ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-525-DP10-4 経過中に突然の心肺停止をきたしたIgG4関連疾患の一例日立総合病院 救急集中治療科高谷 信宏【背景】IgG4関連疾患は血清IgG4 高値とIgG4 陽性形質細胞の組織浸潤を特徴とする疾患である。ステロイドなど適切な治療により良好な経過をとるが、本疾患の認知度の低さから悪性腫瘍等と誤診され不適切な治療が行われていることがある。今回我々は経過中に突然の心肺停止をきたしたが即時の対応で蘇生し、精査にてIgG4関連疾患と診断。ステロイド投与に良好に反応し救命しえた、IgG4関連疾患の一例を経験したので報告する。【症例】糖尿病性腎症で透析療法中の58 歳男性。糖尿病の血糖コントロール目的に他院入院中に発熱・胸部異常陰影を認め、抗生剤投与を開始されるも改善を認めず当科紹介、同日救命センター入院となった。入院時、胸部CTにて縦隔肺門リンパ節腫大・気管支血管束および小葉間隔壁の肥厚を認めた。入院第2病日間欠透析開始後40分経過した頃より収縮期血圧90 台, SpO2 60 台に低下を認めたため除水を中止するも、その10 分後にHR 40, SpO2 50台まで低下し心肺停止となった。初期波形はPEAで、挿管しCPR を1サイクル施行した時点でROSCしICU入室となった。好酸球増多を認めたため経気管支リンパ節針生検の上で、メチルプレドニゾロン1g× 3日間のステロイドパルス療法を開始した。PSL1mg/kg/day にて後療法を行い好酸球は著明に減少し0%となり、全身状態の著明な改善を認めた。入院時の採血にてIgG4 1270mg/dlと高値を認め、IgG4関連疾患と診断した。【結語】本症例は画像所見上、縦隔肺門リンパ節腫大・気管支血管束および小葉間隔壁の肥厚があり、IgG4 1270mg/dlと血清IgG4高値、C3 46mg/dl・C4 3mg/dl・CH-50 12.0u/mlと低補体血症を認めた。また、好酸球増多・ステロイド反応性があったことと合わせ、IgG4関連疾患と考えられた。経過中に突然の心肺停止をきたし、その原因がIgG4関連疾患であった可能性が考えられ文献的考察を加えて報告する。DP10-5 敗血症性ショックの臨床像を呈した小児衝心脚気の一例東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部谷口 昌志、本村 誠、居石 崇志、渡邉 伊知郎、中山 祐子、新津 健裕、齊藤 修、清水 直樹【背景・目的】心臓脚気はビタミンB1 欠乏に起因し、全身血管抵抗の低下により高心拍出性心不全を来す病態である。その中で急激でショックに至るものが衝心脚気であり、臨床像は敗血症性ショックに酷似するがビタミンB1 の投与なしでは致死的であり、小児例は少ないため報告する。【症例】8ヶ月女児、既往に蛋白漏出性胃腸症があり、前医で完全母乳栄養管理されていた。5ヶ月時に人工乳の開始とともに下痢、下腿浮腫、低アルブミン血症を認め当院紹介となった。ミルクアレルギーによる蛋白漏出の病態悪化が疑われ、経腸栄養を中止し、中心静脈栄養およびステロイド、サンドスタチンの投与が開始された。以後、全身状態は改善していたが、誘因なく多呼吸と頻脈を認め、代償性ショックで当院PICU に入室した。長期カテーテル留置から敗血症による血液分布異常性ショックと考え人工呼吸管理および細胞外液負荷(50ml/kg)、抗生剤(PIPC+VCM)を開始し、心機能を評価した上でカテコラミンを持続投与した。治療開始後も著明な代謝性アシドーシスと高乳酸血症が遷延したため敗血症以外の鑑別として副腎不全と衝心脚気の可能性を考えた。中心静脈栄養ではあったがビタミンB1不足と考え投与し、4時間ほどで劇的に臨床所見および代謝性アシドーシスと高乳酸血症が改善し、以降安定して経過した。急性期のビタミンB1 血中濃度は21ng/ml(正常値24-66ng/ml)であった。【考察】本症例では敗血症による血液分布異常性ショックと診断し循環管理を開始したが、非典型的な経過から本疾患を疑い、ビタミンB1 の投与で速やかに改善した。【結語】衝心脚気は小児に稀ではあるが、ビタミンB1 投与で救命が可能であることから血液分布異常性ショックの鑑別として重要な疾患である。DP10-6 血糖変動を抑制する方法に関する検討1)公益財団法人 会田病院 外科、2)京葉病院 外科星野 正己1)、原口 義座2)、津端 徹2)、梶原 周二1)【方法】対象は124 例.(検討項目)1)ICU 入室時における,SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)score(SOFAad),HemoglobinA1c(HbA1c), 血糖値(BGad),2)ICU 入室後1 週間における, 最高SOFAscore(SOFAmax),6 時間毎に測定したBG の標準偏差(BGsd), 平均(BGm), 最高値(BGmax), 経静脈的1 日Glucose 投与量の平均値(Glu),1 日Insulin 投与量の平均値(Ins).BG は6 時間毎に指尖穿刺毛細管血にて測定し,BG が140mg/dL 以上の時,Insulin を原則的に皮下注した.(検討1)BGsdと上記各指標との関連を重回帰分析した(. 検討2)Insulin投与に用いるSliding ScaleのBG(Scale)幅を20mg/dLとしたA群(n=47)と,40mg/dLとしたB群(n=77)の2群に分け,両群間で上記各指標を比較した【. 結果】1)BGsdは、BGm(p=0.00045),BGad(p=0.049)と相関していた.2)BGsd,BGm,Ins は,A 群で有意に低値であった( 各々,23 ± 12vs36 ± 18mg/dL,p=0.0000038,126 ± 24vs147 ±35mg/dL,p=0.0011,0.054 ± 0.070vs0.12 ± 0.14U/kg/day,p=0.00052).【考察と結語】1)入院時血糖高値例に対する厳重な血糖管理,平均血糖値の抑制,および,Sliding Scale幅を小さくする等の方法を用いた綿密な血糖管理が,血糖変動の抑制に重要と考えられた.2)綿密な血糖管理は,平均血糖値の抑制やInsulin投与効果の改善にも有用と思われた.3)従って,人工膵臓等の持続的自動血糖管理を行わない場合は, より綿密な血糖管理方法の検討も必要と考えられた.4)BGsd とSOFAmax との間に有意な(1 次)相関が認められなかった原因の1 つに, 我々が報告して来た様に, 両者が2 次相関していることが示唆された.