ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-531-DP13-4 救急症例における初診時血中NGAL値の検討熊本大学 医学部 附属病院 救急・総合診療部金子 唯、笠岡 俊志【背景】NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)は急性腎傷害のバイオマーカーとして知られているが,近年,重症敗血症や敗血症性ショックの予後や臓器障害との関連が報告され,NGAL値と全身性炎症との関与が示唆されている.今回,当院救急症例において初診時血中NGAL を測定し,腎機能障害・全身性炎症を考慮して検討を行ったので報告する.【方法】2014 年3 月から5月の間に熊本大学医学部附属病院救急外来を受診した症例のうち来院時採血でNGAL測定を行った44例を後方視的に検討した.腎機能障害の有無,炎症所見として血中CRP値との比較検討を行った.結果:年齢の中央値は64歳,男性は61%,NGALの中央値は83ng/mL であった.初診時血中NGAL値は,同血中クレアチニン値から計算したeGFR 45(mL/min/1.73m2)をカットオフとした2 群間で有意差を認めた[eGFR(< 45): 163 v.s.(≧ 45): 79.5, P=0.045].またeGFR 45 以上の症例(n=36)で,NGAL値とCRP 値の相関係数は0.650(P<0.001)であった.【考察】救急外来初診時血中NGAL 値は従来の報告通り,腎機能障害症例で有意な上昇を認めた.しかしながら腎機能非障害症例でも血中NGAL 値の上昇は認められ,全身性炎症病態との関連が示唆された.【結論】救急外来受診症例において,初診時血中NGAL 値は腎機能障害および全身性炎症病態を予測する可能性が示唆された.DP13-5 救急入院患者の初期集中治療における管理失敗の予測因子についての検討公立陶生病院 救急部 集中治療室黒川 英輝、横山 俊樹、中島 義仁、市原 利彦、川瀬 正樹【背景】当院では2014年1月より救命センターの開設とともに,救急からの入院症例のみを対象とした12床の救急部門集中治療室(ER-ICU)を開設した.本ER-ICUでは中等症の救急入院患者の初期集中治療管理を主目的とし,4:1看護体制としている.Open-ICU体制として主科管理体制を基本としている.集中治療医常勤体制をとらないため,患者の重症化の予測が重要であると考えている.【方法】2014年1月~12月の1年間に当院ER-ICUに入室した患者のうち,48時間以上ER-ICUに滞在した症例を対象とする.ER-ICU にて管理を行いながらも院内死亡,もしくは増悪した結果semi-closedシステムをもつgeneral-ICUへのステップアップ入室のいずれかを「ER-ICU管理失敗」と定義し,ER-ICU入室時の患者背景,バイタルサイン,臨床検査値等についてロジスティック回帰分析を用いて多変量解析を行った.【結果】期間中ER-ICU入室した1577例のうち,48時間以上ER-ICUに滞在した395例(年齢 72.9±12.4歳,男253例/女142例)について検討を行った.うち35例が入院中に死亡,9例がgeneral-ICUへステップアップ入室となっていた.全体のAPACHE-2 は15.9 ± 6.1 点,SOFAは3.8 ± 2.6 点だった.ロジスティック回帰分析にて単変量解析を行った結果, 年齢,ADL 不良, 心拍数, 呼吸数,GCS,Ht, アルブミン,CRP,Lactate,APACHE-2,SOFA が選択された.APACHE-2及びSOFAについては有意な相関関係(r=0.611, p<0.0001)を認めたため,多変量解析ではSOFAを除外し検討を行った.その結果,多変量解析では呼吸数(p=0.0119, OR 0.947, 95%CI 0.907-0.988),Lactate(p=0.0459, OR 0.905, 95%CI 0.820-0.998),APACHE-2(p=0.0384, OR 0.936, 95%CI 0.879-0.996)が有意に選択された.【考察】救急入院患者初期集中治療においては,初期の重症度の把握とともに,Lactateや呼吸数の評価が重要であり,早期の循環動態やバイタルサインの評価が重要と考えられた.DP13-6 敗血症患者の救急外来滞在時間とICU 入室後の予後に関する検討倉敷中央病院 救急科佐藤 瑞樹、岡本 洋史、福岡 敏雄【背景】救急外来を受診する患者において、救急外来滞在時間延長に影響を与える因子を検討した研究は多数認めるものの、救急外来滞在時間延長と予後との関連を調べた研究は少ない。【目的】ICUに入室した敗血症患者の救急外来滞在時間とICU入室後の予後との関連を調査する。【方法】2013年4月16日から2015年3月31 日までにICU 入室となった全ての敗血症患者を対象とした。入室時に敗血症以外の急性疾患を合併していた患者は除外した。患者情報、予後に関する情報など、全ての情報は電子チャートから後方視的に収集した。ICU 入室後の予後に関しては、Primary outcome をICU 滞在日数、Secondary outcome をICU mortalityとした。救急外来滞在時間とこれら予後との関連を重回帰分析、ロジスティック回帰分析を用いて検討した。共変量として年齢、性別、他院紹介の有無、walk-in 患者と救急搬送患者、24 時間救急医が常駐の有無、APACH IIスコアを調整した。【結果】合計179人の敗血症患者が対象となった。年齢は中央値74歳(66-82)、男性105例(58.7%)、救急搬送されたのは140例(78.2%)、APACHE II スコアの中央値18 点(13-21)であった。救急外来滞在時間、EICU 滞在日数はそれぞれ190 分(139-269)、4 日(3-9)であり、ICU mortality は18 例(10.1%)であった。救急外来滞在時間とICU 滞在日数との間には相関関係を認めなかった(Odds比0.48; 95% 信頼区間 0.21 to 1.06)。救急外来滞在時間とICU mortality との間にも相関関係を認めなかった(R2=0.13, 標準化係数= -0.09; 95% 信頼区間 -1.22 to 0.34)。【結語】ICU入室が必要な敗血症患者において、救急外来滞在時間と予後との間には関連を認めなかった。