ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-532-DP14-1 FloTrac/VigileoTMとLiDOCOrapidTM による心拍出量・stroke volume variationの比較1)愛媛大学 医学部 附属病院 集中治療部、2)愛媛大学 医学部 麻酔・周術期学、3)愛媛大学 医学部 附属病院 手術部池宗 啓蔵1)、出崎 陽子1)、小西 周2)、中西 和雄3)、西原 佑2)、藤井 園子2)、菊池 幸太郎2)、関谷 慶介2)、土手 健太郎1)、萬家 俊博2)近年、arterial waveform analysis法を用いた循環指標測定機器が低侵襲であるため輸液管理などによく用いられるようになってきた。今回我々は、術後患者において、心拍出量(CO)とstroke volume variation(SVV)を、FloTrac/VigileoTM(FT)とLiDCOrapidTM(LD)の2種類で比較検討した。なお当研究は愛媛大学医学部倫理委員会の承認を得て行った。【方法】人工呼吸下にある自発呼吸のない術後ICU 入室患者6 名を対象とした。循環動態の安定を確認後、FTとLDにより合計20 分(19-22 分)間、それぞれのデバイスでのCOとSVVを1分ごとに同時測定した。【結果】合計123ポイントの結果が得られた。CO、SVVの相関係数(r2)はそれぞれ0.687、0.555 であった。Bland-Altman analysis では、CO のbias が0.14L/min、precision は1.56L/min であり、Upper/Lower limit of agreementはそれぞれ1.70、-1.42L/min であった。COのpercentage errorは46.6%であり臨床上許容される限界値30%を超えていた。またSVV の解析結果はbias が0.62%、precision は5.37%と大きく、Upper/Lower limit of agreementはそれぞれ5.99、-4.75と広範囲となっていた。2種類のデバイスで測定されたSVVが12%以上を「輸液反応性有り」と仮定した場合、判定がFT とLDで不一致であったものが総数で24ポイント(19.5%)にみられた。また患者別でみると6人中1人で84%のポイントが一致していなかった。【結論】FTとLDの一致度は高くなく、COに比べて特にSVV 値での差が大きく、輸液反応性を判断する場合には、同一患者でも用いるデバイスによっては異なる判断となる場合が発生しうると思われた。デジタルポスター 14 心臓・循環・体液管理② 2月12日(金) 13:30~14:30 デジタルポスターブース4DP14-2 Estimated continuous cardiac output によるcardiac outputとstroke volume variationの測定慶應義塾大学医学部 麻酔学教室鈴木 武志、鈴木 悠太、伊東 真吾、奥田 淳、御園生 与志、上田 朝美、森崎 浩【目的】近年arterial pressure based cardiac output(APCO)などの低侵襲循環モニターが普及し、心電図とパルスオキシメータ―からcardiac output(CO)やstroke volume variation(SVV)を測定できるestimated continuous cardiac output(esCCO)が開発された。心臓外科術後における、esCCO とAPCO の相関性を検討した。【方法】心臓外科予定手術患者14 名を対象とした。APCOの測定にはフロートラックセンサーを使用し、術中はAPCOを指標とした循環管理を行った。集中治療室入室時からAPCOとともにesCCOによる持続的モニタリングを開始し、帰室時と術後1日目の0、3、6 時の計4 点でデータを採取した。APCO およびesCCOにより測定されたCOとSVV の相関関係をピアソンの相関係数にて解析し、p<0.05を有意とした。【結果】サンプル数は計56 点であった。APCOおよびesCCO によるCO とSVV の結果を図1 に示す。CO とSVV 両項目において、APCOとesCCOに有意な相関関係を認めた(CO: r=0.7、p < 0.01、SVV: r=0.51、p < 0.01)。【結論】esCCO によってさらに低侵襲に循環評価が可能となる。DP14-3 定量化毛細血管再充満時間(Q∽ CRT)と組織灌流に係る研究:救急初療室におけるショックとの相関1)横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター、2)横浜市立大学医学部 救急医学教室、3)横須賀共済病院酒井 拓磨1,2)、藤井 裕人2,3)、土井 智喜1,2)、六車 崇1,2)、春成 伸之1,2)、安部 猛1,2)、森村 尚登1,2)【背景】我々は非侵襲的なショックの評価を目的とした測定機器を開発し、集中治療室症例において定量化毛細血管再充満時間(quantitative capillary refill time: Q-CRT)が乳酸値と相関することを報告した(Emerg Med J 2015;32:6 444-448)。【目的】重症救急症例の病院搬入時におけるQ-CRTと乳酸値の関係について検討すること。【方法】対象は当院救命救急センターへ搬送された98例。試作した自動指尖圧迫装置をパルスオキシメータ(OLV-3100・日本光電)と接続し被検者の示指へ装着してQ-CRTを測定した。得られたQ-CRTとショックの指標としてのパラメータ(乳酸値、塩基欠乏、収縮期血圧、心拍数、呼吸数)との相関をスピアマンの順位相関係数を用いて検討した。また、Q-CRTが乳酸値もしくは塩基欠乏の予測因子となるか重回帰分析を用いて検討した。【結果】98例中、男性は67例(68%)、外因性疾患は48例(49%)であった。年齢、APACHEIIの平均値はそれぞれ54歳、13 点であった。Q-CRT と各パラメータの相関は、乳酸値(ρ =0.019、p=0.86)、塩基欠乏(ρ =0.11、p=0.31)、収縮期血圧(ρ=-0.028、p=0.80)、心拍数(ρ =0.094、p=0.39)、呼吸数(ρ =0.049、p=0.65)であった。また、重回帰分析の結果、乳酸値もしくは塩基欠乏と、Q-CRTとの間で有意な関連は認めなかった。【考察】今回、Q-CRTがショックと関連しなかった原因として軽症例が多く、選択バイアスの可能性があること、救急初期診療中の患者であり体動を完全に除去できなかったこと、病態が変化している中での1回のみの測定であり、病態の本態を表していない可能性があることが考えられた。【結語】救急初期診療においてQ-CRTはショックと相関しなかった。今後は病態別に検討するとともに、Q-CRT を経時的に測定し、病態モニタリングの動的指標として研究を行う必要がある。