ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-527-DP11-4 大都市郊外型救命救急センターにおける小児外傷症例についての検討1)東京医科大学 八王子医療センター 救命救急センター、2)恵泉クリニック佐野 秀史1)、弦切 純也1)、大村 泰史1)、星合 朗1)、太田 祥一2)【背景・目的】八王子市は人口56万人の中核都市で15歳未満の小児は7万人在住している.その中で当院は唯一の救命救急センターを有する.今回我々は当センターが小児外傷に果たす役割について検討することを目的に本研究を行った.【対象・方法】過去5年間,当センターに救急搬送された15歳未満の外傷381例を対象とし,来院時心肺停止は除外した.搬送記録から搬送経路・年齢・性別・受傷機転・受傷部位・転帰などを抽出し検討した.【結果・考察】3次搬送75例,2次搬送306例で,平均年齢は7.4歳,男女比は3 : 1であった.受傷機転は転倒・転落が最多で44%,次に交通外傷が39%であった.受傷部位は頭部が最多で46%,次に顔面が34%であった.転帰は,8%がICU・Intermediate Care Unit(ImCU)に入院し,13%が一般病棟に入院し,2%がPediatricICUを有する近隣病院に転送となった.平均ISS(Injury Severity Score)はICU・ImCU入院例で14.5(2-42),転送例で24.0(9-34),一般病棟入院例で5.9(1-17)であった.転送例の多くは重症頭部外傷症例で,いずれも長期的な集中治療管理が予想される症例であった.外来から帰宅した2次搬送例のうち1例が遅発性消化管穿孔のため再入院となった.また,1例は,交通外傷で3次搬送され経過観察入院後に急性硬膜下血腫にて再入院となった.当センターは様々な重症度の小児外傷が搬送されるが,症状や所見が乏しくとも厳重な経過観察が必要な症例があり,帰宅基準やCT撮影基準を検討する必要があると考えられた.また,この結果を参考に転院搬送の基準についても検討していきたい.DP11-5 当院救命センターにおける電撃症26 例の臨床的検討熊本赤十字病院 第一救急科岡野 雄一、高橋 大介、野田 慶太、加藤 陽一、大塚 尚実、原富 由香、山家 純一、桑原 謙、奥本 克己、井 清司【背景】電撃症は稀な疾患ではあるが、その電気様式や通電経路により多彩な臨床症状を呈する為、重症度や予後の判断が難しい救急疾患である。【目的】臓器障害を呈し重症化した電撃症症例の臨床的特徴を明らかにする。【対象/方法】2006-2015年の10年間で当院に救急搬送された電撃症26例についてカルテより後方視的に検討した。【結果】受傷原因は高圧電線接触(10例)、家庭用コンセント(8 例)、雷電流(4 例)の順で多く、入院加療は13 例(50.0%)で、うち集中治療管理を要したのは9 例(34.6%)、手術例は6 例(23.1%)であり、熱傷部位デブリドマン(6例)、断端形成目的での外科的処置(4例)が多かった。また雷による電撃症では、全例身体が飛ばされたことによる多発外傷の合併しており、入院中に進行性に臓器障害が進展した例や、長期間精神科フォローを要する例が多かった。【考察】集中治療管理を要した電撃症例を重症化群と定義すると、重症化群(9 例)は非重症化群(17例)と比較し、単変量解析にて高電圧(1000ボルト以上)(71.4% vs 23.5%;オッズ比(以下、OR)8.1[95%信頼区間(以下、95%CI)1.1-59.2])、初回CPK 高値(500U/L 以上)(71.4% vs 17.6%;OR 11.2[95%CI 1.5-91.5])、外傷合併(57.1% vs 13.3%;OR10.0[95%CI 1.2-81.8])、不整脈(66.7% vs 5.9%;OR 32.0[95%CI 2.8-370.0])が有意に多い結果であった。また多重ロジスティック回帰分析から、重症化に影響を与える因子は、年齢、高電圧、不整脈であった。【結語】電撃症の診療には、重症化する危険因子を把握しつつ、組織障害が進行しないか厳重な管理と長期のフォローアップが必要である。DP11-6 墜落外傷の自殺未遂例における希死念慮の予測因子に関する検討1)兵庫県災害医療センター 救急部、2)神戸赤十字病院 心療内科、3)兵庫県こころのケアセンター菊田 正太1)、石原 諭1)、古賀 聡人1)、甲斐 聡一郎1)、井上 明彦1)、三木 竜介1)、中山 伸一1)、村上 典子2)、加藤 寛3)【目的】墜落外傷の飛び降りの高さや身体的重症度と希死念慮との相関についての報告はない。墜落外傷の自殺未遂例の希死念慮について、受傷機転を含む入院時に得られる情報に特徴があるかを検証する。【方法】2011年1 月から2015年7月に自殺企図による墜落外傷で入院後、心療内科もしくは精神科による診療を受けた症例のうち、幻覚妄想状態により飛び降りをきたすことの多い統合失調症圏(国際疾病分類ICD10;F2)を除外し、精神科での入院継続を要した切迫する希死念慮を有する群(I群)、有さない群(C 群)について後方視的に比較検討した。検討項目は患者背景(年齢、性別、精神科病名、精神科通院歴)、受傷機転(飛び降り階、着地点の性状)、Injury Severity Score(ISS)とし、統計解析はEZR でMann-Whitney U 検定、Fisherの正確確率検定を用いて危険率5%未満を有意差ありとした。【結果】I群13例、C群27例で年齢、性別に差はなかった。強迫性障害・適応障害(F4)、うつ病などの気分障害(F3)、人格障害(F6)のほか複数の精神科病名がみられるものや診断名がつかないものもみられたが、両群で差はなかった。精神科通院歴はI群で多かった(I群92%、C群58%;p=0.04)。飛び降り階の中央値はI群4階、C群3階とI群で有意に高く(p=0.002)、飛び降り階を用いて切迫する希死念慮を予測した場合、ROC曲線下面積は0.789と比較的良好であった。また、4階をカットオフ値とした際の希死念慮予測における感度、特異度はそれぞれ69%、85%であった。なお、土・芝生といった軟らかい地面への着地はC群(50%)で多かったが有意差を認めず、ISSについても両群で差はなかった(I群22点、C群21点)。【考察】統合失調症圏以外の墜落外傷の自殺未遂例において、精神科通院歴と飛び降り階による切迫する希死念慮の予測は有用であることが示唆された。