ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-514-DP5-1 小児先天性心疾患術後管理におけるトルバプタンの使用経験1)北海道大学大学院医学研究科 循環器・呼吸器外科、2)北海道大学病院先進急性期医療センター太安 孝允1)、浅井 英嗣1)、佐藤 公治1)、新宮 康栄1)、加藤 裕貴1,2)、大岡 智学1)、若狭 哲1)、橘 剛1)、松居 喜郎1)、丸藤 哲2)心臓手術周術期治療において、利尿剤は必要不可欠な薬剤である。現在、利尿剤にはループ利尿薬、炭酸脱水酵素阻害薬、サイアザイド系利尿薬、K 保持性利尿薬が一般的に使用されている。近年、バゾプレシンV2 受容体拮抗薬のトルバプタンが発売され、他の利尿薬が十分に作用しない難治性心不全においても有効性が多数報告され、心臓手術周術期での使用についても有効性が報告されるようになった。小児や先天性心疾患罹患患者の難治性心不全症例対する使用報告例も散見、有効性・安全性が示唆されるようになった。2015 年1月から6 月にかけて当院で先天性心疾患手術を施行した新生児・乳幼児症例のうち術後トルバプタンを使用した62症例について評価し、文献的考察を加えて報告する。デジタルポスター 5 心臓・循環・体液管理① 2月12日(金) 11:00~12:00 デジタルポスターブース5DP5-2 重症大動脈弁狭窄症を合併した高齢急性心不全患者に対する低用量トルバプタムの有効性順天堂大学 医学部 循環器内科高須 清、宮崎 哲朗、根来 加奈子、加藤 隆生、須田 翔子、比企 優、葛西 隆敏、宮内 克己、代田 浩之背景:重症大動脈弁狭窄症を合併した心不全患者に対する安全かつ有効な薬物療法は確立されていない。利尿剤は有用な治療法ではあるが、重症大動脈弁狭窄症患者では循環血液量の減少による心室拡張末期圧の低下、心拍出量の低下が問題となる。トルバプタムは急激な循環血液量の低下を来さないことが知られており、重症大動脈弁狭窄症を合併した心不全患者に対して安全かつ有効であると考えられる。方法:2014年4月から2015年3 月までに当院CCUに入院した重症大動脈弁狭窄症を合併した急性非代償性心不全症例のうち、外科手術ならび径カテーテル大動脈弁留置術の適応外と判断され、トルバムタムを使用した5例を対象に後ろ向きに有効性・安全性の解析を行った。結果:患者の平均年齢は91 ± 7 歳、男性1 名、女性4 名、心エコーによる評価では平均弁口面積は0.47±0.18 cm2であった。トルバプタムの1日投与量は5.3± 2.1 mgであり少なくとも一週間の投与(平均投与期間20±13日)が行われた。投与前と比較しトルバプタム投与初日、二日目には尿量の増加が認められた。(928± 478 vs. 1203± 517 ml,P=0.03, vs. 1492 ± 676 ml, P=0.06)。また投与初日には尿浸透圧の低下傾向を認めた(408 ± 137 vs. 261 ± 155 ml, P=0.06)。NYHA 分類は治療前と比較し、治療後一週間、退院時で有意な改善を認め(3.8± 0.4 vs. 3.0± 0.0, P=0.02, vs. 2.6± 0.5, P=0.004)、BNP も同様の経過であった(1264± 796 vs. 635± 470 pg/mL, P=0.03, vs. 538 ± 343 pg/mL, P=0.03)。トルバプタム投与による血清クレアチニン濃度、eGFRの有意な悪化は認められなかった。また尿量の増加に伴う、明らかな血圧、脈拍の変動は認められなかった。結語:重症大動脈弁狭窄症を合併した高齢心不全患者に対する低用量トルバプタムの有効性・安全性が示唆され、今後前向きの検討が必要であると考えられる。DP5-3 成人心臓手術後の不整脈とランジオロール使用状況―OPCAB症例と弁手術の比較―1)富山大学附属病院 集中治療部、2)富山大学附属病院 救急部、3)富山大学附属病院 麻酔科、4)富山大学附属病院 心臓血管外科澁谷 伸子1)、青木 正哉4)、有嶋 拓郎2)、山崎 光章3)、若杉 雅浩2)、奥寺 敬1) 心臓手術の周術期には、心房細動、上室性および心室性期外収縮などの不整脈がおこり、交感神経活動の亢進が大きな因子と考えられる。これに対し、β遮断薬ランジオロールの有用性が報告され、当院でも術中および術直後のレートコントロール目的に投与している。今回当院における心臓手術後の不整脈の出現頻度とランジオロールの使用状況について後ろ向きに調査した。 当院で2012 年7月~2015年6 月の3年間にOPCABあるいは弁手術を受けた415 例について、術前心房細動の有無、新たな心房細動あるいは頻拍発作の出現の有無、ランジオロール最大投与量と投与時間、最大心拍数、最低血圧について調べた。 術前から心房細動を有している症例はOPCAB 症例では3.3%であったのに対し、弁手術では30%の高率であった。術後にランジオロールを投与された人数は191人(80%)と高率であり、弁手術では114例(67%)であった。ランジオロールの最大投与量はOPCABで2.0±1.3μ g/kg/min、弁手術で2.1 ± 1.3 μ g/kg/min、最大心拍数はそれぞれ93 ± 14 回/分と96 ± 14 回/分、最低血圧は84 ± 10mmHgと83 ±10mmHgであった。ICU入室中に新たな心房細動あるいは頻拍発作が発生したのはOPCAB、弁手術ともに17 例で、ランジオロール投与の有無で差がなかった。また、電気的除細動を要する高度の上室性頻拍や重篤な心室性不整脈は見られなかった。 OPCABおよび弁手術後の脈拍コントロール目的に、低用量のランジオロールが高率に使用されていた。ランジオロール投与中の最大心拍数は概ね100回/分以下に維持され、高度の低血圧はなかった。ランジオロールによる頻拍発作予防効果ははっきりしなかったが、注意深く投与することでほぼ安全に使用することができていた。