ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-504-O56-1 透析患者の人工心肺手術後における血漿再充填速度(Plasma refilling rate :PRR)についての検討1)東京女子医科大学東医療センター 臨床工学部、2)東京女子医科大学東医療センター 内科、3)東京女子医科大学東医療センター 泌尿器科、4)東京女子医科大学東医療センター 心臓血管外科芝田 正道1)、中山 友子1)、近藤 敦子1)、桧垣 洋平1)、豊見山 真智子1)、廣瀬 沙優里1)、樋口 千恵子2)、小川 哲也2)、中澤 速和3)、中野 清治4)(目的)周術期における透析患者に対する血液浄化の実施は、血管透過性(Vascular permeability)の亢進により血圧が低下しやすく、除水設定が難しく困難であることが多い。今回、人工心肺による心臓手術を実施した維持透析患者の術後の血漿再充填速度(Plasma refilling rate :PLR)に関する検討を行った。(対象・方法)当施設において弁膜症の手術を実施した9症例の維持透析患者。平均年齢70.2 ± 5.2 歳、平均透析歴9.2 ± 8.0 年。これらの患者に対し、術前、術後翌日、術後5~7day の透析実施時にCLIT-LINEモニター(JMS社)を装着し、治療前後の結果から血漿再充填速度(Plasma refilling rate :PLR)を算出し比較した。統計学的検定にはANOVA(一元配置分散分析法)を用いた。(結果)術前、術後翌日、術後5~7dayのPLRは平均8.3±3.1,4.0±1.1,7.1±2.7ml/min であり、術前に比べ術後翌日では有意に低値を示した(p <0.005)。(考察・結語)心臓手術直後のPLR は、術中およびICU入室後より大量のボリュームが負荷されているにもかかわらず(5080± 2037ml)、術前に比較すると低下する傾向を改めて確認することができた。侵襲の大きな手術後では、血管透過性の亢進に伴うサードスペースへ体液が移動するため血管内は容易に脱水状態となる。術後5~7day程度でPLRが術前レベルに戻ってくるため、その間の血液浄化による除水設定は段階的に行い、持続的または間歇的であれば頻回実施、あるいはSLED(sustained low efficiency dialysis:持続低効率血液透析)などが有用と考える。口演 56 腎臓・腎機能・血液浄化② 2月14日(日) 11:00~12:00 第13会場O56-2 CRRT におけるダブルルーメンカテーテル逆接続時の透析効率に関する検討仙台循環器病センター 臨床工学科中村 恵子【目的】CRRT におけるブラッドアクセスとして使用されるダブルルーメンカテーテル(以下、DLC)は、送脱血回路順行性接続において時に脱血不良が起こる。その際、回路を逆行性接続とすると脱血不良が解消されることがある。この時DLCの構造上起こる血液再循環が、CRRTの透析効率に及ぼす影響について検討を行った。【方法】対象は平成25 年1 月~9 月に腎不全に対しCRRT を施行した症例(n=21)。血流量(以下、QB)を80、120ml/min とし、送脱血回路を順行性接続し5 分間循環させた後、体血液、ヘモフィルタ前および後のBUN を測定した。これを逆行性接続でも同様に測定した。次に、順行性および逆行性接続の再循環率とヘモフィルタ前後でのBUNの減少値(以下、Δ BUN)をt 検定を用いて比較検討した。再循環率については日本透析医学会ガイドラインで提唱されている算出式を使用した。【結果】QB80ml/minの再循環率は順行性-6.7±16.6%、逆行性15.6±19.8%(p=0.02)。ΔBUNは順行性6.1±2.2mg/dl、逆行性6.0± 2.2mg/dl(p=0.726)であった。QB120ml/min の再循環率は順行性- 0.77 ± 26.2%、逆行性18.4 ± 34.9%(p=0.178)。Δ BUN は順行性4.1 ± 1.4mg/dl、逆行性3.9 ± 1.5mg/dl(p=0.543)であった。【考察】再循環率はQBに関わらず逆行性で高く、20%程度再循環していた。ΔBUNはQB80、120ml/minともに有意差は認められなかった。これはCRRT で使用できる透析液が上限10ml/min 程度であり、再循環が起きていてもクリアランスを十分上回る血液がヘモフィルタに供給されているためと考えられる。これらのことから、DLC の逆行性接続はCRRTにおける電解質やBUN など低分子領域の透析効率には影響を及ぼさないと思われる。ただし、今回の実験では中~大分子領域への影響は不明である。【結論】CRRTにおけるDLC の逆行性接続による血液再循環は、低分子領域の透析効率には影響を及ぼさない。O56-3 ポンプセグメント径の違いによる長時間流量特性の基礎検討広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科武藏 健裕【目的】持続的濾過透析(CHDF)回路において、血液ポンプ(外径:8mm、内径:5mm)、透析液ポンプ(外径:3.5mm、内径:2.5mm)、補液ポンプ(外径:3.5mm、内径:2.5mm)、ろ液ポンプ(外径:5mm、内径:3.4mm)の4 つのローラーポンプのポンプセグメント径と長時間連続運転が流量特性に及ぼす影響について水系実験にて検討した。【方法】血液浄化用装置(TORAY:TR-525)とCHDF 回路(JUNKEN MEDICAL:多用途血液回路)および37℃に加温した水を用いてプライミングを行った。各流量を血液流量(QB)100、200mL/min、透析液流量(QD)700、2000mL/hr、補液流量(QF)300、2000mL/hr、ろ液流量(QE)1000、2000mL/hr に設定した。脱血回路にクレンメを設置し、脱血圧を開放時、-100、-200mmHgと調整した。運転開始から開始直後、24時間後、48時間後、72時間後に各流量を測定した。各設定条件にてそれぞれ5回ずつ流量を測定した。【結果】QBについては脱血圧の陰圧が強いほど有意に実測流量が減少した。また4つすべての流量(QB、QD、QF、QE)において、連続使用時間の増加、設定流量の増大に伴い実測流量が有意に減少した。ポンプセグメント径の違いでは、径が太いポンプチューブほど有意な実測流量低下が早い時間に発生した。【考察】連続使用時間の増加および設定流量の増大による実測流量低下は、ポンプセグメント部がローラーによって押し潰される回数が増加することで、復元性が劣化したことにより生じたと考えられる。また、ポンプセグメント径が太いポンプチューブでは、細いポンプチューブと比べ実測流量低下が顕著となった。これは、内径が細いチューブほどポンプセグメント部の復元性が維持されたためだと考えられる。太いポンプチューブでは一回駆出量が大きく、回転数は少なく保つことができるが、細いポンプチューブと比べポンプセグメント部の肉厚が厚く、復元性が弱まり易いことが示唆された。