ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-549-DP22-4 呼吸サポートチーム主導による院内呼吸ケア学習システム構築に向けた取り組み日本赤十字社 武蔵野赤十字病院石田 恵充佳、小林 圭子、楠 さくら【背景と目的】開催した学習会が実践に結びつかない現状がある。そこで呼吸サポートチームが、専門的な知識を持ちかつ臨床現場の学習ニーズを把握している強みを活かし、インストラクショナルデザインの概念を参考に呼吸ケア学習会を設計し、実践に反映できる学習機会の提供を目指し取り組んでいる。 今回、学習者ニーズの高い3段階目(人工呼吸器装着患者担当機会のある看護師)を対象に設計した学習機会の形成的評価を目的とし効果的か、魅力的か、効率的かの3 視点で評価を行った。【方法】事前に具体的な学習目標、目標達成のためのシリーズ回数を告知した。知識の学習効果はオーディエンス・レスポンス・システム(ARS)の回答、学習者の意見や満足度はアンケートで評価した。学習会後の行動変容は参加者数最多部署の看護記録内容の変化から評価した。データは個人が特定されないように匿名化した。【実際・評価】自主参加型で6 回開催、延べ137 名の参加があり、参加者数最多部署はCCU であった。ARS では各学習会終了後の知識達成目標に100%が到達しており、カークパトリック4段階評価のレベル2の到達が確認された。患者ケアの例として、せん妄予防ケアに関するCCU看護師の看護記録記載は学習会前は10%だったものが、開催後6ヶ月では学習会で達成目標とした観察や実践内容が記載され80%の看護師の行動変容を認めた。カークパトリックレベル3 の到達が確認され、効果的な学習機会を提供できた可能性があると評価する。アンケートでは「達成目標が明確で理解が進んだ」「具体的で実践したい」など学習者満足度は高く、魅力的であったと評価する。一方で、不参加者のために前回の学習課題の復習から開始し終了時間を延長する回があり、効率良い進行ができなかった。【今後の課題】効果的、魅力的な学習機会を提供できたが効率性に欠ける。各回に事前課題や前提条件を設けることで効率の良さを目指す。DP22-5 クーリングに関する看護師の認識変化―学習会前後の内容分析―横浜市立市民病院 ICU鈴木 佑実、小野 高、倉本 紀、赤松 直子【背景】A病院ICUでは発熱時のクーリング実施の指示が多く、看護師はその指示に従う現状があった。昨年度ICU看護師を対象にクーリングの認識を調査した結果、「適応」「リスク」の知識や「発熱時のアセスメント」の不足が明らかとなった。【目的】クーリング学習会前後の認識の変化を明らかにする【方法】(1)方法:クーリング学習会の実施後、クーリングに関する認識のアンケート調査を行う(2)対象:A 病院ICU 看護師34名(3)期間:2015 年4 月~7 月(4)倫理的配慮: 本研究はA 病院の倫理審査の承認を得た【結果】ICU看護師全員を対象に、クーリングの「適応」「リスク」および、「意識下又は浅鎮静」「完全鎮静」「脳血管虚血・中枢神経障害」「敗血症などの感染症」の病態別のアセスメントについて学習会を実施した。学習会後のアンケートの結果、クーリングの開始基準は、学習会前と比較し変化はなかったが、クーリングの適応や悪影響について認識する人数は増加した。病態別のクーリングの効果、注意点について、正答する人数も増加したが、「わからない」とする回答も残る結果となった。【考察】学習会前にアンケート調査を行い、クーリングにおける看護師の課題を明確にしたことにより、指導内容の焦点化が可能となり、クーリングに対する認識の変化につながった。クーリングの開始基準に変化はなかったが、適応や悪影響について認識する人数が増加したことは、クーリングを習慣で行うのではなく、アセスメントした上で行うことにつながる。病態別のアセスメントの認識において「わかならい」とする回答が残ったことは、指導内容の標準化が不十分であることを示し、今後指導内容の検討と学習の継続が必要である。【結論】課題を明確にした上での学習会の実施により、クーリングの「適応」「リスク」に対する理解や発熱時のアセスメントが深まり、発熱時個々の患者に対する適切な援助につながる可能性がある。DP22-6 術後患者の観察をした学生の体験における構造的特徴-KH Coderによる計量的な内容分析より-中部大学 生命健康科学部 保健看護学科松田 麗子、江尻 晴美、中山 奈津紀、梅田 奈歩、牧野 典子【目的】高性能シミュレータを使用して術後患者の呼吸を観察する演習を実施した看護大学生の体験について計量的な内容分析により検討する。【方法】術後患者の観察が未経験である成人看護学臨地実習前の看護大学生24名の演習終了後面接内容を分析対象とした。演習の課題は術後患者の呼吸を観察し教員に報告することである。演習終了後、1人20分程度の半構造的面接を1回行った。面接内容は対象者の承諾を得てICレコーダに録音し、逐語録を作成してテキストデータとした。テキストデータは樋口らが開発したテキストマイニングソフト「KH Coder」を使用し、頻出語分析、共起ネットワーク分析およびクラスター分析を行った。【結果】総抽出語数と文章数はそれぞれ288,65語、2,610文であった。テキストに頻回に出現した語は「緊張」「自分」「観察」「呼吸」「実際」「患者」であった。出現回数が16回以上の上位35語を抽出し共起ネットワーク図を作成した結果、最も中心的な語は「実習」「患者」でありこれらの語を介して他の語句が共起していた。最も強く共起している語は「実際」「教科書」、「教科書」「勉強」、「実習」「急性」、「自分」「観察」、「呼吸状態」「不安」であった。クラスター分析の結果[経験からの体得][呼吸状態の報告][念のための確認][演習の緊張感][急性期実習の準備]の5 つが見出された。【結論】術後患者を観察した看護大学生の体験をまとめると1. 高性能シミュレータを用いた演習は教科書では得られない実際の看護技術を身につけることができる2. 呼吸の観察内容を報告する時に呼吸音を聞き忘れていたことに気がつく3.自分で考えた観察項目に自信が持てないため念のため広く全般的な観察を行う4. 高性能シミュレータによるリアルな場面設定よりも他者の評価により緊張感が喚起される5. 高性能シミュレータを用いた演習を行うことにより急性期実習を想定した観察をするであった。