ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-520-DP8-1 TSLS(Streptcoccal toxic shock-like syndrome)の予後規定因子東邦大学医療センター大森病院 総合診療・救急医学講座一林 亮、豊田 幸樹年、小泉 雅之、佐藤 大輔、横室 浩樹、吉原 克則、本多 満【目的】Streptcoccal toxic shock-like syndrome(以下TSLS)は我が国では全数把握対象の5 類感染症に指定されている。TSLSは増加傾向に有りかつ死亡率は30-80%と予後不良な疾患である。今回我々はTSLSの転帰に影響する因子を調査することを目的とした。【対象】2011 から2014 年の4 年間で、入院加療をおこなった2006 年厚生労働省届け出基準に該当するTSLS 症例20 例を対象とした。【方法】生存群(以下A群)14例、死亡群(以下D群)6例にわけ血液検査(白血球、CRP、血小板、プロカルシトニン)、背景因子(外傷歴、担癌患者、糖尿病、ステロイド内服歴、肝障害、アルコール飲酒歴)、症状(肝不全、腎不全、ARDS、DIC、軟部組織炎、全身性紅斑性発疹、中枢神経症状)治療方法(手術、補助循環)など各因子を後ろ向きに調査し比較検討した。【結果】TSLS死亡率30%。APACHE2スコアA群21.1±9.3、D群35.7±11.4(P<0.05)。入院時中枢神経症状A群4/14例、D群6/6例(P< 0.05)。手術及び外科的手技施行A 群8/14 例、D 群0/6 例(P < 0.05)。【結語】当院のTSLS 死亡率は30% であった。APACHE2スコアが高く、来院時意識障害を生じている症例は有意に転帰不良因子であった。また、外科的介入ができた症例は転帰良好因子であった。転帰に影響する支持療法はなく、手術及び外科的手技施行にて感染巣のコントロールができた症例が予後良好であることが考えられた。デジタルポスター 8 多臓器不全・敗血症① 2月12日(金) 11:00~12:00 デジタルポスターブース8DP8-2 Edwardsiella tardaによる敗血症性ショック後の髄膜脳炎・化膿性脊椎炎の一例1)高知赤十字病院 初期臨床研修医、2)高知赤十字病院 救命救急センター高橋 清英1)、廣田 誠二2)、村上 翼2)、原 真也2)、島津 友一2)、山崎 浩史2)、藤本 枝里2)、安岡 やよい2)、西山 謹吾2)【症例】 53歳男性。既往歴:アルコール性肝障害。1週間前から発疹が下腿に出現し発熱、脱力を認め紹介搬送された。来院時 意識清明、脈拍123回/分、血圧116/65mmHg、体温39.2℃、WBC 2660 /μl、PLT 7.0 万/μl、FDP 11.9 μg/mL、CRP 9.73 mg/dl、PCT 45.91 ng/ml であった。画像所見では有意な感染源は認めず敗血症、DICと診断しICU入室。入室後から不穏、循環不安定となり急速輸液、Noradrenaline、MEPM投与、少量ステロイド持続開始、人工呼吸器管理とした。アシドーシス進行し、CHDF導入、一時Adrenaline使用した。血液培養からグラム陰性桿菌の発育を認め、最終的にはEdwardsiella tarda(以下E.tarda)を検出し種々の抗生剤への感受性は良好であった。徐々に循環安定し、第5病日CHDF離脱。第6 病日抜管。第8病日から意識レベルに変動があり、顔面の痙攣様運動、幻視や幻聴を認め、 髄液細胞数の軽度上昇認めたが、髄液培養は陰性だった。髄膜脳炎として抗生剤継続も、発熱持続し第27 病日から腓骨神経麻痺を認めた。腰椎MRI 施行し、L5の化膿性脊椎炎を認め同部位穿刺するも菌は検出されなかった。腰椎後方固定術を行い、第97 病日に軽快退院した。【結語】 E.tardaによる敗血症性ショック後の髄膜脳炎・化膿性脊椎炎の一例を経験した。E.tardaは爬虫類や魚類由来のグラム陰性桿菌で胃腸炎の原因菌となるが、非腸管感染で敗血症を伴うと致死率38-50%と報告されている。本症例の感染経路は不明だが、アルコール性肝障害により免疫能が低下、易感染状態だったことが発症の要因と考えられる。E.tarda感染症はショック離脱後も継続して全身管理を行う必要がある。DP8-3 Edwardsiella tardaによる卵管留膿腫の1 例1)松本市立病院 外科、2)松本市立病院 内科、3)松本市立病院 産婦人科坂本 広登1)、塩野入 規3)、三澤 俊一1)、黒河内 顕1)、桐井 靖1)、赤穂 伸二2)、塩沢 功3)、高木 洋行1)症例は41 歳、女性。既往歴に2005 年に右卵管留膿腫に対し卵管切除術後、また。2010年より両側子宮内膜症性嚢胞を発症し当院産婦人科通院中。2015 年1 月下旬に発熱と下腹痛で当院受診。両側付属器に圧痛を伴う70mm の嚢胞を認めた。精査で子宮内膜症性のう胞及び膿瘍の診断で入院。炎症反応高値であり抗生物質投与による治療を開始したが腹部症状の悪化を認めたため、第2病日に両側付属器切除術を施行し膿瘍培養を提出。術中に一時的に酸素化不良となり、血液検査にてDIC傾向を認めたため、術後は挿管管理下に集中治療室管理とした。同日中に呼吸状態悪化、敗血症性DICの進行、肝腎機能悪化と多臓器不全の進行を認め、人工呼吸器、CHDF、PMXによる呼吸循環管理、および、敗血症性DIC治療を行なった。膿瘍培養、血液培養からはEdwardsiella tarda が分離された。第3病日以降、集中治療管理により徐々に症状は改善し、第4 病日にCHDF、PMXより離脱、第7病日に敗血症性DICより離脱、第8病日に抜管しBIPAPへ移行、第10病日にはBIPAP離脱。経過中、末梢循環不全による手指、足趾皮膚多発潰瘍を発症したが、疼痛管理、皮膚ケアを行いながら早期離床を進め、第20病日に退院。Edwardsiella tardaは水生生物の病原菌として分離されるものの人への感染は稀であり、胃腸炎症状を発症しても抗生剤投与なしで軽快する弱毒菌とされている。しかし、敗血症に移行した場合には急速なDIC、多臓器不全の進行を認め、致死率が38-55% と報告されている。本邦での報告例では、肝硬変や糖尿病などを発症した免疫不全患者での敗血症発症の報告はされているが、健常人での報告は希有であった。集中治療管理により救命し得たEdwardsiella tarda敗血症の1 例を経験したので報告する。