ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-507-DP1-4 救命ICU における糖尿病患者の経管栄養の選択 - インスローとその他栄養剤の比較 -東京女子医科大学東医療センター菅 智行、磯谷 栄二、吉川 秀和、原田 志保【目的】東京女子医科大学東医療センター救命ICU(以下当院ICU)では2014年4 月、医師、看護師、管理栄養士より構成される救命NSTを発足し、栄養プロトコルの作成を行ってきた。栄養プロトコルは検討を重ねられ、現在栄養プロトコルVer3が稼働している。栄養プロトコルVer3 では新たに疾患別に栄養剤を選択する頁が設けられ、糖尿病既往のある患者ではインスローが選択される。インスローは投与後の急激な血糖値の上昇を抑制する。しかし栄養プロトコルVer3では持続投与が中心となっており吸収速度は一定と考える。このことからインスローの持続投与下での有効性は定かではない。そこで、持続投与下でのインスローの有効性を明らかにすることを目的とする。【方法】栄養プロトコルの対象となった糖尿病既往のある患者を対象とし、8時間ごとの血糖値およびインスリン投与量を比較する。【成績】症例数はインスロー群n10、その他の栄養剤群n16であった。血糖値中央値(95%信頼区間)はインスロー群161(6:00),183(14:00),153(22:00)mg/dl、その他の栄養剤群171(6:00),183(14:00),178(22:00)mg/dl であった。インスリン使用量中央値(95% 信頼区間)はインスロー群6.5(6-14),7.2(14-22),7.6(22-6)U、その他の栄養剤群9.5(6-14),9.6(14-22),9.0(22-6)U であり、F 検定/T 検定を行った結果(6-14)と(14-22)でのインスリン使用量はインスロー群で有意に少なかった。また、両郡間でのAPACHE-2,HbA1cの有意差は認められなかった。【結論】インスロー群では他の栄養剤群と比較し、インスリンの使用量が少なった点で選択の意義が認められた。持続投与下でも血糖値の急激な上昇を抑制された為と考える。本研究では血糖値を8時間ごとに見ているため、投与量の変化に伴った血糖値の細かな変動は拾えていない。当院ICUでは6:00に投与量を漸増させるため6:00~14:00間の血糖変動を詳細に観察することで新たな発見ができる可能性がある。DP1-5 救命救急センター入院患者における亜鉛欠乏に関する検討長崎大学病院 救命救急センター山野 修平、上木 智博、井山 慶大、猪熊 孝実、田島 吾郎、平尾 朋仁、野崎 義宏、山下 和範、田崎 修【背景】亜鉛欠乏症は免疫力の低下、創傷治癒の遅延、貧血、味覚障害、精神障害などの多彩な症状を呈するが、その認知度は低く救急領域での亜鉛欠乏に関する報告は殆ど無い。【目的】救命救急センター入院患者の亜鉛欠乏の実態を調査すること。【対象・方法】 平成26 年10 月から平成27 年7 月までに長崎大学病院救命救急センターに5 日以上入院した患者において入院翌日の血清亜鉛濃度の測定を行い、2 週間以上入院した場合には再測定を行った。亜鉛欠乏症のリスクがある栄養障害、褥瘡や難治性の創傷、欠乏症状のある患者に対しては、亜鉛濃度の測定結果が判明する前からポラプレジンク1 日150mg投与を行った。【結果】対象となったのは109例で傷病は外傷64 例、熱傷1 例、中毒4 例、感染症20 例、心肺停止蘇生後が7 例、その他内因性疾患13例であった。入院日数の中央値(IQR)は19(10-33)日であった。入院翌日の血清亜鉛濃度の中央値(IQR)は38.0(24.5-54.5)μ g/dl(正常値下限は65)と低く、正常下限を下回った症例は88%(96 例)の高い頻度で認められた。 2週間以上入院した症例で、亜鉛欠乏のリスクがあるポラプレジンク投与群と非投与群を比較すると、来院翌日の亜鉛濃度の中央値(IQR)は投与群で25.5(18.75-35)、非投与群で29(22.5-38.25)となり2 群間で差は認められなかった。2 週間後の測定では投与群で68(57.5-94.5)、非投与群で70.5(56.25-79)となり、こちらも2群間で差は認められなかった。2週間後に正常値まで回復していたのは、投与群で14 例中8 例、非投与群で42 例中24 例あり、両群とも半数近くが回復していなかった。【結語】救命救急センターの入院患者において亜鉛欠乏の頻度は高く補正の意義についてさらなる検討が必要である。DP1-6 早期経腸栄養管理バンドルによる栄養管理の解析名古屋大学大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野東 倫子、日下 琢雅、海野 仁、眞喜志 剛、山本 尚範、江嶋 正志、田村 有人、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】2013年1月に当講座は,早期経腸栄養の徹底のために,当講座の松田の提唱する早期経腸栄養バンドル2002を改定し,Early Goal-directed Nutrition(EGDN)として重症症例における第1選択を早期経腸栄養とし,静脈栄養を縮小する指針とした。EGDN 2013 策定前後の2012 年と2014 年の栄養管理を後方視的に比較した。【方法】2012 年1 月1 日から12 月31 日の1 年間(2012年群)と2014 年1 月1 日から12 月31 日1 年間(2014 年群)において,在室日数が2 日以下と管理プロトコルを持つ低体温療法の症例を除外し,それぞれの初回の栄養法,入室時APACHEII スコア,ICU死亡などを比較した。【結果】上記条件を満たしたのは,2012年群で170 例,2014年群で222例だった。入室日のAPACHEIIスコアの平均はそれぞれ27.6および27.1であり,経静脈栄養が19 例(11.2%)と17 例(7.6%),経腸栄養が76 例(44.7%)と107 例(48.2%)だった。2012 年群では入室後6 時間未満の経腸栄養開始が8 例(10.5%),24時間以内の経腸栄養開始が41 例(53.9%)だったことに対して,2014年群ではそれぞれ22 例(20.5%),74例(69.2%)に上昇していた。これらには,ショック症例の大半が含まれていた。48時間以降の経腸栄養開始は,2012年群では13例(17.1%)だったが,2014 年群では4 例(3.7%)に低下していた。これらのICU 内死亡率は,2012 年の9.4%(16 例)に対して,2014 年では6.8%(15例)に低下していた。【結語】EGDN 2013 に則った栄養管理により,当講座は早期経腸栄養を徹底している。急性循環不全においても,早期経腸栄養の実施率が高まり,生命予後が改善している結果が認められた。