ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-500-O54-1 Rapid Response System開始後の院内死亡患者の推移と予期せぬ死亡患者の内容分析大阪市立総合医療センター松下 千紘、上田 小百合、川口 なぎさ、木村 千穂、松村 京子、宮原 聡子、有元 秀樹、奥村 将年、重光 胤明、師岡 誉也【目的】多くの病院で院内救急対応システム(Rapid Response System以下RRS)が導入され、患者の突然の心停止や死亡を防ぐことが期待されている。当院でも2012年からRRS を立ち上げ活動を開始しており、活動評価の一つとして院内の予期せぬ死亡患者の推移を追ってきた。今回、これらの内容分析をすることで、患者の予期せぬ死亡を防ぐための新たな介入を検討する機会としたい。【方法】2013年4月1日から2015年3月31日までに予期せぬ死亡として死亡退院した患者57 名のうち、13才未満の小児患者3名および、外泊中の急変患者1名を除く53 名。予期せぬ死亡患者とは、救急専門医および集中治療専門医3名による判定の結果、2名以上が予期せぬ死亡であると判断した患者とする。予期せぬ死亡と判断された患者の年齢・性別・診療科・病棟、急変日時・手術の有無・RRS起動の有無・急変前後の診療記録・看護記録・バイタルサインの経過を診療録から情報を得て、分析する。【倫理的配慮】当院の研究倫理委員会の承諾を得た。【結果】退院1000 人当たりの予期せぬ死亡数は2013 年度1.42 人、2014年度1.10人であった。予期せぬ死亡患者の内訳は、外科:25 人(46.3%)、内科:24 人(44.4%)、その他5 人(9.3%)であった。急変時間帯は平日:37 人(69.8%)、休日:16 人(30.2%)であった。急変前、24 時間以内にバイタルサインの変動や状態悪化の兆候が記録されていたのは、40 人(75.4%)であった。【結論】バイタルサインの異常や、状態悪化の兆候が記録されているにも関わらず、RRSの起動がなく急変に至った事例があり、予期せぬ死亡患者アウトカムの改善には、これらの事例への介入が必要である。また、症状が遷延することにより、介入のタイミングが困難となっている事例もあり、RRS起動基準のさらなる周知が必要である。口演 54 Rapid Response Team・院内急変② 2月14日(日) 11:00~12:00 第11会場O54-2 当院救急部門におけるRRS 導入によるコード状況の変化についての考察1)神戸市立医療センター中央市民病院 看護部 救急病棟・救急外来、2)神戸市立医療センター中央市民病院 看護部 医療安全管理室、3)神戸市立医療センター中央市民病院 総合診療科、4)神戸市立医療センター中央市民病院 救急救命センター 救急部高岡 宏一1)、山口 優1)、奥田 有紀1)、高尾 佳美1)、利川 亜弥1)、井出 絹代1)、稲岡 佳子2)、亀井 博紀3)、瀬尾 龍太郎4)【はじめに】当院では2012 年9 月より急変の多い救急病棟で安全に患者管理を行うために、患者急変(もしくはその懸念)があった際には、主治医とともにMET(Medical Emergency Team)医を呼ぶことができるRapid Response System(RRS)が整備された。RRSは急変対応という側面のみならず、不適切な患者のコード状況(急変時処置の意思決定)を変更しうるという効果も期待されている。【目的】RRS導入による予期せぬICU入室患者のコード状況に与える影響について検討する。【方法】2011年7月1日から2012年8月31日(14か月間)をRRS 導入前2012 年9月1日から2015年3 月31日(33 か月間)を導入後とし、救急病棟から予定外にICU 入室した患者を調査対象とした。さらに、調査対象のコード状況の変化について後方視的に検討した。統計手法としてFisherの正確検定を用いた。【結果】RRS導入前の救急病棟からICUへの入室数は77例、導入後は162例であり、そのうち予定手術後の入室などを除いた予定外入室数は導入前45例(58%)、導入後92 例(57%)であった。RRS 導入前後でICU入室率に有意差はなかった(p=0.889)。ICU入室後にコード状況の変化があったものは導入前9例(20%)、導入後は51例(56%)と、有意に増加がみられた(p < 0.0001)。【考察】今回の調査では、RRS導入によるICU 入室率の変化は見られなかった。しかし、導入前後でのコード状況の変更が増加することが明らかになった。MET医が早期介入することによって、主治医と今後の方針を検討する機会を持つことに繋がった理由ことがの一つに挙げられた。また、コード状況が未定、もしくは不適切であった事例に対してMET 医が介入し、急変時の方針について話し合いを持つことで、患者家族に寄り添った医療の提供につながり、コード状況が変化する症例が多くなったとも考えられた。【結語】今回の研究でRRSの導入は、患者にとっての適切なコードを考える機会になることが示唆された。O54-3 一般病棟からICU へ緊急入室した患者の臨床転帰の検討1)彦根市立病院 ICU CCU病棟、2)彦根市立病院 循環器科中村 紀子1)、佐伯 公亮1)、池田 智之2)、中野 顯1,2)【目的】Rapid Response System(以下RRS)の目的は,病棟での急変患者の早期発見と適切な対応である. 当院では, 平成27 年4月よりRRSを開始したが,RRS開始以前のICUへ緊急入室した患者の臨床転帰を明らかにすることが当院に適したRRSの構築に有用と考え, 検討を行った.【方法】平成24 年から26 年度のICU 入室患者1642 名を調査対象とした.ICU入室を救急外来からの入室(ER 群), 病棟からの予定入室(病棟予定群),病棟からの緊急入室(病棟緊急群)の3群に分けて,転帰と治療日数を比較した.また,病棟緊急群を対象に,ICU入室までに要した時間を調査した.【結果】病棟緊急群は,ER 群や病棟予定群と比べ予後は悪く(死亡退院率 ER群19.7%, 病棟予定群2.5%,病棟緊急群27.8%),治療日数も長かった(平均入院日数 ER 群30.6日,病棟予定群35.6日, 病棟緊急群46.9 日). バイタルサインの異常の発見から入室までの時間は平均869分, 中央値402分であった.入室までの時間が長い群(上側4分位以上)とそれ以外を比較すると, 有意に死亡率が高く(67% vs 32%,p=0.002), 平均入院日数も長い傾向であった(73.8 日vs 54.5 日,p=0.13). 病棟緊急群における最初に記載されていた異常バイタルサインは,SpO2 低下,sBP 低下, 意識レベル低下の順に多く, 早期に異常を示すと考えられる呼吸数は3.1% に過ぎなかったが, 測定率は6.1%と明らかに少なかった.「治療中以外の疾患の悪化した群」では「治療中である疾患の悪化した群」と比べると,ICU 入室までの平均時間が長い傾向であった(1106時間vs786時間, p=0.13).【結語】病棟緊急群の臨床転帰は不良であった. また,ICU 入室までの時間経過が長い群の予後も不良であった. また状態が悪化した患者でも呼吸数測定が十分行われていなかった.RRSの導入により, 病態が悪化した患者をICUへ速やかに移動できるシステム作りとともに, 早期発見のために呼吸数を含めた適切なバイタルサインの測定を教育する必要があると考える.