ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-481-O44-4 急性膵炎患者の感染性膵壊死合併の診断にプロカルシトニンは有用か武蔵野赤十字病院 救命救急センター東 秀律、安田 英人、須崎 紳一郎、勝見 敦、原田 尚重、原 俊輔、平山 優、安達 朋宏、本澤 大志、岸原 悠貴【背景】近年、プロカルシトニン(PCT)が感染性膵壊死の予測に有用である可能性が示唆されている.【方法】当院救命救急センターで2009年1月から2015年3月までに急性膵炎と診断し入院治療した82例に対し、入院後定期的にPCTを測定した. 組織針生検および術中検体での局所検体培養が陽性の症例を確定診断症例、疑われたが培養で証明されなかったものを疑い症例と定義した. 確定診断症例および疑い症例では感染発症の前後一週間以内のPCT の最大値を感染合併時のPCT とし、非感染症例では入院一週間以後のPCTの最大値とし3群のPCTをKruskal-Wallis検定を用いて比較検討した.【結果】急性膵炎患者82例のうち、確定診断症例は5 例、疑い症例が11 例、非感染症例は66例であった.3 群ではPCTの最大値に有意差を認めた.[確定診断症例:0.34 μg/dl(95%CI 0.23-8.0)、疑い症例:1.97 μ g/dl(95%CI 1.29-4.1)、非感染症例:0.12 μ g/dl(95%CI 0.05 - 0.31):p < 0.0001]【結論】PCTは感染性膵壊死合併の指標となる可能性があるが、疑い症例では他の感染源の影響も否定できず、確定診断例でのPCTは正常範囲内であることなどから、臨床応用するにはさらなるデータ収集が必要である.O44-5 重症急性膵炎における感染性膵壊死に発展する予測因子の検討大阪府立急性期・総合医療センター 高度救命救急センター木口 雄之、中本 直樹、藤見 聡【背景】重症急性膵炎を罹患した患者はしばしば感染性膵壊死を合併する。感染性膵壊死とは壊死に陥った膵実質および膵周囲脂肪組織に細菌感染を合併した病態であり、死亡率が30~40%と生命をおびやかす病態である。よって早期に重症急性膵炎から感染性膵壊死に発展するリスクを知ることは重要である。本研究の目的は重症急性膵炎において入院時のデータから感染性膵壊死に発展する予測因子を検討することである。【方法】2011年1月~2015年7月までで重症急性膵炎の診断で当院高度救命救急センターに入院した症例を対象とした。感染性膵壊死を合併した群(I群)と合併していない群(N 群)の2 群に群分けし、来院時の重症度(APACHE II、SOFA)、血液検査所見(WBC、Plt、Cre、LDH、Ca、CRP)、P/F 比、造影CT 検査における造影不良域の有無とその体積の以上の項目について後ろ向きに解析した。【結果】52症例を対象とした。全52症例のうち感染性膵壊死を合併した患者(I群)は12 症例であった。I群における死亡率は41.7%であった。検討項目のうちI 群においては来院時の造影CT検査において造影不良域を認めた症例が91.7%とN群の15%と比較すると高く、またその体積も27.1±25.1mlとN群の5.2±3.4mlと比較すると高かった。【結語】重症急性膵炎において来院時の造影CT 検査において造影不良域の有無とその体積はその後の感染性膵壊死に発展する予測因子となりうる可能性が示唆された。O44-6 肝移植術後の高カルシウム血症についての検討1)大阪大学医学部附属病院 集中治療部、2)大阪医療センター 腎臓内科酒井 佳奈紀1)、井口 直也1)、岩谷 博次2)、内山 昭則1)、藤野 裕士1)背景;肝移植術後発症の高カルシウム血症に関する検討は少ないが、症例報告がいくつかある。方法;2013年1月から2年間に肝移植術後当院ICUに入室した15才以上の患者29例を対象とした。アルブミン値補正血清カルシウム濃度が11mg/dl以上が1週間以上持続するものを重症高カルシウム血症とした。術後に重症高カルシウム血症を発症した7例(高Ca群)と非発症22例(対照群)について、術前状態・手術・術後経過、予後を後方視的に比較検討した。結果;高Ca血症発症は術後24.0±14.3日(mean±SD)であった。両群の年齢・性別・BMI・MELD score・HCCなど悪性疾患の有無、手術時間・術中出血量には有意差を認めなかった。術後14日間の輸血量について、POD0-6の1日あたりの輸血量に差はなかったが、POD7-14の1日あたりの輸血量は高Ca群で多かった(高Ca 群1298.0 ± 643.0ml、対照群616.8 ± 560.9ml、p=0.0204)。術後7 日以内のAKI 発症頻度に差はないが、重症高Ca 血症発症の時点で6例が腎代替療法(RRT)を施行されていた。最終的にRRTは高Ca群全例で必要となり、対照群での5例(22.7%)に比し有意に多かった(p<0.0001)。術後血漿交換施行も、高Ca群5例(71.4%)、対照群5例(22.7%)と前者で多かった(p=0.0201)。死亡については、高Ca 群で5 例(71.4%)、対照群で1 例(4.5%)と高Ca 群で多く(p=0.0003)、ICU 入室期間・入院期間ともに長い傾向にあった。結論;肝移植術後の重症高Ca 血症は、術後輸血量が有意に多く、腎傷害遷延例に発症しやすいと考えられる。ICU 入室期間が長期となり不動化も一因と推察される。重症高Ca 血症では予後不良例も多く、今後積極的なCa 管理が予後改善につながるか検討していきたい。