ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-483-O45-4 PICUにおける終末期ケアの実践 ~グリーフカンファレンスに焦点を当てて~沖縄県立南部医療センター・こども医療センター PICU新垣 奈津子集中治療の発展により、多くの小児重症患者が治癒・回復できるようになった。その一方で回復が見込めず終末期を迎える患者、急な事故により、突然命を失う患者も存在する。そのような状況におかれる患者・家族の思いは計り知れない。近年、学術集会でシンポジウムが行われ、集中治療における終末期に関するガイドラインの公表など、小児の終末期医療への関心と重要性が高まっている。 当院PICUにおいても、主治医・看護師・臨床心理士・MSW・CLS・その他職種が小児の終末期ケアに関わっている。しかし、終末期ケアに関わるスタッフの迷いや想いを受け止める場がなく、行ったケアの振り返りや、課題を集約できる場が十分にできないため、効果的に問題解決できないでいた。そこで、2014 年5月より「スタッフのグリーフケア」と「終末期ケアの振り返り」を目的に「PICUグリーフカンファレンス」を開催した。カンファレンスは関わった全職員が参加し、PICUにて看取りを行った全症例に対し行った。看取った患児の経過や家族の反応などまとめ、その時の各スタッフの想いや感じたことを自由に述べてもらうようにしている。カンファレンスの内容は倫理的な問題、各職種間考え方の相違点など、様々なことを情報共有できる場となっている。 グリーフカンファレンスを行うことでPICU における終末期ケアの各職種の方向性が統一され、課題も明確となった。それにより、「家族イベントの開催」「患児の兄弟支援」「記念品の作成」「遺族へのグリーフカードの送付」「日々のカンファレンスの開催」など今までよりも各職種が協働し効果的に行えるようになった。PICU で看取りを行うことの重要性と使命感を感じながら、その子らしく最期を迎えるとはどういうことなのか、家族に寄り添うことの意義を追求している。PICUにおいてグリーフカンファレンスを行うことでの組織の変化や、今後の小児終末期看護の示唆を得たので報告する。O45-5 集中治療において終末期患者家族が捉える「望ましい最期」に関する探索的研究1)小倉記念病院、2)山口大学、3)福岡大学病院、4)西南女学院大学、5)山口大学医学部附属病院立野 淳子1)、山勢 博彰2)、山本 小奈美2)、久間 朝子3)、西村 祐枝4)、田戸 朝美2)、藤本 理恵5)【目的】集中治療室で終末期と判断された患者の家族が認識する「望ましい最期」を明らかにすること【方法】対象者:調査対象施設(5施設)の集中治療部門に入室し、終末期と判断された患者の家族。調査期間:平成25年11月~平成26年12月。データ収集方法:研究者らが、終末期患者家族との日々の関わりの中で、インタビューガイドを参考に、「望ましい最期」に関する聞き取りを実施した。家族の語りは、看護記録として残しデータとした。分析方法:家族の語りのうち、「望ましい最期」が語られた部分を抽出しコード化した。次に、類似性の観点からカテゴリーに分類した。倫理的配慮:研究代表者が所属する施設の倫理審査委員会で承認を得た後、調査対象施設の倫理審査委員会に申請、承認を得た。患者家族には、各施設の研究者が、研究の目的、趣旨および倫理的配慮について説明し、口頭同意を得た。【結果】家族の語った「望ましい最期」に関する記述を抽出した結果、42のコードから10 カテゴリーを生成した。集中治療室で終末期を迎えた患者家族が認識する「望ましい最期」とは、「コミュニケーションがとれること」、「苦しみがないこと」、「外観が変わらないこと」、「最期までお世話ができること」、「これ以上本人を苦しめる治療はしないこと」、「延命処置に関する本人の意向を尊重すること」、「大切な人に会えること」、「傍にいれること」、「体に触れることができること」、「医療者に大切に扱われること」であった。【考察】これまで、集中治療領域で終末期を迎えた患者家族の認識する「望ましい最期」をリアルタイムに調査した研究は皆無である。本研究により、大切な家族員の終末期に直面している家族が考える「望ましい最期」が明らかになったことは、終末期ケアの質の指標として貴重な資料になると考えられる。O45-6 集中治療室における終末期患者に対する治療方針の認識とDNAR 指示の捉え方の違い-医師と看護師の比較-1)山形県立救命救急センター 看護部 HCU、2)山形県立救命救急センター 救急科板花 昇1)、齋藤 真実子1)、菅井 恵1)、山田 尚弘2)【目的】本研究は、集中治療室に勤務する医師と看護師間での、終末期患者に対する治療方針の認識とDNAR指示に対する捉え方の違いを明らかにすることである。【方法】A 病院救命救急センターに勤務する医師22 名と、HCU 病棟看護師28 名を対象に質問紙調査を行った。本研究はA 病院看護研究委員会の承認を得て実施した。【結果】50名(医師22 名、看護師28 名)に配布し回収率は96%で、有効回答率は100%であった。治療方針の認識については、心肺蘇生は不要であるという認識が概ね一致した結果であった。また、呼吸器の設定変更や点滴の内容及び流速変更についての割合もほぼ同様の結果を示した。しかし、X線・血液検査の項目のみ、医師はする割合が高いのに対し、看護師はしない割合が高かった。DNAR 指示の捉え方については、医師はDNAR 指示内容の捉え方の違いをあまり感じないが最も多いのに対し、看護師側はすごく感じる、ときどき感じるを合わせると70%以上を占め捉え方に違いが見られた。【考察】治療方針の認識については、X 線・血液検査で違いがみられ、医師は客観的なデータを基に状態を判断したり、家族に対し病状を説明する際に必要としているため検査の必要性が高いと考えられた。一方、看護師は苦痛を伴う行為はできるだけ避け、穏やかに見守りたい思いが強いため検査の必要性が低いと考えた。DNAR指示の捉え方の違いについては、医師は自分自身で今後の状況を判断し、ある一定の範囲内で指示を出しているため指示内容との間にずれを感じないと考えられる。しかし、看護師は今後の予測が不十分なため、医師が出す裁量的な指示をどこまで看護師自身で判断してよいのか、また看護師間でも判断が分かる可能性があることから、指示に対する捉え方に違いが出ると考えた。