ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-513-DP4-4 超遠隔地小笠原村における新血液供給システム” 血液製剤ローテーション計画(Blood Rotation 計画)”の試み1)小笠原村診療所、2)東京都日本赤十字血液センター、3)CBC エスト株式会社笠井 あすか1)、嶋 太郎1)、飴谷 利江子2)、都能 克博3)、松崎 浩史2)小笠原村は、週1 便、片道25 時間半を要する定期船しかない超遠隔離島であり、急患搬送の要請から病院に収容までの平均所要時間は約10時間である。緊急輸血は島民有志の供血による生血輸血で対応しており、長年の課題であった。しかし使用頻度の少ない状況では、不測の事態に備えての血液製剤のストックは廃棄率が高くなる。また供血者の確保及び安全性の問題もある。これを解決したのが「ATR700-RC05」を利用した東京都赤十字血液センターによる小笠原村診療所への赤血球製剤の供給である。従来の搬送容器と異なり保管及び冷却機能を有する搬送保管容器で、期限内赤血球製剤の再出庫が可能となる。これは僻地の集中治療の充実だけでなく、僻地病院の血液製剤ストック破棄率の低下、またドクターヘリなどを利用した急患搬送の分野、災害医療での運用にも期待される。特に災害時は情報が錯綜する中、温度管理や使用期限を理由に破棄することなく適切な供給が可能である。また使用頻度は少ないが産科的、外科的な危機的出血への対応が求められる地方中核病院へも安全に適切に破棄率の問題なく供給できる。いずれ高次医療機関に搬送する際も集中治療を発症時から適切に行うことが治癒率を上げる。このBlood Rotation 計画を東京都赤十字血液センターが中心となり日赤関係機関ならびに厚生労働省、小笠原海運、都立病院及び東京都等の関係機関と連絡調整の上、平成26 年4 月より開始した。運用開始後も診療所では生血輸血を限りなくゼロにしていく挑戦を継続。さらに小笠原村診療所では臨床検査技師が在籍していない。その中で緊急輸血を安全に確実に行う事を目標に定期的な勉強会の継続に取り組んでいる。地域医療機関でもすべてのコメディカルがそろっている体制でないことが多いと考える。今回このBlood Rotation 計画の詳細とスタッフトレーニングの取り組みを報告する。DP4-5 小笠原地域での急患患者搬送の現状1)自衛隊中央病院 胸部外科、2)硫黄島航空基地、3)防衛医科大学校病院伊藤 直1)、佐々木 寿2)、東原 拓也3)、稲田 真2) われわれ硫黄島航空基地には2名の医官(幹部自衛官医師)が在籍し、滑走路と救難ヘリコプターを有しており、小笠原地域での急患発生時には災害派遣法に基づき航空機輸送の一部を担い対応している。  小笠原諸島は東京から約1000km 南に位置し、主な有人島としては民間人の住む父島、母島、主に自衛官が常駐している硫黄島、南鳥島がある。父島、母島にはそれぞれ人口約2,000人、約500人が生活しているが、ともに地形的条件から滑走路が作れずに東京から約25時間かけて航行する貨客線のみが唯一の公共交通機関となる。医療機関はそれぞれの島に診療所があるが、設備や人員は限られており緊急治療を要する患者の搬送には、海上自衛隊に災害派遣を依頼して航空機輸送を行っている。 航空機輸送の方法として天候などの条件が許せば海上自衛隊の救難飛行艇を父島の二見湾に着水させて患者輸送を行うが、母島の患者や、飛行艇着水の条件を満たさない場合には硫黄島まで救難ヘリコプターで搬送し、硫黄島で固定翼航空機に移送してから内地まで輸送するという手順になる。 また、この地域での船舶からの救助要請についても救難ヘリコプターでの救助や固定翼航空機への移送で対応している。 記録の残る過去8年間の急患輸送について集計し、その現状について報告する。DP4-6 事件・テロ対策医療の集中治療の重要性1)警視庁 警務部、2)放射線医学総合研究所奥村 徹1)、富永 隆子2)今までにも増して、国際情勢は安定しているとは言えないなかで、日本は先進国首脳サミットや東京オリンピックで、事件やテロの脅威は高まり続けている。当然、事件・テロが起これば、集中治療の対象となる被害者も相当数想定され、地域の枠を超えて、広域的な対応が必要とされる。前述した国際的政治イベントや国際スポーツイベントでは、通常の事件・テロ対策と異なり、行われる日程が確定しているため、事前からの計画、準備が可能であり、その意味でも集中治療領域でもこれらのイベントに備えた事前の体制の計画立案、演習が必須となる。もちろん、事件・テロの未然防止が重要である事も論を待たないが、万が一、最悪の事態が起きた場合に万全の対応が出来る態勢を整える事自体も事件・テロへの抑止力と成り得る。具体的には、集中治療が必要とされる患者の突然かつ急激な増加にどう対応出来るか(いわゆるサージキャパシティ、集中治療患者の広域搬送も含む)。放射性物質や化学物質や病原体に汚染された集中治療患者に対して汚染・感染拡大を如何に防止するか(事態の対応初期に汚染が判明せず、集中治療室入室後に判明することも想定、そのための個人防護衣着脱の習熟)、内部被ばくや化学物質曝露に対する特異的薬剤の確保(実際に保有しなくても、どれほどの時間でどれほど集められるかのシミュレーション)など、個々の集中治療施設で今から具体的に計画立案、演習を行なう必要がある。さらには個々の集中治療施設を超えた地域の施設間の連携も必要であり、場合によっては他の都道府県の集中治療施設との連携も考慮しておかねばならない。