ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-506-DP1-1 リフィーディング後の低血糖、肝機能障害、血小板低下をきたした5 例1)大阪府立急性期総合医療センター 救急診療科、2)大阪大学医学部付属病院高度救命救急センター中本 直樹1)、清水 健太郎2)、吉川 吉暁1)、木口 雄之1)、藤見 聡1)【背景】リフィーディング症候群は、飢餓状態にある低栄養患者が、栄養を急に摂取することで水、電解質分布の異常を引き起こす病態で、心停止を含む重篤な致命的合併症を起こすことがある。集中治療室において、低血糖は死亡率が高くなることが知られているがその原因は十分に明らかにされていない。当院では、低栄養から低血糖をきたし、同時あるいは遅れて重篤な肝機能障害と血小板低下を合併する症例をしばしば経験するので報告する。【目的】低栄養からの低血糖・肝機能障害・血小板低下を合併する症例の臨床経過を究明すること。【方法】2009 年11月から2015年6月まで当センターに入院となった、低栄養からの低血糖・肝機能障害・血小板低下を合併した5 例の臨床経過を後方視的に検討した。【結果】5 例いずれも女性で神経性食思不振症あるいは摂食障害の既往があった。年齢は15 歳から52 歳、当センター入院時のBody Mass Index は10.2± 0.8(平均±標準偏差)であり、全例意識障害で救急搬送となった。いずれもインスリン使用や糖尿病の既往はなかったが、病院搬入時の血糖値は16.4 ±6.3mg/dl、中性脂肪も10±7.4mg/dlと低値であった。refeeding症候群に注意しながら慎重に栄養を投与した。しかし、入院後数日から2週間ほどでAST/ALT 1726±940/1077±663IU/L、血小板3.58万±4.29万と著明な肝機能障害、血小板低下を認め、投与カロリーの減量や経腸栄養の中断が必要であった。5例中3例が死亡した。【結論】低栄養からの低血糖をきたす症例の、栄養開始にあたってはrefeeding症候群に注意しながら管理することが重要である。加えて、重篤な肝機能障害や血小板低下をきたし、致死的となることがあり、十分に認識することが重要であると示唆された。デジタルポスター 1 栄養管理 2月12日(金) 11:00~12:00 デジタルポスターブース1DP1-2 当院ICUで経験した3 例から重症神経性食思不振症に対する急性期栄養管理戦略を考える1)藤田保健衛生大学 医学部 麻酔・侵襲制御医学講座、2)公立西知多総合病院 集中治療部・麻酔科川治 崇泰1)、原 嘉孝1)、大槻 藍1)、山添 泰佳1)、勝田 賢1)、小松 聖史1)、秋山 正慶2)、内山 壮太1)、柴田 純平1)、西田 修1)重症神経性食思不振症(AN)の管理で最も注意すべき合併症の一つは、refeeding syndrome(RS)であるが、栄養の投与経路や投与量増加の方法など不明な点も多い。当ICUでは一般的な重症患者においては積極的に経「空腸」ENを行っているが、重症ANに対する栄養管理では、今回紹介する重症AN3 例における経験から、ENにこだわらずPN で導入する方針としている。【症例1】18歳女性。BMI 11.7。AN 加療中に肺炎を合併し、全身管理目的でICU入室。経腸栄養(EN)主体で管理を行うも、第32 病日以降、大量の下痢と腸管粘膜の脱落を認め、EN を断念し、経静脈栄養(PN)に変更した。【症例2】4歳女児。88cm、8kg。極度の飢餓でICU入室。第5病日まで挿管下にEN開始に伴うRSが生じないことを確認した。EN増量に伴い難治性の下痢が持続したため、第12病日よりENを断念しPNを主体に切り替え下痢は治まったが、第21病日急激な全身性浮腫と心タンポナーデが出現し心停止となり蘇生を行った。PNによる遅れて生じたRSと考えられた。その後、病態は改善しEN を再開し、経口摂取も進み退室した。【症例3】23歳女性。BMI 10.7。AN加療中、肝・腎機能障害を認めICU 入室。EN は最小限に抑え、代謝モニターを参考にPNで投与量増加した。約30kcal/kg/day まで増量後、排便量に注意し徐々にEN に移行した。【まとめ】重症AN では極度の低栄養により多臓器の機能障害が認められ、消化管の消化・吸収機能も低下している可能性がある。EN での管理は吸収の程度が不明でありRS の発現も時に予測困難である。我々の重症AN に対する栄養管理の概略は下記としているので紹介する。当初より、経空腸ENを開始するが、5%グルコースまたは約5kcal/kg/day を上限にしばらく固定し、投与エネルギー増加はPNで行う。その後、腸管の機能が回復するのを待って、徐々にENに切り替える。単球上HLA-DR 抗原測定、アミノ酸分析、rapid turnover protein測定を定期的に行なう。DP1-3 心臓血管術後患者の術直後における必要カロリーの検討-間接熱量計とHarris-Benedict式との比較-高知大学 医学部 麻酔科学集中治療医学講座田村 貴彦、矢田部 智昭、立岩 浩規、山下 幸一、横山 正尚【緒言】近年、ICUにおける投与カロリーが患者アウトカムに影響を与えるという研究はなされているが、心臓血管術後患者の術直後における必要カロリーについては、未だエビデンスは確立されていない。そこで今回、心臓血管手術術後患者におけるICUでの間接熱量計で測定した必要カロリーとHarris-Benedict式で算出した必要カロリーの比較検討を行った。【方法】2013 年9 月から2015 年3 月までに高知大学医学部附属病院にて心臓血管手術を行った患者を対象とし、18 歳未満、透析患者は除外した。術後ICU にて間接熱量計付人工呼吸器を装着し、間接熱量計で測定した必要カロリーとHarris-Benedict の式で求めた必要カロリー(HBE)との比較検討を行った。呼吸器は従圧式とし,1回換気量の目安は6~10 mL/kg で管理した。鎮静はデクスメデトミジンとプロポフォールで行った。また、血糖値のバラツキを抑えるために全例に人工膵臓を併用し、血糖値が110~180mg/dlとなるようにコントロールした。【結果】対象患者は47 名(年齢73±10 歳、体重55 ±10kg)で検討した。間接熱量計で測定した必要カロリーは1314± 476kcal/day、HBE は1147± 148kcal/day であった。間接熱量計で測定した必要カロリーは、HBEに比べて有意に高かった。(p= 0.02)【結論】心臓血管手術において、間接熱量計で測定した必要カロリーはHarris-Benedict式で求めた必要カロリーに比べて有意に高いことが分かった。