ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-484-O46-1 特殊診療部門における院内急変シミュレーションの現状岡山大学病院 高度救命救急センター佐藤 圭路、湯本 哲也、飯田 淳義、塚原 紘平、松尾 瑞恵、山川 泰明、芝 直基、寺戸 通久、山内 英雄、鵜川 豊世武当院では、2004年8 月から院内急変シミュレーションを各病棟、部署毎に実施してきた。これは当該部署のスタッフに対し、具体的状況を付与し、通報、応援依頼、救命処置に到る一連の流れを経験するもので、蘇生知識やスキルの維持、チーム蘇生を経験し、医療安全管理部員及び高度救命救急センター医師による事後検証とフィードバック、アンケートを行ものである。今回、2007年度から2013 年度にわたり、中央検査部、血液浄化部、放射線部、外来など病棟以外の特殊診療部門でのシミュレーションの実施状況と今後の課題につき報告する。上記施設では、看護師だけではなく放射線技師や検査技師、臨床工学士、事務職員などが急変時対応の矢面に立つことも多い。そのため、シナリオも他職種が参加しやすいものを作成し、シミュレーションにおいても単なる医学的知識の羅列回避し、参加しやすい環境設定や、事後のフィードバックもこれら職種のモチベーションが維持されるよう工夫している。当初は看護師のみの参加である場合が多かったが、当該部門の多職種が参加するようになってきた。さらに、これらの職種の各種心肺蘇生講習会への参加は年々増加傾向にあり、心肺蘇生の指導者となるスタッフも増えてきている。一方、院内急変時に対応に赴く救急科麻酔科などの応援スタッフは、これら部署の設備や特有の状況や到達経路などの情報を基に事前に共有でき、実際の院内急変対応時の救急処置に非常に役立つと思われた。これらから院内急変事案に対する職員のモチベーションの維持はできているものと思われた。また知識やスキルの習得と同様に、安全意識をシミュレーションで啓蒙することが重要と考えられた。口演 46 教育・専門医・医療経済 2月14日(日) 11:00~12:00 第3会場O46-2 交差法と平行法を併用した新しい超音波ガイド下中心静脈穿刺についての検討:シミュレーターを用いて国立病院機構京都医療センター 救命救急科竹下 淳、藤野 光洋、狩野 謙一、浜崎 幹久、岡田 信長、大木 伸吾、藤井 雅士、田中 博之、別府 賢、志馬 伸朗【目的】中心静脈カテーテル(CVC)挿入は、麻酔・救急・集中治療領域で必須の手技である。右内頸静脈が選択されることが多く、合併症や成功率の点から超音波ガイド下穿刺が普及している。交差法と平行法があり、交差法では針の進む方向と血管の位置関係はわかりやすいが、正確な針先を見失って合併症を起こす可能性がある。平行法は針全体を線として描出できるため、真の意味でのリアルタイム穿刺と言えるが、技術的に難しい。研修医等に指導する場合、交差法が選択されることが多いと思われるが、針の深さに確証が持てないため指導する側も不安を感じながら施行させることが多い。今回我々は、交差法と平行法を併用して互いの欠点を補う新しい穿刺法(交差平行法)について考案し、その有用性について検討した。【方法】初期研修医20 人を無作為に10 人ずつの2群に分け、CVC穿刺挿入シミュレーターを用いて、一方の群では交差法の後に交差平行法を行い、もう一方の群では交差平行法の後に交差法を行った。交差法では、血管の短軸像を描出してプローブに対して垂直に穿刺し、穿刺針を標的血管に誘導した。交差平行法では、交差法で穿刺開始し、針先を皮膚と血管前壁の間に描出させた後にプローブを90°回転させ、穿刺針全体が長軸像で描出されたら、その状態を維持したまま平行法と同じように穿刺針を標的血管に誘導した。両方法共に、ガイドワイヤー(GW)挿入後に指導医が超音波にて血管内にGWを確認できた場合に穿刺成功とした。血管を貫く瞬間に超音波画像上で針先が確認でき、かつ後壁貫通せずに穿刺成功するかどうかを記録した。【結果および結語】穿刺成功率は、交差法30%(20 例中6 例)に対し、交差平行法90%(20 例中18 例)と有意に高かった(P < 0.001)。交差平行法は、初期研修医などのCVC挿入に不慣れな医師に指導して施行させるのに適した穿刺法である。O46-3 ICU 専従医配置前後の心臓血管外科術後患者管理の変化1)埼玉医科大学 国際医療センター 集中治療科、2)横浜市立みなと赤十字病院 集中治療科佐伯 有香1)、武居 哲洋2)、古田島 太1)、磨田 裕1)、北村 晶1)【はじめに】当院で年間500件以上施行される心臓血管外科術後管理は、近年まで外科医が自ら行ってきた。2014年9月よりICU専従医が3名配置されたため、配置前後の患者管理に関わる数値の変化を比較検討した。【方法】2014年および2015年の1ヶ月間に予定心臓手術後にICUに入室した症例の人工呼吸日数、経腸栄養・リハビリテーション開始までの日数、ICU滞在日数、28 日死亡を比較した。さらに、2014 年および2015 年の1 月から6 月の半年間に急性大動脈解離に対して緊急手術を施行した症例についても同様の比較検討を行った。【結果】予定心臓手術は、2014 年および2015年6 月にそれぞれ52 例および51 例施行され、両群間の患者背景に有意差はなかった。両群間で人工呼吸日数、ICU 滞在日数、28日死亡に有意差は認めなかったが、経腸栄養開始までの日数(以下中央値)(2 日vs.1 日、p <0.001)、リハビリテーション開始までの日数(1 日vs.1 日、p=0.02)は2015 年には有意に短縮した。大動脈解離緊急手術症例は、2014年および2015 年1 月から6 月までに各々18例ずつ施行され、両群間の患者背景に有意差は認めなかった。28 日死亡には両群間で有意差を認めなかったが、人工呼吸日数(6日vs.2日、p<0.001)、経腸栄養開始までの日数(7 日vs.2 日、p < 0.001)、リハビリテーション開始までの日数(6 日vs.2 日、p < 0.001)、ICU 滞在日数(9.5 日vs.6 日、p=0.001)は、2015年には有意に短縮した。【結語】ICU専従医配置後に、心臓血管外科術後の経腸栄養およびリハビリテーション開始までの日数が短縮した。とくに大動脈解離の緊急手術においては、人工呼吸日数およびICU滞在日数も含め著明に短縮した。専従医配置前後で死亡率に変化を認めなかった。