、宮内 清司【はじめに】ギランバレー症候群(以下GBS)は小児では稀な疾患であり、成人に比べ良好な経過予後を特徴とする。治療は免疫グロブリン療法(以下 IVIg)や血漿交換(以下 PE)といった免疫調整療法を行うが、簡便性や小児という特性からIVIg が第一選択として行われることが多い。しかし重症例やIVIg では奏功しない症例に対しては血漿交換を施行している。【対象・結果】2004年から2013年の10年間にGBSでICUに入室したのは5症例であった。入室理由としては呼吸障害が4例、IVIg不応例が1例であり、呼吸障害でICU入室した症例についてもそのほとんどが呼吸障害出現前にIVIgが投与されているにも関わらず奏功しなかった。ICU 入室後は全例PE を施行し、有害事象は生じなかった。人工呼吸器管理期間は5 - 26 日間で、全症例で呼吸器離脱ができた。ICU での治療開始4 週間後の機能評価についてはHughes のfunctional grade(以下 FG)を使用し、FG2 が2 例、FG3 が1例で、FG4が2例であった。【考察】ICUに入室した症例では、入室までにIVIgを施行したにも関わらず奏功しなかった症例が多く、PEを第一選択としている。しかし、呼吸障害は改善するが機能予後は必ずしも良い結果に結びついてはいない。呼吸障害を生じた症例では機能予後は不良となるといわれており、予後予測因子等を踏まえ、IVIg投与後の効果判定にどの程度の時間を要し、どのタイミングでPEを施行するのかが課題である。安全に施行できるのであれば早期にPEの検討も可能と思われ、今後症例を重ね検討していく必要がある。DP24-3 病初期よりフェノバルビタール超大量療法を行った難治頻回部分発作重積型急性脳炎(AERRPS)の一男児例1)滋賀医科大学 救急・集中治療部、2)滋賀医科大学 麻酔学講座、3)滋賀医科大学 救急集中治療医学講座岸本 卓磨1)、田中 智基1)、橋本 賢吾1)、清水 淳次1)、今宿 康彦2)、山根 哲信1)、田畑 貴久3)、辻田 靖之1)、江口 豊3)【はじめに】難治頻回部分発作重積型急性脳炎(acute encephalitis with refractory, repetitive partial seizures; AERRPS)は、薬剤抵抗性痙攣発作の群発を示す予後不良の急性脳炎である。発作抑制には通常チオペンタールなどの持続投与によるsuppressionburst(SB)昏睡療法を必要とする。その副反応に対して人工呼吸や循環作動薬投与など集中治療管理を要し長期化する傾向にある。今回、我々は病初期からフェノバルビタール(PB)超大量療法による発作抑制を試み、早期に人工呼吸を離脱、回復期管理へ移行できたAERRPS症例を経験したので報告する。【症例】9歳男児。特記すべき既往歴、家族歴なし。発熱6病日に意識障害と強直発作群発を認め近医救急搬送となった。髄液、頭部MRI は異常なく、脳波で広汎性高振幅徐波を認め、急性脳症と診断しステロイドパルス療法を開始した。発作に対してはベンゾジアゼピン、フェニトインが無効でありPB大量投与(30mg/kg/日)を行った。一旦発作は消失したが、8病日に痙攣が再発し当科紹介、人工呼吸管理、PB増量(40mg/kg/日)を行い発作は消失した。PB漸減と抗てんかん薬調整の上、20病日に人工呼吸器から離脱、35病日に介助下歩行が可能となった。PB最高血中濃度は136μg/ml まで達したが、呼吸循環動態は安定しており、循環作動薬は要さなかった。けいれんや神経疾患を基礎にもたない小児の急性発症、発熱に続く難治性複雑部分発作群発、切れ目なく回復期難治性てんかんへ移行した経過、17病日の頭部MRIで両側前障と海馬に異常信号を認めたことなどより、AERRPSと診断した。【考察】今回我々は、SB昏睡療法を行わず、病初期からPB 超大量療法を施行したAERRPS症例を経験した。PB併用下に早期の人工呼吸器離脱が可能で、急性期合併症の発生を抑制し、慢性期管理に移行できた。AERRPSとして軽症例であった可能性もあるが、本疾患の治療法を考察する上で重要な症例であった。