ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-499-O53-4 オープンフェースマスクと酸素療法デバイスの吸入気酸素濃度の比較1)順天堂大学医学部附属浦安病院 臨床工学室、2)順天堂大学医学部附属浦安病院 麻酔科細谷 裕一1)、山本 信章1)、渡部 雄介1)、斉藤 航1)、秋山 泰利1)、神山 洋一郎1,2)、神山 具也2)、渡部 晃士2)【目的】酸素療法の新たなデバイスとしてオープン型酸素マスクが発売され、施設によっては一般的な簡易マスクやリザーバーマスクを撤廃しオープン型酸素マスクを使用している所もあるようだ。しかし、オープン型酸素マスクと酸素療法デバイスの吸入気酸素濃度を比較した文献は少ない。そこで我々は昨年行われた第42 回当学術集会においてオープン型酸素マスクの有用性を発表したが、更に一般的な簡易マスクとリザーバーマスクも加え、吸入気酸素濃度を新たに測定し比較したので報告する。【方法】Laerdal 社製気道管理トレーナーの顔部分にマスクを装着し、自発呼吸シミュレートとして人工呼吸器にDrager 社製Evita XL、モデル肺にIMG 社製TTL1600を用いて気道部の吸入気酸素濃度をGE ヘルスケア社製「S/5」患者モニターで測定した。呼吸回数(10,15,20回)と一回換気量(300,400,500,600,700mL)を変化させ、各呼吸回数と一回換気量に対してマスクの酸素流量を5,7,10,15,20L/minとし吸入気酸素濃度を測定した。【結果】呼吸回数10,15回の場合、酸素流量5~10L/minではオープンフェースマスク、酸素流量10L/min 以上ではリザーバーマスクが高い吸入気酸素濃度の値を示した。一方、呼吸回数20回の場合、全ての条件においてオープンフェースマスクが高い吸入気酸素濃度を示した。また、酸素流量20L/minかつ自発吸気flowが20L/min以上となる条件での吸入気酸素濃度を比較した場合、一般的な簡易マスクとリザーバーマスクでは60% 以下であったが、オープンフェースマスクでは60~65%の値が得られた。【結語】オープンフェースマスクは自発吸気flowに合わせて酸素流量を調節することで低濃度から高濃度までの吸入気酸素濃度を得ることが可能であり、その他の酸素療法デバイスと同等もしくはそれ以上の吸入気酸素濃度の提供が期待できる。O53-5 モイストラップF 人工鼻(泉工医科工業製)の48 時間使用における安全性1)愛知厚生連 江南厚生病院 臨床工学技術科、2)愛知厚生連 江南厚生病院 集中治療部吉野 智哉1)、堀尾 福雄1)、山本 康裕2)【はじめに】現在当院では人工鼻としてモイストラップFTM(泉工医科工業製)を使用しているが、この製品の取り扱い説明書には「24 時間を超えて使用しないこと」との記載がある。しかしその明確な根拠はない。CDC ガイドラインでは、人工鼻は48 時間より頻回に定期交換することを推奨しないとしている。我々はモイストラップFTMの48 時間交換の安全性を検証した。【方法】加湿性能:泉工医科工業製の試験装置を用いて、モイストラップFTMのISO規格に準拠した水分損失試験を24時間と48時間行い、それぞれを比較した。(n=4)流量抵抗:48 時間の水分損失試験終了直後のモイストラップFTM をISO 規定に準拠した配管を用いて圧力損失値を測定し、使用前の値と比較した。(n=4)バクテリアフィルター性能:48時間使用による加湿性能と流量抵抗に臨床使用上の問題がないことを確認後、人工呼吸中の症例においてモイストラップFTM を48 時間使用し、モイストラップFTM の吸気側と呼気側の細菌培養を行った。(n=10)【結果】加湿性能:24時間の水分損失量;6.3±0.29mg/L 48時間の水分損失量;6.0± 0.28 mg/L 流量抵抗:使用前の流量抵抗;2.2 ± 0.25hPa 48 時間使用後の流量抵抗;2.3 ± 0.20hPa バクテリアフィルター性能:48時間使用後のモイストラップFTMの患者側からはすべて細菌が検出されたが人工呼吸器側から菌は検出されなかった。【考察】モイストラップFTMは、24 時間使用と比べ48時間使用しても加湿性能劣化や流量抵抗上昇はみられず、またバクテリアフィルター機能も48 時間維持されていた。従ってモイストラップFTMは48時間の定期交換でも性能面では安全に使用できるものと考える。しかし24時間以内であっても気道分泌物付着による流量抵抗上昇や閉塞の可能性はあり、慎重な観察の元に使用することは必要である。O53-6 人工鼻用バクテリアフィルターのハウジング内位置による重量・流量抵抗への影響についての実験的検討1)大阪府立 急性期・総合医療センター 麻酔科、2)大阪府立 急性期・総合医療センター 医療情報部富田 敏司1)、平尾 収1)、山下 健次1)、西村 信哉1)、森 隆比古2)【背景】人工鼻フィルター(Heat and Moisture Exchanger Filter: HMEF)はフィルター機能から静電気式と機械式に分類できる。静電気式の多くは器械側にフィルター、患者側に人工鼻がある構造となっている。我々はフィルターが患者側にある構造では、フィルターにより呼気中の熱の減少および膜の疎水性から人工鼻への水分・熱の供給に影響を及ぼすことを報告した。今回、フィルターの位置がHMEF の重量・流量抵抗に及ぼす影響について検討した。【方法】Clear-Therm 3 1541(Intersurgical)を対象とした。このHMEFは、フィルター:患者側、人工鼻(フォーム):器械側にある。180 度回転させてフィルター:器械側、人工鼻:患者側にした場合との2通りについて試験を行なった。モデル肺は一方弁・テスト肺・加温加湿器・熱線付き回路から構成されている。呼気ガスがHMEFへ入る時の温度は、33℃になるように温湿度計(Moiscope、スカイネット)を見ながら加温加湿器(VH-3000、VADI Medical Technology)を調節した。人工呼吸器(Monnal T60、Air Liquide Medical Systems)の設定はSIMV、一回換気量は600 ml、呼吸回数は15回/分とした。6時間後、重量・流量抵抗(60L/min)を測定した(N=6)。統計処理はt検定、p<0.05を有意差ありとした。【結果】試験前の重量・流量抵抗は2通り共に約30g・2.24cmH20/L/sec であった。6時間後の重量・流量抵抗はフィルターが患者側では、32.9± 0.9g・2.53 ± 0.12cmH20/L/secであった。一方、フィルターが器械側では30.6 ± 0.6g・2.32 ±O.13cmH20/L/secであった。フィルターの位置により重量で有意差が見られ、流量抵抗では見られなかった。【考察】対象品は軽量で流量抵抗が低いフォームである。しかし、今回の試験よりフィルターが患者側にある場合には重量が増加しており、長時間使用すると流量抵抗も高くなる傾向と考えられる。【結語】人工鼻用バクテリアフィルターは器械側にある方が良い。