ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-523-DP9-4 当院救命センターにおけるせん妄の発症率とリスク因子の関連性に対する分析手稲渓仁会病院金浜 英介、葛西 陽子、奈良 理(目的)せん妄の予防的ケアを行う際、リスク因子の把握は必須といえる。そこで当院救命センターにおけるせん妄の発症率とリスク因子との関連性の有無を明らかにすることを目的とし本研究を行った。(方法)対象は平成26 年7 月1 日~平成26 年12月31 日までの期間、救命センターに24時間を超えて入院している390名(年齢16~99歳、中央値75、男女比225:165)とした。せん妄の判定はICDSCを使用し、救命センター在室中にスコアが一度でも3点以上に達した患者をせん妄と判定した。せん妄発症群と非発症群に分け、以下の因子について関連性を分析した。因子は患者背景(年齢、認知症の既往、原疾患)、病室環境(個室、採光など)、挿管の有無、侵襲的な処置の有無とした。また、患者のADL 等の状態を表す指標として重症度、医療・看護必要度B項目(以下看護必要度とする)のスコアを因子の一つとして採用した。看護必要度スコアは救命センター在室中の最高点を使用した。分析方法はFisherの正確検定を行った。倫理的配慮は当院の規定に従った。(結果)せん妄発症群は135 例(34.6%)、非発症群は255例(65.4%)であった。原疾患別では内因性頭部疾患(58.3%)、重症感染症(55.3%)、消化器疾患(54.5%)で高い発症率が認められた。2群間に有意差が認められたのは、年齢65歳以上(せん妄発症群42.1%vs非発症群18.5%、P値4.07e-06)、認知症既往患者(59.3%vs23.2%、P値1.13e- 11)、挿管の有無(61.1%vs31.9%、P 値0.0007)、看護必要度B 項目スコア7 点以上(39.5%vs10.6%、P値1.94e-06)の例であった。病室環境の違いや侵襲的な処置を要した例では2群間に有意差を認めなかった。(結語)高齢、挿管の有無、認知症の既往は当院救命センターにおいて、せん妄の発症率と関連性があることが分かった。疾患に起因する又は体動制限等によるADLの低下はせん妄の発症率と関連性があることが示唆された。DP9-5 術後挿管患者のCAM-ICU陽性率は経時的に変化する学校法人鉄蕉館 亀田医療大学 成人看護学宮崎 俊一郎、古賀 雄二【目的】日本語版CAM-ICU の妥当性と信頼性の検証が行われ、簡易的にせん妄評価を行うことが可能となった。侵襲や薬剤等の影響を受ける術後挿管患者のCAM-ICU 陽性率とその変動状態を明らかにする。【方法】2013年2月~2015年3月までの期間にA病院ICU に術後挿管状態で入室した患者を対象とした。所属機関倫理審査委員会の承認を得た(管理番号:H25-71)。ICU 入室後4時間、6時間、12時間、離床時にCAM-ICUを用いたせん妄スクリーニングを行い、評価されたデータを後ろ向きに検証した。SPSS. Ver. 22.0 によるt 検定を用いて分析した。【結果】対象患者310 名、うち男性138 名、平均年齢70.4± 4.4 歳、APACHE2スコア18.2±1.7 であった。心臓外科患者は174名、非心臓外科患者は136名であった。離床時期はICU 入室後14-19(中央値:17)時間であった。CAM-ICU 陽性率は入室後6 時間の時点で最高値(47.5%、うち心臓外科患者104名、非心臓外科患者43名)となり、他の時点と比較し有意であった(p<0.01)。また、心臓外科術後患者と非心臓外科術後患者のCAM-ICU陽性率は、すべての時点において心臓外科術後で有意に高値であった(p < 0.01)。CAM-ICU陽性患者のうち、入室後4 時間では100%、6 時間では89.8%、12 時間では70.7%、離床時では59.5%が不活発型せん妄であった。また、全期間を通して、不活発型から活発型せん妄へ移行したのは31.1%であり、活発型から不活発型せん妄への移行はなかった。【結論】術後挿管患者のCAM-ICU陽性率は変動し、術後6時間の時点で最も高かった。J-PADガイドラインが推奨するせん妄の評価は、「各勤務帯ごと+随時」とされているが、術後挿管患者においてはICU入室後から経時的にせん妄モニタリングを行っていく必要がある。