ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-501-O54-4 救急外来コールで対応した患者の急変兆候に関する実態調査旭川赤十字病院 救命救急センター HCU・救急外来小松 麻衣、谷山 吉美、西尾 友子、越智 明子、三上 淳子【はじめに】 A 病院救命救急センターでは、平成22 年から救急ケア実践力の向上を目指し、救急外来(以下、救外)看護師が急変場所に出動する急変時出動要請システム「救外コール」を導入している。心肺停止患者は6~8 時間前に急変兆候があると言われているが、A 病院の実態はわかっていなかった。今回、「救外コール」患者に対して実態調査を行ない、急変兆候の有無を明らかにし、今後の課題を明確にすることを目的とした。【方法】 対象:平成25・26 年度の「救外コール」に対応した入院患者の看護記録25 例 方法:医療安全全国共同行動6と聖マリアンナ医科大学病院の「RRS起動基準1、2」を用いて調査し、単純集計し た。【倫理的配慮】 本研究はA 病院の倫理委員会の承諾を得て実施した。【結果】 救外コールの割合は、一般病棟が84%で夜間帯に多くみられた。対象の平均年齢は74.8歳で、急変兆候がみられたのは84%であった。また、入院後3日以内での急変が44%であった。急変兆侯がみられたのは、平均12時間前で呼吸器系、循環器系、神経系の順で多かった。呼吸器系の内訳は、SpO2低下が最も多く、呼吸回数の異常は少なかった。その理由は記録上読み取ることができなかった。【考察】 本研究では、平均12時間前に急変兆候がみられ、高齢者の急変が多いことがわかった。このことから加齢に伴う変化を踏まえた観察をし、異常の早期発見につなげることが重要であると考える。兆候としてSpO2低下が最も多かったが、これは重症化が進んだ時に現れるといわれている。一方、呼吸回数の異常は初期段階に現れる兆候であるが記録は少なかった。早期に急変兆候を発見するには、SpO2 の数値だけでなく、普段から視診で呼吸回数や呼吸状態を観察し記録することを習慣づける必要がある。今後は、救外コールの症例から急変兆候を共有し、アセスメント能力向上にむけた教育が必要である。O54-5 Modified Early Warning Scoring(MEWS)が4 点以上で急変した入院患者背景の検討潤和会記念病院,看護部伊東 裕貴、池田 沙穂、井好 昭博、山本 直美【はじめに】Modified Early Warning Scoring(MEWS)は,体温,脈拍数,呼吸数,収縮期血圧,意識レベル,2 時間尿量の6 項目からなり急変予測に有用とされている.当院では平成25年よりMEWSを用い,先行研究でMEWS4点以上の患者は,34% が急変したことを明らかにした.MEWSが4 点以上で,急変した患者と急変しなかった患者の背景を調べ,MEWS の項目以外に要因があるかどうかを調べた.【対象】平成25 年11 月1 日~平成26 年4 月30 日で,ICU と緩和ケアを除く入院患者2073人のうち,MEWS4 点以上の患者140 人(男性:96人 女性:44 人,平均年齢:74.7歳)を対象とした.【方法】後方視的研究を行った.対象の1.BMI,2.飲酒歴,3. 喫煙歴,4. 既往歴(高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、膠原病、心不全、呼吸器疾患),5. 年齢,6. 転帰を調べた.「急変あり」は,主に呼吸状態の悪化や血圧の低下などの急な状態変化,または癌末期患者以外の心肺停止患者とした.「急変あり」と「急変なし」の2群間で上記1.~6.を比較した.統計学的検討はχ二乗検定,t検定,マン・ホイットニ検定で,p<0.05 で有意差ありとした.【結果】140 人中,急変あり:47 人と急変なし:93人だった.急変患者は34% だった.1.BMI を18.5 未満(低体重),18.5以上25.0未満(普通体重),25.0以上(肥満)に分けた.有意差はなかった.2.飲酒歴と3.喫煙歴ともに有意差はなかった.4.既往歴が単独:7群,2つ重複している:21群は,全ての群で有意差はなかった.また,上記7項目の既往歴を有している数別(0~4 個)で比較した結果も有意差はなかった.5.年齢を65歳未満,65歳以上75歳未満,75歳以上に分けて比較したが有意差はなかった.6.MEWS4点以上で急変した47人のうち35人(74%)が死亡した.【考察】本研究で比較した全ての要因で有意差がなかった.以上より,患者の急変予測はMEWS:4 点以上であれば,その他の要因を考慮しなくても,MEWSのみで急変予測が可能であると考えた.O54-6 救命救急センター看護師の急変を未然に防ぐ為の気づき・報告過程の考察岩手県立大船渡病院 救命救急センター黄川田 幸子、小野寺 淳、平山 奈保美、佐藤 博文【目的】我が国の医療施設における蘇生処置が必要な院内CPAは0.4~0.7% であり、内66~70% で急変前の6~8 時間以内に何らかの徴候があると言われている。予防としてMEWSの有用性、効果的な伝達方法としてSBARなどのRRS が推奨され始めた。当院でもSBAR を勧めてきたがCPAは0.51%起きていた。そこで看護師の気づきから報告までの過程を調査し、急変を未然に防ぐ為に不足している部分を明確化し方向性を見いだしたいと考えた。【対象】H24.9~26.12 に起きた有害事象のCPA13 症例【方法】記録より急変の8時間前~MEWS で点数化し、看護師の気づき、報告の有無など9 項目を抽出。その結果から急変を未然に防ぐ為に不足しているものを考察。【結果】MEWS5点以上A群:7件と5 点未満B群:6件に分けられた。B群は全て不整脈と心血管イベントであった。看護師の気づきは13 症例中9 件でバイタルサインなど複数の情報を記載していたが、アセスメントの記載があったのは4 件のみ。報告は5件あり、内3件は医師が診察・医療処置を行い、A 群の2 件では繰り返し報告と追加医療処置が施された。その他報告はないが予測指示で医療処置が実施されたものが2件。しかしA 群全ての症例で5点未満に安定せずCPAに至った。医師への提案は1件。尚、A群の内5件は5点以上のまま次の勤務者に交代された。【考察】急変前に何らかの徴候/状況に気づき、複数の情報を背景として捉えている事が分かった。しかし医師への報告やアセスメント記載が少ない事から、気づきをキラーシンプトムとして捉えていない事が推測できた。交代前の勤務者がそのまま看ていたという先入観が加わり、アセスメントを鈍らせる要因になると考察した。報告されたとしてもアセスメントと提案が不足している為、医師に報告の本質が伝わらず診察や医療処置が施されないと考える。今後看護師のアセスメントや医師との共通認識ツールとしてMEWS 導入を進め、急変を未然に防ぐ手立てとしていきたい