ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-488-O48-1 甲状腺クリーゼ、心室細動に対してVA ECMOおよび血漿交換療法を用いて救命した1 例松戸市立病院 救命救急センター漆畑 直、千田 篤、遠藤 英樹、庄古 知久症例は53歳男性。経済的理由で通院歴なく既往歴は不明であった。某年某日職場で呼吸苦を主訴に救急要請し、救急隊接触時ショックバイタルであった。来院時意識レベルE4V1M4、血圧測定不能、心拍数200回/分以上、SpO2測定不能であった。身体所見では全身浮腫著明、心エコーで著明な心機能低下あり、重症心不全と診断し人工呼吸器管理とした。救急外来で除細動施行したところ脈拍100回/分程度まで改善し、その後は抗不整脈薬を開始しカテコラミンも用いながら循環動態を維持した。入院後の血液検査で甲状腺機能亢進あり、甲状腺クリーゼによる頻脈性不整脈、心不全と診断した。ステロイド・抗甲状腺薬・ヨード化カリウムなどで加療開始し循環動態は一時的に軽快したが、DICやビリルビン上昇など臓器不全傾向も認められた。第3 病日に突然心肺停止状態に至り、心室頻拍および心室細動を認めたためVA ECMOを導入した。心肺停止の原因として甲状腺クリーゼの病勢コントロール不良が考えられ、血漿交換療法を導入する方針とした。血漿交換および透析療法を導入したところ、甲状腺ホルモンは正常化し、また徐々に致死的不整脈も消退し、頻脈、心不全兆候も改善傾向を認めた。その後VA ECMOおよび人工呼吸器を離脱することができ、全身状態は改善を認めた。リハビリを経て第54病日に自宅退院となった。血漿交換療法を用いて救命に至った甲状腺クリーゼを経験したため若干の文献的考察を交えて報告する。口演 48 内分泌・代謝・免疫 2月14日(日) 11:00~12:00 第5会場O48-2 当院に搬送され特発性縦隔気腫と診断された3 例の検討東京大学医学部附属病院 救急部集中治療部平山 一郎、比留間 孝広、吉本 広平、山本 幸、上田 吉宏、松原 全宏、土井 研人、石井 健、中島 勧、矢作 直樹【はじめに】縦隔気腫の原因として医原性、術後、外傷が挙げられるが、明らかな原因がなく縦隔に空気の貯留を認めた場合、特発性縦隔気腫と診断される。救急搬送後、原因検索の結果、明らかな原因なく縦隔気腫を伴っていた症例を3例経験したので報告する。【症例1】67 歳男性。搬送10 日前から食欲不振のため搬送2 日前に近医を受診したが自宅経過観察となっていた。その後歩行困難となり救急搬送された。来院時、飢餓による脱水、腎不全および横紋筋融解症を認めていた。画像で縦隔気腫を認めたが、脱水の補正と栄養状態の改善に伴い消失した。【症例2】78歳男性。搬送3 日前から姿を見せず、床で倒れているのを発見され救急搬送された。来院時、意識障害GCS 11(E3V3M5)であったが、その原因として敗血症、高血糖性高浸透圧昏睡が考えられた。こちらも画像で縦隔気腫を認めたが、抗菌薬治療、血糖および意識の改善に伴い消失した。【症例3】48歳男性。統合失調症の既往のある患者。搬送7日前から食欲不振で数日間飲水のみの生活であった。来院時の血清Na値は103 mmol/lと低Na 血症を認めたが、画像で縦隔気腫を伴っていた。低Na血症の原因として摂取不足と水希釈が考えられたが、低Na血症の補正に伴い縦隔気腫も消失した。【考察】いずれの症例も代謝性アシドーシスを認めており、全身状態の改善とともに縦隔気腫は自然消失した。糖尿病性ケトアシドーシスに縦隔気腫を合併した疾患は特発性縦隔気腫のなかでもHamman症候群と呼ばれている。症例1は飢餓によるケトン体陽性でケトアシドーシスを認めており、症例2、3 は高血糖を伴う代謝性アシドーシスであった。いずれもHamman症候群の病態に類似した状態であったことが推測される。特発性縦隔気腫と診断されたこれら3例を通して、特発性縦隔気腫の特徴や発生機序について文献的考察を加え報告する。O48-3 マクロファージ活性化症候群を合併し,多臓器不全に至った成人発症Still 病の一症例久留米大学病院 高度救命救急センター中西 未来、田代 恵太、神戸 賢利、吉山 直政、下条 芳秀、高松 学文、長井 孝二郎、高須 修、山下 典雄、坂本 照夫成人発症Still病(以下AOSD)は,全身型若年性特発性関節炎(Still病)が16歳以降に発症した原因不明の疾患である。今回,我々はマクロファージ活性化症候群(以下MAS)と播種性血管内凝固症候群(以下DIC)を合併し,多臓器不全(以下MOF)を生じたAOSDを経験したので報告する。【症例】39歳女性【既往歴】2型糖尿病,高血圧【現病歴】1 病日に発熱し近医を受診。抗菌薬を処方されたが解熱せず,咽頭痛・関節痛・皮疹が出現し10 病日に前医入院。AOSDの診断基準を満たし,ステロイド治療を検討されていた。21 病日に下痢,乏尿が出現し,23 病日より無尿となった。24 病日に血小板低下,肝酵素とBUN・Cr が上昇。25 病日にDICと診断され,精査加療を目的に当センターに転院搬送となった。【経過】搬入時,DIC score 8 点,APACHE 2 score 26 点。肝脾腫,LDH・フェリチンの上昇を認め,骨髄穿刺によりMAS と診断した。高サイトカイン血症(IL-6 2497pg/ml)と無尿に対しPMMA 膜を用いた持続的血液濾過透析(以下CHDF)を行い、DIC に対してAT-3 製剤・トロンボモデュリン投与を開始した。CHDF 開始12 時間後にはIL-6 753pg/ml まで低下し,CHDF は26病日で終了し以後は透析に移行した。27病日から3日間のステロイドパルス療法のあと,プレドニゾロン(以下PSL)での後療法を継続。一旦,関節痛・皮疹は消失し検査所見も改善したが,PSLの減量中に再び症状増悪,MASの悪化を認め、44病日から免疫抑制剤(シクロスポリン)を併用した。37病日以降自尿が増加し43 病日で透析を終了。52病日にICUを退出した。【考察】本症例は,AOSDを基礎疾患とし,解熱鎮痛剤や感染を契機にMAS,高炎症性サイトカイン血症を来たし,DIC,MOFに至ったと考えられた。高サイトカイン血症,DIC,AKI に対する集中治療に加え,免疫抑制剤が奏功した。